中東情勢の悪化により9日、世界の原油価格の指標となるWTI原油先物価格が急騰し、それとともに日経平均株価が急落しました。

 

あまり、注目されていませんが、エネルギー価格の上昇に連動する形で、3月5日からシカゴ穀物先物市場の小麦、大豆、トウモロコシの価格が急騰しています。

<小麦先物の日足チャート。5日から急騰>」

 

 

原油の代替燃料であるエタノール(トウモロコシが原料)やバイオディーゼル(大豆油が原料)の需要が高まるとの思惑により、投機資金が穀物先物に流入したようです。

 

また、中東のカタールやUSEは天然ガスを原料とする尿素の主要輸出国であり、ホルムズ海峡の封鎖が続けば、窒素肥料の供給が滞ることになります。

 

さらに、エネルギー価格が上昇すれば、化学肥料の原料、製品や、穀物の輸送にかかる経費がかかるようになり、穀物の生産コスト、流通コストともに押し上げられることになります。

 

これらの穀物価格は1月下旬から上昇傾向にありましたが、それまでは下落傾向にありました。

 

<小麦先物の月足チャート。2022年のウクライナ侵攻の後、ピークを付けてから下落傾向にあったが、イラン攻撃で上昇>

 

もう少し、長い視野でみると、2020年夏からコロナ禍に伴うロックダウン(都市封鎖)や港湾の機能低下で穀物の流通が滞ったことなどによって急騰し、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻したことにより、さらに上昇して記録的な高値になりました(両国とも小麦の主要輸出国)。

 

その後は下落していたのが、昨年、底を打って、今年1月からじわじわと上昇し始め、米国、イスラエルのイラン攻撃で一気に急角度の上昇となりました。

 

これらの穀物の輸出国は以下の通りです。

 

小麦 

(1)ロシア(約19%のシェア)

(2)オーストラリア

(3)米国

※輸入国1位は中国(世界一の生産国だが消費が多いため)

※日本の輸入小麦(85%)は、米・加・豪の3カ国でほぼ100%

 

大豆

(1)ブラジル

(2)米国

(3)アルゼンチン

※上位2国で世界の90%

※輸入国1位は中国(世界の大豆貿易量の約6割を輸入)、2位EU諸国、5位日本(9割以上を米国、ブラジル、カナダから輸入)

 

トウモロコシ

(1)米国

(2)ブラジル

(3)「アルゼンチン

※輸入国1位は中国、2位メキシコ、3位日本(大部分を米国から輸入)

 

小麦、大豆、トウモロコシとも日本はほとんどを輸入に頼っています。中国はどれも世界1位の輸入国ですが、米国はどれも世界のトップ3に入る輸出国で、穀物価格が上がれば上がるほど貿易赤字が減少します。

 

輸出入だけに限れば、原油、天然ガスと同様、穀物についても米国の一人勝ちという構図のようです(ただし、低所得の米国民は物価高にますます苦しむ)。