夢より勝手に、昼夜逆転 | ウソの国ー詩と宗教(戸田聡 st5402jp)

ウソの国ー詩と宗教(戸田聡 st5402jp)

キリスト教、ポエム、理念、批判、など。古い記事が多いです。


  夢より勝手に
 
まだ生きてたの
と言うのだ
かつての好ましからざる同僚が
まるで家畜を見るような目で
悪し様に言うのだ
もちろん夢の話だ おぞましい悪夢だ
いったいどんな思惑(しわく)が見させたのか
室温十四度の部屋で
汗をかいて目が覚めた
朝だ 夜は眠れたということだ
しかも晴れだ
何と裏腹な・・・こんな目覚め方
窓もドアも開けていないのに
蠅が一匹部屋の中を飛んでいる
まともなパターンの睡眠
悪夢のうちに取れましたと
日記に書いて落ち込んで
またベッドに入って
ふて寝して一日を過ごすか
嫌だな 夢にまで負けるなんて
気晴らしに出かけたからといって
どうなるものでもないが
二十日間ずっと眠っていたオートバイ
タンクの汚れをざっと拭(ぬぐ)って
起こして 逃げるとしよ
まとわりつく夢を振り切って
かつて衝突して骨折した防波堤のある
海沿いの道へ 晴れた春の海が
待っているということはないのだが
それで我が身の汚れが
拭えるわけでもないのだが
 
(2001年03月14日)
 
 
  昼夜逆転
 
部屋の明かりを消して暫(しばら)くすると
夜から差し込む微(かす)かな光と
待機電源の光と網膜の暗順応のために
天井や窓の輪郭がうっすらと目に映る
見るべきものは何処にある
 
目を開けたり閉じたり
を繰り返しやっぱり眠れないと
明かりをつけて一服すれば
もうすでに2時間ほど経っている
また明かりを消して横になる
また朝までの同じ繰り返し
のうちに
想うことといったら
昼間ずっと起きていられるのは
月曜日だけという睡眠リズムが
ここ2週ほど続いていることや
次第に目立ってきた顔の紅斑のこと
醜い顔だ皮膚の老化かアレルギーか
もしや紅斑性狼瘡(エリテマトーデス)
ではあるまいか・・・取り留めもなく
 
もっと見つめるべきもの
どこへいった どこへやった
衰えた羽(はね)をゆっくり揺らしながら
死は招かずとも来るものと
穏やかに止まっていたはずなのに
いったい何処を飛びたがっている
今さら病気を気にするなんて
と心のうちに苦笑する
毛虫も未だ見ない
寒い日が続いている
独り男が独り笑みする
蛾(が)のような夜である
 
(2001年03月10日)