昨日(20日)は京都府綾部市の実家で村用(地区の共同作業)がありました。例年、この時期には「彼岸道」と言って、共有の農道の補修作業をするのですが、今年は特に直すところもないということで、久しぶりに防火用水池の池替え(泥揚げ)をしました。

 水を抜いて、底にたまった泥をスコップやバケツですくって持ち上げ、畑に捨てます。池替えをするのは約10年ぶりということで、底には大量の泥が堆積していました。普通なら運動をしていない都会暮らしのサラリーマンにはつらい作業ですが、日ごろの鍛錬、特に冬場のエア台作りのトレーニングのおかげで、人一倍の働きができたようです。

 そのせいか作業は予定より早く終わりました。昼食後、ともに85歳の父母にリアライン・コアを着けてもらいました(※リアライン・コアを60歳以上が使用することは禁忌とされており、医師の許可が必要です)。

 父は農作業で酷使した股関節の背中側に70代のころから痛みが出るようになり、無理ができなくなりました。母は腰が曲がってしまっています。あまり強く締めないようにして、時間も短くして、軽めの動きをしてもらいました。残念ながら劇的な効果は見られませんでしたが、骨盤の正しい位置が少し思い出せたのではないかと思います。帰省するたび、短時間装着してもらい、徐々に骨盤、胸郭を正しい位置に戻していきたいと思います。

 大津の自宅に帰宅後、いつものように近所の皇子山球場・陸上競技場の周りを軽く走りました。最近、膝の調子がとてもいいです。リアライン・コアを使ったトレーニングの成果によって体幹が安定し、股関節の動きがよくなったからだと考えています。

 走っているとき、以前は膝に意識がいっていましたが、今は股関節を意識しています。膝を動かすのではなく、股関節を動かすようにしています。膝を意識していたときには膝に力を入れているという感じや衝撃を受けているという感じがありましたが、今は股関節に意識を向けていて、膝は意識せず、リラックスしたままにしています。膝に衝撃を受けているという感じはなく、脚全体が無意識のうちに楽に動いている感じです。

 リアライン・コアの認定インストラクター養成講習で栗田さん(PCP代表)に教えてもらったのですが、人間の体は動かすところところ(Mobility)と安定させるところ(Stability)が交互に並んでいるそうです。上から言うと、肩関節(M)-胸郭(S)-腹(M)-骨盤・腰椎(S)-股関節(M)-膝関節(S)-足関節(M)-足(S)の順です。

 下肢(脚)について言うと、股関節と足関節(足首)を動かすところ、膝関節は安定させるところになります。

 モーグルのターンでは、こぶの衝撃を吸収するために「ストローク」と呼ばれる脚の曲げ伸ばしの動作をします。脚をパンタグラフのように折り畳んだり、伸ばしたりする動きです。このときに膝を曲げますので、膝を動かそうとすると、よけいな力が加わって、かえって膝が動きにくくなります。スムーズな脚の曲げ伸ばしができなくなり、こぶの衝撃を受けて膝を傷めたりして、ますます膝が動きにくくなるという悪循環に陥ります。

 ぼくが見たところ、引退前の選手がこの状態になっていることが多いようです。トリノ五輪金メダルのジェニファー・ハイル選手は、股関節の動きがよく、カナダ選手らしく、こぶの吸収がとても上手でしたが、引退前の滑りでは、股関節の動きが悪く、腰椎を動かしてこぶを吸収していました。股関節というのは、骨盤の左右の出っ張りの下に大腿骨の上端が入っている部分のことですが、そこを動かすのではなく、その上の腰椎(背骨=脊椎の一番下の部分)を折り曲げてこぶを吸収していたのです。

 腰椎の曲げ伸ばしでこぶを吸収する滑りを横から見ると、上半身が前後にぎったんばったんと激しく動きます。股関節が動くと、上半身は安定して、前後には動かず、ピストンのように上下に動きますが、腰を曲げ伸ばしすると、上半身は前後に動揺します。このような滑りをしていると、上半身を安定させるために腰の筋肉を酷使することになり、腰痛を招く結果になります。

 股関節が動かないと、膝関節も動きません。曲がらない膝で衝撃を受け止めると、膝を傷めることになります。ぼくの場合、ダイナミック・ポジショニング・ターンという独自のターンの練習で、膝の動きを意識するあまり、股関節や足関節の動きが悪くなり、膝を傷めたのではないかと考えられます。膝関節は本来動かさないところなのに、そこを動かそうと意識すると、本来動かすところである股関節や足関節が動きにくくなるのですね。

 最近は走っているとき、股関節を動かすように意識していて、太ももの付け根の前面の筋肉が働いているのがわかります。後面の筋肉は大臀筋というお尻の筋肉ですが、足を前に出したときに伸びているのがわかります。以前は膝周りの筋肉ばかり意識していて、股関節周りの筋肉の働きを実感していませんでした。股関節を動かすことを意識することによって、股関節、膝関節、足関節と、脚全体がリラックスしてよく動き、気持ちのいい疲れを感じることができます。