教師という仕事、また野球の指導にずっと
関わってきて思うことがあります。

指導にはタイミングがすごく大事だということです。

タイミングを間違えると、アドバイスや指導は
全然入っていかなかったり、逆効果だったり
するのです。

そんなの当たり前じゃない!


と思われる方、自分の子供のころの体験、
また自分がわが子と関わっている経験をを
思い起こしてみてください。 これがなかなか
難しいのです。

「啐啄の機」(そったくのき) とは、私の父が小学校の
PTA会長をしていたころに、入学式のスピーチで
使った言葉で、私の好きな言葉です。

これは、「啐啄同時」(そったくどうじ)という禅の言葉
から来ているのですが、

鳥のヒナが卵の殻の内側からコツコツと叩くことを
「啐(そつ)」と言い、親鳥が卵の殻の外側 からつつくことを
「啄(たく)」と言うのだそうです。

このタイミングが合わないと、鳥のヒナはこの世に生を
受けることができません。 すなわち、自分一人では
殻を破って出てくることができないのです。

この格言が「教える側と教わる側のタイミングが合わないと
うまくいかない」といった解釈で現代は使われているのだとか。

うちの親父も、そのときに親や教師が、子供が道を間違えそうに
なったときや、落ち込んだりうまくいかなくなったとき、一歩を踏み出せ
ないでいるときに背中を押してあげることの必要性をスピーチの
中で話していたように記憶しています。

親父に一番感謝していることは、啐啄の機を逃さずに
高校2年生の時に、金銭的に余裕がない中で留学を
させてくれたことと、私に野球の手ほどきをしてくれた
ことです。 この2つの「啐啄」経験がなければ英語
教師、野球指導者にはなっていなかったと思います。

当然、30年も親子をやっていると、こんな美談ばかりでは
なく、中学2年の冬に私との関係がこじれ、私が野球の練習を
一切しなくなったこともありました。 高校入学の際は、
高校野球をやりたい私の気持はそっちのけで、半ば強引に
空手部に入部させられ、私が全くやる気をなくしてしまったこと
もありました。

しかしながら、そんな親子の経験を糧に、親父はカウンセラー
という「啐啄の機」を逃さないことが求められる仕事で頑張っています。

私も、いち教師、いち野球指導者として「啐啄の機」を逃さず指導
することが常に求められています。 また、そういう場面が日常の
中で数限りなくやってきます。

教師たる者、また親たる者は優秀な親鳥でいなければ、
と思う今日この頃です。