米国、イスラエルによるイラン攻撃が始まった後、いつも見ている天然ガスの価格が変わらないので、おかしいと思ってGemini(Google AI)の助けを借りて調べてみました。

 

まず、米国における天然ガスの標準価格を示す「ニューヨーク天然ガス先物指標(ヘンリーハブ)」(図の赤線)を見てください。

 

イランへの攻撃が始まった後、全く変化がありません。

 

1月下旬に急騰したのは、米国全土に強い寒気が流れ込み、暖房用の需要が増加したのと、寒さによってガス井やパイプラインが凍結して供給が一時的に滞ったのが原因です。2月に入って寒さが和らぐと元の価格に戻り、最近は下落傾向にありました。

 

米国は2023年にオーストラリアとカタールを抜いて世界最大のLNG(液化天然ガス)輸出国になりました。22年にロシアがウクライナに侵攻し、ロシアに対する経済制裁などで世界価格が高騰し、より低コストである米国産の需要が高まったためです。

 

米国は現在、世界最大の天然ガス生産国であり、国内自給をしたうえに輸出をする余力があります。米国内の天然ガスは冬の終わりの需要減と生産過剰による過剰在庫によって、価格が抑えられています。中東情勢が悪化しても影響を受けないのはこのためです。

 

一方、カタールなど中東のLNGへの依存度が高い欧州の指標となる「欧州天然ガス先物指標(ICE)」(図の青線)や「北東アジア向けLNG価格指標(JKM先物)」(図の緑線)は、イラン攻撃により1日で40%近く上昇するなど、大きな影響を受けています。

 

また、ロイターの試算によると、世界のLNG供給量の20%を占めるカタールからの輸出が途絶えた場合、それを穴埋めする余力は米国やオーストラリアには乏しいということす。(*)

 

イランやウクライナの戦争で大きな影響を受けるのは欧州とアジアで、米国はちっとも困らないという構図のようです。

 

米豪に乏しいLNG増産余力、カタールの穴埋め困難か

Reuters 2026年3月5日午前 8:54 GMT+9

https://jp.reuters.com/markets/commodities/E3ARBB6WEVNLNFJ5GEDHDXBL7I-2026-03-04/