University of Michigan Wolverines(ミシガン大学ウルバリンズ) | Stadiums and Arenas

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スポーツ観戦が趣味の筆者が、これまで訪れたスタジアム・アリーナの印象を綴るブログです。


University of Michigan Wolverines(ミシガン大学ウルバリンズ)は、ミシガン州アナーバー市にキャンパスを置くミシガン大学の体育会の総称である。

ミシガン大学は、その起源を1817年に持つ、アメリカ屈指の名門大学である。1866年に野球部が創設されたときに体育会も創設され、こちらの歴史も全国屈指と言えるだろう。その後、大学同士のリーグ戦が結成され始めると、1896年に作られたウェスタン・カンファレンス(Western Conference)の一員となる。ウェスタン・カンファレンスは、1950年にビッグテン・カンファレンス(Big Ten Conference)に改編され、現在ではNational Collegiate Athletic Association(全米大学体育協会)でも屈指の規模を持つリーグ戦となるが、ミシガン大学はその中で押しも押されぬ中核大学としての地位を保ち続けている。


レイ・フィッシャー・スタジアム

体育会の歴史が長い分、輝かしい実績を持つ部活も多いその中で最も歴史が長いのが野球部で、現在は4000人収容のRay Fisher Stadium(レイ・フィッシャー・スタジアム)で活動する。カンファレンス優勝35回、全米優勝決定戦出場回数8回、優勝2回を誇り、輩出したメジャーリーガーは非常に多数に渡るが、その中でBarry Larkin(バリー・ラーキン)とGeorge Sisler(ジョージ・シスラー)が殿堂入りを果たした。現役引退後にメジャーリーグチームの運営に回り、ファームリーグの創設、ヘルメットの導入、そして黒人選手のメジャーリーグ参加許可などの改革を進めたBranch Rickey(ブランチ・リッキー)もウルバリンズの野球部出身である。

その次に歴史が長いのは、1879年創設のアメリカンフットボール部であり、カンファレンス優勝45回を誇り、アメリカ大学フットボール界で最も歴史の長い大会であるローズボウルも3回取得している。プロとして大成した卒業生も多く、プロフットボール殿堂入り選手も11人輩出している。また、第38代アメリカ大統領のジェラルド・フォードもアメフト部出身で、1934年には部内投票で年内のチームMVPに選出されたという経歴を持つ。


ミシガン・スタジアム

アメフト部は、1893年にアスレティック・フィールド(Athletic Field)で一般の観戦者も認めてホームゲーム興行を行うようになり、1894年にリージェンツ・フィールド(Regent's Field)、1905年にフェリー・フィールド(Ferry Field)に名前が改められたが、当時としては世界でもかなり大きい15000人のキャパのスタジアムで活動した。だが、それでも人気が高くて小さすぎたため、1906年に46000人収容の新しいスタジアムに建て替えられている。そして、第一次世界大戦後にアメリカで大学スポーツ興行のブームが起こると、ミシガン大学はより大きなスタジアムを建設することになり、1927年にミシガン・スタジアムが開場。当時にしては世界でも規格外と言える72000人収容可能のスタジアムで、7度の拡張工事を経て現在は何と107601人が収容可能と公式に発表されている。これは、全米のあらゆる用途で作られたスタジアムの中で最大であり、そのことからミシガン・スタジアムはビッグ・ハウス(The Big House)という異名も持つ。大学スポーツは、試合日の管理もおおらかで立見も黙認されているので、最大で115109人が動員されたという記録もある。

全米最大のスタジアムであることから、ミシガン大学関連以外のイベントでも使用されることが多く、2014年1月に北米プロアイスホッケーリーグのナショナル・ホッケーリーグ(National Hockey League/NHL)の屋外ゲームが行われ、夏にはヨーロッパの強豪サッカーチームを招いてプレシーズンマッチが行われた。これらはいずれも、10万人以上の観客が訪れている。2016年、2018年、2019年にもヨーロッパのサッカーチームを招いての興行が行われた。


クリスラー・センター

アメリカ大学スポーツのもう1つの花形であるバスケットボール部は、1909年に創設された。カンファレンス優勝16回、全米大会ベスト4進出6回、決勝進出5回、1989年には優勝も果たしている。1991年には、全米大会史上初めて全員1年生のスターターで戦ったことが話題となり、クリス・ウェバー(Chris Webber)、ジュワン・ハワード(Juwan Howard)、ジェイレン・ローズ(Jalen Rose)、ジミー・キング(Jimmy King)、レイ・ジャクソン(Ray Jackson)の5人は「ファブ・ファイブ(Fab Five)」と呼ばれた。その中で、特にウェバーはプロでも大成して殿堂入りを果たしている。もちろん、ミシガン大学バスケットボール部はファブ・ファイブ以外にもプロになった選手達を多数輩出している。監督としてNBAで2回優勝、オリンピック金メダル1回の実績を誇り、殿堂入りを果たしたルディ・トムジャノビック(Rudy Tomjanovic)も、ミシガン大学バスケットボール部の卒業生で、現役時代も11年プロで活動している。

バスケ部のホームアリーナとしては、12707人収容のCrisler Center(クリスラー・センター)が使用される。総部当初はミシガン・コリシウム(Michigan Coliseum)が使用されており、1924年からはヨースト・アリーナ(Yost Arena)が使用されたが、アイスホッケー部と併用だったことから、1967年にバスケ部専用のユニバーシティ・イベンツ・ビルディング(University Events Building)が開場した。こちらは、1970年に、長年ミシガン大学アメフト部の監督及びディレクターとして貢献したハーバート・クリスラー氏の名前にちなみ、現在の名前に改称された。


ヨースト・アイスアリーナ

冬の気候が寒いミシガンでは、アイスホッケーも盛んであり、1922年に創部となったアイスホッケー部も全国屈指の名門である。カンファレンス優勝16回、全国大会決勝進出12回、うち9回優勝という素晴らしい成績を誇り、やはり多くのプロ選手を輩出している。現在もホームアリーナとして使用されている5800人収容のYost Ice Arena(ヨースト・アイスアリーナ)は、1924年に作られた屋内競技場で、ミシガン大学アメリカンフットボール部の監督及びディレクターとして長年の功績があったフィールディング・H・ヨースト・フィールドハウス氏にちなんでいる。

その他だと、男子サッカー部が2010年に全国優勝、女子サッカー部はカンファレンス優勝3回の実績を有し、いずれも2200人収容のU-M Soccer Stadium(U-Mサッカー・スタジアム)を使用している。

女子のみの部活だと、フィールドホッケー部は2001年に全米優勝、1991年と2020年に全米準優勝を果たし、Carol Hutchins Stadium(キャロル・ハッチンス・スタジアム)を本拠地とするソフトボール部は2005年に優勝、2015年に準優勝している。Cliff Keane Arena(クリフ・キーン・アリーナ)を拠点とするバレーボール部は、2012年に全国大会ベスト4進出を果たした。

その他も、オリンピック公式種目となっているスポーツを中心に幅広く活動しており、非常に活発な体育会であると言えるだろう。




上:Ocker Field(オッカー・フィールド)。フィールドホッケー部の本拠地。
下:Ferry Field(フェリー・フィールド)。陸上競技場。

同じくミシガン州を拠点とするミシガン州立大学スパータンズ(Michigan State University Spartans)とのライバル関係も有名だが、競技ごとに異なるライバルがいるのもウルバリンズの特徴である。アメフトではオハイオ州立大学バッカイズ(Ohio State University Buckeyes)とのライバル関係が全国的にも有名で、両校とも全国区の名門であることから、シーズンの佳境の試合で相まみえることが多く、激しい戦いの中で強いライバル関係が芽生えることになった。

アイスホッケーではミネソタ大学ゴールデン・ゴーファーズ(University of Minnesota Golden Gophers)とのライバル関係も激しい。ミシガンとミネソタは、ともに中西部カナダ国境沿いでアメリカ国内では屈指と言えるほどアイスホッケーの人気が高く、違うカンファレンスに所属していた時期も定期戦が組まれ、今も互いのプライドをかけた戦いが繰り広げられる。

交通アクセスの手段としては、アナーバー市交通局のバスがいくつも通っているが、アメリカの地方都市らしく車社会ということもあって、車で移動するのが一番楽ではある。周辺には車社会に適した巨大な駐車スペースもあるので、車がとめられないことはないだろう。

アナーバー市はデトロイト国際空港からそれほど遠くないので、アメリカの地方の大学都市の中では比較的よそからのアクセスが容易である。ミシガン・スタジアムで10万人以上の観客が集まる試合が何度も行われるのも、そのような事情があるのだろう。

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