僕は1人夜道を歩いていた
何かを達成した気もするし
何もしていない気もする
ようやくゴールに辿り着いたような気もするし
先の見えないスタート地点に立たされたような気もする
高揚感と寂寥感が入り混じった
そんな不思議な気持ちだ
今日僕はプロポーズをした
そして
「はい」
という返事をもらった
僕の人生はいたって平凡だ
三十路を迎えた今でも実家暮らし
積極的に人に誇れるようなところは
何もない
でも、平凡であるということが
悪いことだとは思わない
今、僕の中にある若干の
負の感情の理由は分からないが
胸を張って言える
僕は今、幸せの絶頂だ
だから今日はあの角に行ってみる
もう何年も行っていないあの角に
学生時代、
僕がずっと想いを寄せ続けた「彼女」とたびたび遭遇するだけの曲がり角
ただただ、出会ってしまう「だけ」の.........
臆病者だった僕は
告白はおろか
話しかけることすらできなかった
そして卒業してからも
幾度と迎えたチャンスを
僕は逃し続けた
後悔を重ね
「彼女」と会うことが怖くなった僕は
あの角に行けなくなった......
そんな角に今日なら行ける
もし出会ってしまったとしても
「久しぶりだね
僕のこと覚えてる??」
そんな軽口を叩けるはずだ
今日の僕なら...
過去を断ち切る意味でも
「神様、
今日は「彼女」に会わせてください」
胸の鼓動が高鳴り
僕はついにあの角を曲がった
............
その瞬間
ビィィィィィィィィィィ!!
けたたましいクラクションとともに
トラックが突っ込んできた
人は最期の瞬間
それまでの人生が
走馬灯のように駆けめぐるというが......
そんなのはウソだ!
何も考えられない
............死ぬ............
そう思うのが精一杯だった......
こうして僕の短すぎる人生は
幸せの絶頂のまさにその日
唐突に終わりを告げ......
......
て、いない
僕は生きている!
ケガもしていない!
あのトラックは??
......どこにも見当たらない
............夢............
そう思うしかなかった
「ただいま」
僕は家に着いた
「何時だと思ってるの!!」
母の怒号が響く
「着替えたら、降りてきなさい!」
普段は温厚な母の気迫に押されながら
僕は階段を上がる
「何時って...」
時刻は午後9時を過ぎたところ
「子どもじゃあるまいし」
いつになく大きな独り言とともに
僕は部屋に入った
そこで鏡の前に立った僕が見たもの
それは
学生服に身を包んだ
「あの頃」の僕だった.........
ピピピピ
メールが鳴った
いつの間にか昔の携帯電話に戻っている液晶に
ある人の名前が表示される
僕が連絡先を知るはずのない
僕が話しかけることすらできなかった
「彼女」の名前だ
またしても胸の鼓動が高鳴る
今度は苦しいくらいに...
「今日は楽しかったね♥
じゃあ明日また学校で♥♥」
!!!!!!!!!!!!!!
秋の夜長の
なが~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~い妄想
お話の続きは皆様の頭の中に
妄想に浸れる居心地のいい物件あります
ステージプランナー