今日(9月5日)、一冊の本が届きました。
吉田泰幸、ジョン・アートル、松田陽編『考古学その日その日 人・モノ・ランドスケープの民族誌』(以文社、2026年9月10日発行)
なぜ届いたかと言うと、ぼくが執筆者の一人だからです。パチパチパチ👏
「新聞と考古学」というタイトルで、8ページのコラムを書いています。立ち読みでなんとか読めないこともない長さですね。
全体では400ページあって4200円+税です。ぼくもまだ、「プロローグ」と「あとがき」しか読んでいませんが、面白いので、ぜひ買ってください。
本書のタイトル『考古学その日その日』は、明治時代の日本に近代科学としての考古学を持ち込んだエドワード・モースの著書『日本その日その日』のパラフレーズ(言い換え)だそうです。モースが日本の日常を見たままに記録したように、考古学の日常に目を向けたのがこの本です。
ぼくが毎日新聞の記者として過ごした35年間のちょうど真ん中にあたる2000年に、毎日新聞のスクープによって旧石器発掘捏造問題が発覚しました。考古学的調査によって発見されたと思われていた石器が、実は調査者によって埋められていたのです。
本書の序文である「プロローグ」は、編者の一人、ジョン・アートルさんが旧石器発掘捏造をどのように受け止めたかというところから書き始められ、「本書の目的」として次のように書かれています。
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本書の目的のひとつは、考古学の「暗部」や「舞台裏」、グレーバーがいうところの「タブー」を暴くことである。これは、考古学に影響を与えているさまざまな文化的、政治的、経済的な要因に注目することでもある。
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執筆者は国立民族学博物館の共同研究「考古学の民族誌ー考古学的知識の多様な形成・利用・変成過程の研究」(2015-2018年度)の参加者です。1970年代生まれの気鋭の考古学者が中心です。
ぼくが書いたコラム「新聞と考古学」もこの研究会での発表がもとになっています。
編者の一人である吉田泰幸さんが、考古学研究会第70回総会・研究集会(2024年)の総括討議の中で、ぼくがコラムに書いた「考古学商品論」のことに触れているので、『考古学研究』71-3(283)(2024年12月)に収録された討議の記録の中から吉田さんの発言の該当部分を抜粋します。
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今日の発表の中では、1933年に開催された北海道原始文化展覧会に触れましたが、それには大阪毎日新聞社長の本山彦一さんが関わっていたらしいです。考古学関係の新聞記事をよく書いておられた方に、元・毎日新聞の佐々木泰造さんがいらっしゃいます。他の研究会でご一緒したときに、佐々木さんに教えてもらったことですが、本山彦一さんは「新聞商品論」というものを唱えていたそうです。「新聞商品論」というのは、よく言われる「社会の木鐸」になるなどという高邁なことは新聞は考えなくていい、新聞はあくまで商品である、つまり人々に受け入れられるような存在になりなさいという意味とのことです。それをパラフレーズして、佐々木泰造さんは「考古学商品論」、考古学も商品たれ、とその研究会で発言しました。
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本山彦一は、新聞が独立した言論機関であるためには、商品として読者に支持されなければならないと主張しました。読者の支持がなければ、政府の御用新聞となるか、一部実業家の広告媒体となるしかありません。新聞に求められるのは、迅速報道主義、事件網羅主義であり、記事敏速立論公正のために記者の品位を向上し、各紙が共同して国際的記者を養成すべきであると説きました。
新聞離れが進み、考古学ブームが去ったかに見える今日、本山彦一の新聞商品論が改めて見直されるべきではないかと思います。
