『上野発青森行き』『東京発大阪行き』『大阪発新潟行き』
「ああ、夜行列車の行き先ね。」と思った方、残念違います。
実はこれら、全て鈍行列車の行き先です。いや、正確には「でした」。
通勤時間帯以外は1車両に乗っているかいないかという乗車率なのに、
無駄に長い編成を従えてまったり長距離を走る・・・
これがおおよそ30年前の鈍行列車の姿でした。
しかし今では『都市と都市を結ぶ』という従来の役割は特急列車に任せ、
『都市とその近郊の都市を結ぶ』という中距離列車が主流です。
例えば、高崎線で言えば上野からせいぜい行っても新前橋まで。
かかっても2・3時間で移動できる場所へしか走らなくなっていきました。
しかし、滝川~釧路の長距離を1日かけて走る列車があったんです。
その列車こそが2429D、乗車時間:8時間2分・総走行距離:308.4km。
さらにJR北海道は鉄道ファンに人気になっていることに目を付けて、
完乗証明書を期間限定で配布するなど、積極的に勧誘しています。
しかしその完乗証明書が今年10月31日で終了してしまうとのこと。
完乗証明書を貰うために、そして根室本線をまったり堪能するために、
今回はそんな2429Dに乗車してきました。
というわけで前回の続きです。
前回ははまなすで札幌、普通列車で爆睡して滝川まででした。
いよいよ2429D耐久8時間乗車のはじまりです。
【第3日目 8/27(Sat)】
滝川09:37~(2429D 根室本線 普通 釧路行き)~10:48富良野~
■2429Dの旅1
2429D:定期普通列車運行時間日本一
2429Dは『日本一運行時間が長い定期普通列車』。
その時間は8時間2分で1位、因みに距離は308.4kmで2位です。
JR北海道はそれを売りにしていて、滝川駅がその列車の始発駅である
ことをアピールするために、1番線には至るところにポスターが。
さらには毎月第2・第4土曜日は朱色7号で運転するとのこと!
実はこの時期に旅行計画を立てたのは8/27が第4土曜日であるから。
折角乗るのならば朱色7号2両編成がいいですよね。
・・・因みに、「日本最長定期普通列車」と言うと定義が曖昧で、
・2429D(滝川~釧路:根室本線)
・1725M(岡山~下関:山陽本線)
・山手線
の3つを挙げる人がいるかと思います。
山手線に関しては、1日中回り続ける運用が最長というのだとか。
しかし山手線、そして1725Mは途中で列車番号が変わってしまうので、
さらに1725Mに関しては広島周辺で快速運転を行うということから、
列車番号も変わらず正真正銘の普通列車:2429Dが最長です。
とりあえず列車から降りて駅看板を撮影し1番線に移動します。
ただでさえ8時間あるので座席を確保するためです。
先客はキャリーバッグを持った1人のみ。これで座席は確保同然です。
時間がしばらくあるので駅周辺で食料調達をするとしましょうか。
滝川駅舎は2階建てで駅前にはロータリー、ビルも立ち並びます。
いかにも北海道の主要都市と言った感じの雰囲気です。
売店は改札口出て左にある待合室の中にキオスクがありました。
とりあえずプリッツ2箱と烏龍茶3本を仕入れて駅に戻ります。
座ってるだけ8時間2分と言うもの、軽い装備で臨むべからず・・・
滝川駅1番線の出口真正面には鉢植えと木のイスが。
座ってもいいのかな?と言いながらも既に座ってる俺(爆)
根室本線の始発点、そして旅の始発点を歓迎しているようです。
まあそれにしても暇ですなあ・・・いくら座席取りとは言えねえ・・・
2429Dの前に1本滝川止まりの普通列車が到着しました。
そこに現れたのは青い服の作業員。手になにやら持っています。
見ると日本一長いが故にボロボロの2429D釧路行き専用サボでした。
逆にこのボロボロさに昔を受け継ぐ威厳が感じられます。
スナップ。それにしても今日の札幌は快晴で気持ちいいですなあ~
この列車が2429D?かと思いましたが、しばらくして回送されました。
・・・しかしどうにか嫌な予感しかしません。なぜなら、
留置線にいるのがキハ40形北海道色1両だけだから。
それに発車時間が近づくにつれて入換作業を行っているようです。
まあJRのサイトには「運用変更あり」と書いてありますが・・・ねえ・・・
回送列車が行くとなにやら列を作った軍団がこちらに迫っています。
見たところ雰囲気が団体ツアー。えーこの1両に大量に・・・(汗)
因みに主要駅では全ドアが開くので、これは座席争奪戦の予感?
・・・この後、年配者たちのツアー客らと意外な接点があったとは、
知る由もなく「屋根乗れよー」だの愚痴ってたのは・・・w
ぶーぶー不満言っているとやがて接近放送が鳴りました。
時間的には発車の10分前。2429Dとしか考えられません。
そして、2429D入線―――
2429D キハ40-1742
ってやっぱりキハ40はキハ40でも北海道色でしたーorz
運用変更・・・まあ2429Dに乗れるのでよしとしましょうか・・・
2429D専用サボと車番。
今回の8時間2分の旅はキハ40-1742にお世話になります。
運転台。お馴染み緑の運転台に機器類のボタンが並びます。
因みに上の写真の通り、2429Dはワンマン運転。
運転台にはよく見るとドアスイッチも集約されていますね。
座席は・・・見事無事に4人分1区画確保!
思ったほどの座席争奪戦にはならなくて一安心です・・・
キハ40はブルーのモケットになっています。柔らかさはまあまあですね。
網棚に荷物を置いてカメラをスタンバイ、発車を待ちます。
・・・そして10分後の09:37、滝川駅定発。
気動車らしくエンジン起動音を響かせてゆっくり発車して行きました。
この先にはどんな風景が待っているのか・・・楽しみです!
列車は滝川駅のポイントを越えると函館本線と分岐します。
しばらくは住宅街の合間を縫って進みます。
分岐したところで列車は再び加速し始めます。
が、ほんの2分走っただけで風景はこのように一変、田んぼばかりです。
さきほどまでは住宅街が立ち並んでいましたが、川を境になくなりました。
車内放送では「釧路行き、ワンマンカーです。」との放送。
外から見ると「釧路」の文字のサボがどこか誇らしげに見えそうです。
滝川の次は9分で東滝川に到着します。
東滝川と言っておきながら滝川の様子は全く見受けられませんが(汗)
東滝川では快速狩勝待避のために早速5分停車します。
さすが日本一最長時間の普通列車、序盤からまったりしています。
快速狩勝を先に通して東滝川を出発しました。
田んぼを進むとまたも9分で次駅の赤平に停まりました。
赤平駅はレンガ造りでどこかヨーロッパ風の駅舎になっています。
途中駅にも関わらずいきなりすごい駅舎の登場です。
しかし一方で隣の茂尻駅はプレハブ小屋同然の佇まいでした。。。
因みに茂尻へは4分とこの区間では珍しく短距離です。
続いて平岸駅も5分の距離にあります。
だからと言って風景に差があるわけでもなく田んぼが広がっていました。
北海道も日本有数の米どころですから・・・しかしこれがまたイイ!
芦別駅舎。というか茂尻から同じ感じの駅舎ばかりなんですが・・・
しかしそんな中でも、「変わったもの」もあります。
そう、風景が田んぼから山間部に変わったのです。
山に挟まれて進みひらけたと思ったら川を渡っていました。
やっぱり山の中を走るのが北海道らしいですね!
しばらく進むと山は離れていき、代わりに住宅街が見えてきました。
するとまもなく線路と合流。旭川から来ている富良野線です。
富良野線と合流してポイントを渡っていくと・・・
富良野駅に到着しました。到着時刻は10:48、順調です。
ここまでで約1時間の行程、まだまだ後7時間もあります。
富良野からはキハ40形を最後尾にもう1両連結させて2両で運転します。
そのために富良野には20分間停車、ホームに出て撮影するとしましょう。
続きは次回、富良野の連結作業からです。