埼玉県営大宮公園野球場 | Stadiums and Arenas

Stadiums and Arenas

スポーツ観戦が趣味の筆者が、これまで訪れたスタジアム・アリーナの印象を綴るブログです。

メインページ

埼玉県営大宮公園球場
開場1934年
集客可能人数20500人
両翼・中堅両翼99メートル、中堅122メートル
フェンス高さ不明
フィールド内野:クレー舗装/外野:天然芝
アクセス大宮公園駅(東武アーバンパークライン[野田線])から徒歩約10分
大宮駅(JR宇都宮線・高崎線・埼京線・京浜東北線・東武アーバンパークライン
[野田線])から徒歩約20分
大宮サッカー場バス停(国際興業バス大15-2系統)から歩いてすぐ


          




上・中上:外観
下:内装。後方右側見えるのは隣接するNACK5スタジアムの客席。2008年6月27日、西武ライオンズ対千葉ロッテマリーンズの試合で、ライオンズのクレイグ・ブラゼル選手が放った特大ホームランがNACK5スタジアムに落ちるという出来事もあるほど、この2つのスタジアムの距離は近い
(上の写真は、全て2019年6月30日のルートインBCリーグ、埼玉武蔵ヒートベアーズ群馬ダイヤモンドペガサス戦から)

さいたま市大宮区の、大宮公園の中にある野球場。

西武ドームとならぶ、埼玉県野球界の中心地である。高校野球の県大会決勝はここで行われ、年に数回プロ野球の興業も行われ、大学野球でも東京新大学野球の試合を開催した実績がある。社会人野球で使用されることもあるし、女子プロ野球の埼玉アストライアの試合も主催し、独立リーグBCリーグの武蔵ヒートベアーズ(2019年に名称を埼玉武蔵ヒートベアーズに改称)は創設された2015年以降、2016年を除いて毎年数試合はこの球場で公式戦を行っている。ライオンズの試合でしか使用されず、アクセスの悪い西武ドームと比べると、県内での認知度はむしろ県営大宮球場の方が高いかもしれない。

正式名称は「埼玉県営大宮公園野球場」なのだが、通りを挟んで反対側に市営大宮球場があり、混同されやすい。しかもその球場は、大和田公園(別名大宮第二公園)という場所の中にあるので、紛らわしさに拍車をかける。「県営大宮」「市営大宮」と差別化されており、各種メディアで「県営大宮」と書かれていれば、ここのことである。








上・中上:バックネット裏。青い椅子で「OMIYA」の文字ができている
中下:バックネット裏からの試合の眺め
下:スコアボード
(2019年6月30日のルートインBCリーグ、埼玉武蔵ヒートベアーズ群馬ダイヤモンドペガサス戦)

あまり知られていないが、1934年創設で実は日本の中でも歴史の長い球場なのである(当時の所在地住所は大宮市だったが、現在は浦和、与野と合併したため、さいたま市大宮区になる)。こけら落としはその年に行われた日米野球で、ベーブ・ルースとルー・ゲーリッグを擁したメジャーリーグ選抜が全日本を圧倒した。

まだ首都圏に大規模な球場が少なかった1960年代以前はプロ野球の試合や二軍の本拠地としても使われたようだが、それ以降は老朽化が目立ち始め、徐々にプロからは敬遠されて行くようになった。更にネックとなったのが、外野の狭さ。開場時は外野が両翼90メートル、センター105メートルしかなかったことから、高校野球の開幕式を開催することができず(開催式の時には出場全校が球場内を行進するので)、1981年から一時県大会の開会式が所沢の西武球場で行われた時期があった。1982年以降は、決勝もしばらくここで行われている。






上3枚の写真は、2015年11月4日、秋季高校野球関東大会準決勝の日に撮影。バックネット裏はかなりのお客さんが入っていた。

所沢だとやはり埼玉北部からのアクセスが悪いということもあり、大宮に新しい球場を作ってほしいとの嘆願は1980年代を通じて出ていたのだが、新球場を作る土地を得ることに苦労した結果、県営大宮球場を解体・新築するという決定がなされ、1989年に着工される。1992年に現在のスタジアムに生まれ変わり、両翼99メートル、センター122メートル、内野はクレー、外野は天然芝、20500人が入る球場になり、高校野球の決勝も再開されるようになった。一時期中断期間があったとはいえ、長年埼玉県の高校野球の中心地として使用されているだけあって、やはりこの球場は高校野球のイメージが強い。

(以下は、文章・写真ともに2016年8月26日のプロ野球パ・リーグ、埼玉西武ライオンズ北海道日本ハムファイターズの試合から)





上:試合会場の様子
中央:ファイターズの先発有原航平投手。打者はライオンズ・秋山翔吾選手
下:ライオンズの先発菊池雄星投手。打者はファイターズ・田中賢介選手

だが、1992年の改装によってこの球場は現在のプロ野球の基準を満たすものになったので、公式戦が開催できるようになった。2008年から西武ライオンズがこの球場を準本拠地に指定し、1年に3試合ほど試合を行っている。ライオンズは長いこと「西武グループの球団」という意識が強く、西武戦沿線以外で試合を行ってこなかったのだが、2000年代前半に球団再編問題が起こった頃からそのような体勢が見直され始めた。東京や他県から来易い大宮駅の近くにあるのでこの興行はなかなか好評である。ナイターに照らされた球場でプロの球場MCやチアリーダーを用いて客席を盛り上げるライオンズの試合は洗練されたエンターテインメントという感じで、ひたむきな高校野球や独立リーグと比べて華やかである。

           



         


上:レフトスタンド。
中上:ライトスタンド。
中下:埼玉県ゆかりのマスコットが踊る。左から、さいたまっち、コバトン、ミーヤ(Jリーグ・大宮アルディージャのマスコット)、一平くん、ランちゃん(最後の2つは、この日の試合のスポンサーを務めた埼玉トヨペットのマスコット)。
下:ラッキーセブンのジェット風船

地方球場とはいえ、埼玉県球界の中心地的な扱いをされる球場なので、県内の他の地方球場と比べて観戦環境は遥かに優れている。ここの集客能力は2万人以上で、埼玉県内の地方球場でこれ以上の規模のものは存在しない(西武ドームはここより大きいが、これはプロ野球球団専用スタジアムで、地方球場ではない)。

また、地方球場はファウルグラウンドに投球練習用のスペースを設けているところが多く、そのため一三塁側の座席がフィールドから遠くなってしまい、ここに座るとグラウンドが遠くなって見づらいと感じられるような造りのところも多い。だが、県営大宮球場は一三塁側の座席の下、ダッグアウトの横にブルペンが埋め込まれていることからファウルグラウンドがコンパクトで、そのため一三塁側の座席に座ってもグラウンドの様子は見易い。なので、外野寄りの座席に座ってもそれほど見づらくはない。また、座席も高さがあるのでグラウンドが俯瞰で見えるというのもいいところである。総じて観戦環境は悪くないと言えるだろう。

ただ、プロ野球球団の純本拠地と比べると、やはり若干設備は劣ると言わざるを得ない。真上の写真2番目を見てもらえば解ると思うが、外野席は全て芝生である。これだけならば西武ドームと変わらないが、外野席中央には照明が埋め込まれており、試合中の大地震でライトが落ちてきたりしたら危ないので、お客さんは入れない。このあたりのスペースの無駄遣いがもったいないと感じられてしまうのだが、真裏にNACK5スタジアムのバックスタンドがあるので、照明灯を移す隙間もないのである。

また、座席はバックネット裏は座席だが、それ以外は全て木製の長椅子で、お客さんに1人に椅子が1つあてがわれるわけではない。この椅子がまた硬く、3時間弱野球の試合を見続けているとお尻が痛くなる。また、地方球場なので仕方ないと言えなくもないが、スコアボードは電光ではあるが、プロ野球本拠地球場のように大きなものではなく、また映像を流せるオーロラビジョンでもスコアボードの下に小さく設けられているだけに過ぎない。2008年には、ライオンズのプレーオフの試合をここで主催することも検討されたが、このようなハード面の問題があり実現には至ってない。当面の間は、1年に数試合ライオンズの試合が行われる程度であろう。

最後に、ほとんどの地方球場がそうであるとはいえ、この球場はバックネット裏以外に屋根がない。野球の場合は雨が降れば試合が延期(プロ野球の場合は中止・チケット料金払い戻しも)されるので、サッカーやラグビーの時ほど天候を気にしなくてもいいが、日差しの強い日は日射病や熱射病にお気を付けを。

最寄駅は大宮公園駅だが、ここからだと住宅地を突っ切らなければいけないのでちょっと迷いやすいのがネック。そういう意味では大宮駅から歩いた方が解りやすいのだが、こちらのルートだと20分ほどかかる。とは言え、埼玉県有数のハブから歩ける距離にあるということで、交通の便がいいことは間違いない。

メインページ

初めてのスポーツ観戦をご検討されているなら
大宮公園公式ホームページ