フリースタイル・モーグルのワールドカップ(W杯)は毎年、スカパー!のJ?sportsで全試合を見るのですが、アルペン競技もときどき視聴します。今シーズンはもっぱら回転(SL=Slalom)を観戦していましたが、先日、久しぶりに3月1日にガルミッシュ・パルテンキルヘン(ドイツ)で開催された大回転(GS=Grand Slalom)を見ました。ヒルシャーが速い! 2位に3.28秒の大差をつけて、ぶっちぎりの優勝でした。

 2012/2013シーズンからスキーのレギュレーションが変更になり、男子の大回転の板は長さが185cm以上だったのが195cm以上に、回転半径(ラディウス)が27m以上だったのが35m以上になりました。回転半径については2007/2008シーズンにそれまで21m以上だったのが27m以上になったの続いての変更です。

 回転半径とはサイドカーブの半径で、値が小さいほどサイドカーブがきつく、値が大きいほどサイドカーブが緩くなります。つまり、サイドカーブのないスキーを使うように、2度にわたって変更されたということです。サイドカーブのきついスキーでは、膝を傷めるリスクが大きいというのが変更理由のようです。以前のようにサイドカーブのきついカービングスキーでターンする技術ではなく、サイドカーブのない直線的な板でターンする技術が今のアルペン競技では求められています。

 ぼくが2011年に格安中古で買ったGSの板(Volkl Racetiger 2006/2007モデル)は長さが185cmで、回転半径は21mでした。買った時点で既にサイドカーブがきつすぎてW杯には出場できない板でした。それでもモーグル板に比べると重くて、回しにくい板だなあと感じました。相前後して購入したSOSのセミファットの板は同じ長さで、ほとんどサイドカーブがなくて、これまた非常に回しにくい板でした。(この板は気に入っていましたが、残念ながらぼくの不注意で盗まれて、現在は手元にありません)

 そこで、このようなスキーで、どうすれば思うようにターンができるのかを考えているうちに生まれたのがダイナミック・ポジショニング・ターンという独自のターン技術でした。

 このターンで大回りはできるものの、モーグルのターンがうまくいかないので、今シーズンは練習するのをやめていたのですが、またまた気が変わってきました。一つのきっかけは、ガルミッシュ・パルテンキルヘンのW杯で圧勝したヒルシャーの滑りです。ヒルシャーと他の選手の違いは、動きが非常に大きく、ダイナミックだったことにあるようにぼくの目には見えました。細かなテクニックの違いはよくわからないのですが、非常に俊敏かつ的確に、脚の曲げ伸ばし、腰の上下動が行われていたように思います。

 もちろん、ヒルシャーの滑りはダイナミック・ポジショニング・ターンではありませんが、ダイナミックに体を動かすという部分は共通しています。ぼくがハチ北で全くまともに滑れなかった理由の一つは、吸収動作が全くできていなかったことにあります。浅いこぶならば、それほど深く脚を曲げなくてもこぶを吸収することができますが、深いこぶになればなるほど、脚も深く素早く曲げ伸ばししなければなりません。ターンのタイミングがこぶと合っておらず、吸収する動きがなかったために、こぶに弾かれてしまったのです。

 いったん諦めたダイナミック・ポジショニング・ターンですが、ヒルシャーのダイナミックな滑りを見て、せっかくやりかけたのだから、もう一度、挑戦してみようかという気になりました。今シーズン、残された時間を使って、どうすればダイナミック・ポジショニング・ターンでこぶを滑ることができるのか、スタートはどうすればいいのか、エア台への進入はどうすればいいのか、エアの着地の後のターンへの入りはどうすればいいのか、考えてみたいと思います。