長距離での登りとペース配分について考える | 桜伐ル馬鹿梅伐ラヌ馬鹿

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北海道のサイクリング好きのブログ。

昨日、オダックスジャパン北海道の忘年会に参加し、ランドヌールの皆さんと色々な話で盛り上がった。
その中で長距離を走る中で登りをどうするか、ペース配分はどうするかという話が出て色々考えてみたので、自分なりに一度整理してみようと思う。

まず登りをどう速くするかと言うと、Power Weight Ratioを改善するしかない。
実際、自分レベルだと出力と体重さえ分かればヒルクライムのタイムはそこそこの精度で計算できる。

PWRを改善するには出力の向上と減量をすべきと言うことになる。
出力向上には筋力増強が一番確実で効果的だが、フォームを工夫することでも出力は出しやすくなる。よく雑誌などで書かれている”疲れず登る!”みたいなのは主にこの事だと思う。
自分の知っているだけでも、座る位置を前にずらして傾斜によってずれた重心の位置を適正にしたり、呼吸しやすいように少し胸を張ってみたりというのがある。
あとは水をかぶったりジッパーを開けたりして体温が過度に上昇するのを防いだり、ダンシングを混ぜてストレッチしてみたり、ペース配分を適切に行うようにすると、ばてなくなって長時間の平均と言う意味では出力向上を実現することが出来る。

長距離の中で出てくる登りにどう対処するかというのは、登りでも平地でも心拍を一定に保つというのが良く言われている基本だと思う。これをやることで疲れてペースが落ちることを防ぐことが出来て、全行程トータルで楽になり、速く走れるようになるのだ。
自分の経験に照らしても、強度にムラが生じると、そこでは速くても後でそれが響いてペースが落ちてトータルで遅くなる。だから、どこで頑張ってどこで休むと言う発想は、長距離の特にファストランではあまり良くないと思う。

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ただ、細かく考えると出力上昇が速度上昇・時間短縮に寄与する度合いというのは対気速度等によって異なる。高速域では出力が空気抵抗に消されてしまうので、出力を上げてもあまり速度は変わらず、時間も大して短縮できないことになる。対地速度が高くなくても、向かい風だと同じような状況になる。
それに対して、登りだと出力が空気抵抗に消される割合が低く、出力を上げることによる速度上昇が期待しやすく、また絶対的な速度が小さい分、時間短縮の割合も大きくなる。
こういう観点で時間短縮を突き詰めて考えると、必ずしも一定出力が最適解だとは言えないだろう。
長距離のTTが強い選手と言うのはフィジカルが強いだけでなくそういう判断も出来るのだろうと想像している。
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自分の場合、短い登りだと一気に登り切ってしまうこともあるが、脚に負担はかかるので、それを使える回数と回復のペース、回復不能なダメージの程度というのは大体決まっている。それを見極めて残弾数を計算しながらペース配分をしていくというのもファストランの面白さだと思う(自分はまだそこまで出来ないが)。
そういう意味で、ファストランでは自分の身体能力を精確に把握するということが不可欠で、それは数百キロに渡ってペース向上を試みた経験を通して把握できていくのだと思う。経験者はやはり強いということだろう。