アメリカ学生スポーツの観戦をご検討されているなら | Stadiums and Arenas

Stadiums and Arenas

スポーツ観戦が趣味の筆者が、これまで訪れたスタジアム・アリーナの印象を綴るブログです。


地図を見れば一目瞭然ですが、アメリカは非常に広大で、各々のコミュニティー同士の距離は他の国と比べても非常に遠い。例えばアメリカ西部に住むと、東部にある地域などは同じ国の中であっても外国のように遠い場所に感じますし、当然州内で起こっていることの情報の方が州外で起こっていることのものより多く入ってきます。また、同じ州の中でも、1つの町へと移動する際にはかなり時間がかかることので、1つ1つのコミュニティーのローカリズムが他の国と比べてかなり強いのです。このような状況ですので、田舎州の田舎町などでは、その町のスポーツチームの試合会場は、今も昔も社会に住む他の人々と交流するための数少ない場所の1つであり、また住民に娯楽を提供してくれる数少ない場所となります。

19世紀にアメリカ合衆国が東海岸から西へと拡大すると、その社会が発展するにつれて各州の様々な場所に総合大学が出来上がっていきました。イギリスの諸大学のように、それは各州の上流階級の子弟が集う場所となり、そういった事情から昔から多くの資金が集まる場所でもありました。そのため、特に19世紀において大学はスポーツクラブの活動に必要な資金や施設を提供することができる数少ない組織であり、イギリスの大学と同様に、アメリカにおいても数多くのスポーツクラブが大学内に作られるようになりました。そして、時間が経ち、多くの卒業生が様々な場所へ散らばっていくと、大学のスポーツクラブは学外にも支援者ができるようになり、また大学のある地域住民に対して娯楽を提供するという役割も担い始めたのです。

イギリスでは19世紀後半になると、大学とは無関係の地域のスポーツクラブを中心に競技スポーツ発展して行きましたが、アメリカは総合大学の数がイギリスより多かった上に、それぞれの大学が地域と密接に結びつきながら発展していったので、大学スポーツはさらに発展していき、1906年にNational Collegiate Athletic Association(NCAA/全米大学体育協会)が創設されました。20世紀に入ってからアメリカではプロスポーツも活発になっていきますが、経済力に乏しい田舎の地域などではなかなかプロチームが持てないので、そういった地域では引き続き大学のチームが地元のスポーツチームとしての役割を担っています。

アメリカの大学スポーツは他の国のそれよりもはるかに商業性の強い運営をしているので、日本の大学スポーツのイメージでアメリカに行くと、その経済規模の差に圧倒されます。何せ、大学のスポーツクラブが自らのホームアリーナやスタジアムをもち、そこで地元のファンの前でホームゲームを行うのですから。テレビ放送も、地上波放送のゴールデンタイムで番組が組まれ、グッズの種類や数に関してもプロスポーツチームをほうふつとさせる運営ぶりです。

その一方で、選手達が若い分粗削りで精神的に成熟しておらず、その分試合展開が読めないという学生スポーツらしさはアメリカでも健在で、プロとは違う面白さを見出すファンも多いです。また、学生・卒業生・ファンが、応援団の統率のもとで応援するという日本の学生スポーツでもよく見られる光景はアメリカでもよく見られ、プロスポーツのスタジアムやアリーナとは違う雰囲気を作ります。

アメリカに何らかの理由で滞在する場合、プロスポーツはプロスポーツのチームがない地域では見ることができませんが、大学がない州はないので、大学スポーツを見ることは必ずできます。ある意味プロスポーツよりも身近に感じられるものではないかと思いますので、興味のある方は会場に足を運ぶのも一興かと思います。

アメリカの大学は様々なスポーツのチームを持っていますが、一番の花形は何と言ってもアメフトとバスケです。アメフトは例年9月頃から12月までがシーズンで、バスケは例年10月末からシーズンが開始し、3月に全国大会が行われます。どちらのスポーツでも、全国大会は全米で注目を集める一大イベントです。他のスポーツでは、野球とサッカーが盛んだと言えるでしょう。全国的な注目度ではアメフトやバスケに劣りますが、たいていの大学はこれらのチームを持っています。また、アイスホッケーは北部のウィンタースポーツが盛んな地域の学校中心の活動になってしまいますが、歴史は非常に長く、伝統的なアメリカ大学スポーツの一部といってもいいでしょう。もちろん、そのほか様々なスポーツが行われており、個人種目のチームを持っている大学もあります。アメフトやバスケ以外のスポーツは、前述の通り全国的な注目度は劣りますが、競合大学の地元での注目度や熱狂ぶりはなかなかのものです。

NCAAは3つのディビジョンに分けられていて、最高峰がディビジョン1、その下にディビジョン2、3と続きます。アメリカは広いので、大学が地域ごとに集まってリーグ戦(カンファレンス)を作り、まずはそこで競争します。その上位に残ったチームが全国大会を行うために一か所に集められ、各ディビジョンの全米一を競い合います。

全国大会の試合やローカルライバル同士の対戦はプラチナチケットとなりますが、カンファレンスの試合であれば比較的チケットが取りやすいかと思いますので、狙うとしたらこのあたりでしょうか。チケットの値段も注目度で推移するのですが、あまり注目されていない試合であれば30ドル前後で入れます。高くても100ドルを超えるようなことはないと思うので、プロスポーツよりは安いです。

メインページ