「自分に自信を持ってプレーしなさい」

「いつもどおりに(練習どおりに)やればいいよ!」

生徒に監督がよくかける言葉だと思います。


私は、野球部の顧問をさせて頂くようになって
最初の年は、ずっとこの言葉を生徒達に
かけつづけて来ました。

しかし、声をかければかけるほど、生徒達は
硬くなり、上がってしまい、公式戦で力の
半分もだせずに負けてしまうことが続きました。

私が選手の時は、これでチームが上手く
回っていました。 自分自身も、いつもどおりに
やることを意識することで、落ち着いて投げる
ことができていました。

なぜだろう。 なぜ彼らは緊張してエラーを
してしまうのか。

もう、夜も眠れないほど考え続けました。


基本を教える → 反復練習する → 練習試合

までは上手くいくのです。ところが、

練習試合 → 公式戦

のところで、全く上手くいかなかった。

強い相手に練習試合では1点差で
勝った経験もあるのに、公式戦では
同じ相手にコールド負けする。


本当にお手上げでした。 


私の考えられる範囲では、

「小学生時代の公式戦の経験が少ない」

ということくらいしかなかったのです。
私自身も、経験の無さをカバーして
余りある自信をつけさせる方法を
知りませんでした。 

それを棚にあげ、生徒の経験のなさに
原因をなすりつけていた。 

顧問として、最悪ですね。


1年半ほど悩み続け、答えを探し続けていた
ある日、こんな文章に目が留まりました。

・ 自信のない子には、「自信を持て」と言えば言うほど
  自信がなくなってくる

・ 試合で緊張する子は、「いつもどおりやれ」と言えば
  言うほど緊張してしまう


これだ! これだよ!!


まさに自分がはまっていた落とし穴がそこにありました。

それが、集中力トレーニングとの出会いでした。


臥薪嘗胆(がしんしょうたん)-ボール3つ


上手くいかないのはなぜなのか。


「自信を持て」と言われるほど、今自信のない自分が
心の中で大きくなってくるから。

「いつもどおりやれ」と言われるほど、いつもどおり
やらなければいけないと気負ってしまい、硬くなるから。

私が指揮を撮っていた、ずっと負けばかりだった
チームは、そのサイクルにすっかりはまっていたのです。

「自信を持たないと」

「いつもどおりやらないと」

とプレー中に考えてしまうのは、いわゆる

「雑念」

なのです。

打てるとき、自然にからだが動くときは、
雑念がない状態のことが多い。

それが、「集中している状態」です。

テニスボールを積み重ねる。

「こんなことやって、何になるの??」

一見そう思ってしまいますが、これを
やることによって

「雑念がない状態」がどういう状態なのか
を自分で知ることができる。

慣れてくると、

「ボール積みの精神状態をを思い出せ!」

と声をかけるだけで、「雑念がない状態」を
自分で思い出すことができるようになる。

自信のない生徒達に平常心でプレーして
もらうには、一番いい練習法だと思いました。

思い立ったら行動するのが私の流儀です。

兵庫県まで足を運び、チームで集中力
トレーニングを取り入れておられる先生から
直接お話を伺い、予感が確信に変わりました。

このトレーニングのいいところは、チーム全員で
取り組むことによって、個人個人の集中力が
上がるだけでなく、チームワークがよくなると
いう副産物が得られることでした。

計算していなかった副産物も多々ありました。

具体的には

・ 2時間でこなしていた練習メニューを1時間半で
  こなせるようになった(練習効率がよくなった)

・ ピッチャーのコントロールが良くなった。
  ピンチでも落ち着いて投げられるようになった。

・ 野手のカバーリングが良くなった(自然に体が動く)

・ 打者が簡単に三振しなくなった
  (17球粘ってタイムリーヒット、なんていうのも
   ありました。 ピッチャーに与える精神的ダメージ
   は相当なものだったでしょう)

・ 集中打が出るようになった

・ サインの見逃しがなくなった(本当にゼロになりました)

・ 生徒の直感が働くようになった

・ 生徒が自分で考えてプレーするようになった。
  (ノーサインでスチール、セーフティスクイズなど)

・ 成績が上がった(勉強にも好影響)


私がチームを離れる直前の試合で、
3ヶ月前は全く歯が立たなかったチーム
相手に0-4から集中打で逆転勝ちを
したことは、おそらく一生忘れないでしょう。

それくらい劇的な勝ち方でした。

自信のない子を平常心でプレーさせる

難しい問題ですが、集中力トレーニングは
効果があると確信しています。

指導者としての私を大きく変えてくれた
ことのひとつです。