2021年4月10日「声優夫婦の甘くない生活」鑑賞
ソ連からイスラエルに移民してきたスター声優夫婦の第2の人生を描いたイスラエル製ヒューマンドラマ
旧ソ連圏から移民したエフゲニー・ルーマン監督が自らの体験をもとに、海を渡ったロシア系ユダヤ人のリアルな姿が描かれてました
1990年にソ連からイスラエルへ移民として渡った声優夫婦のヴィクトルとラヤが新天地で厳しい現実に直面しながらも奮闘していました
二人はかつてハリウッド映画やヨーロッパ映画の吹き替えをしてきたスター声優で、イスラエルへの移民を決めた背景には、ソ連ではスタジオが民営化され、若い声優に仕事を取って代わられたという苦い事情があり、イスラエルへ行けばロシア移民向けのロシア語吹き替えの仕事があって、キャリアを再構築出来ると思ったからなんですね
でも、移民の増加で人々はローンや保険で頭いっぱい
加えてイラクのフセインによる化学兵器の使用に対する不安が高まっていて、市民にガスマスクが配布される緊迫した情勢なわけで、映画などの娯楽を楽しむ余裕がない
そのころ移住してきたロシア系ユダヤ人は相当多く、1990年代はソ連からイスラエルに移住したユダヤ人は約120万人もいて、それはイスラエルの人口の1/5にも及んだという
しかも夫婦はヘブライ語がわからないわけで現実は甘くないんですよね
結局、巧みな音色を武器に「マルガリータ」として秘密の仕事を始める妻ラヤ
海賊版レンタルビデオ店で新たな職を得る夫ヴィクトル
映画泥棒だってやっちゃう(苦笑)
当時のイスラエルの現実がリアルに表現されていて、ラスト近くではサイレンが鳴り響くなか、皆ガスマスクをつけて怯えるシーンがあって、私なんか映画を見ながら驚愕してしまうんだけど、湾岸戦争の時には実際にイラクからイスラエルにスカッドミサイルが撃ち込まれているものね(因みにスカッドってソ連製だったりもする)
でも戦闘中でも、市民は働き、娯楽を楽しみ、懸命に自分の人生を全うしようとしているんですよね
冷静に考えると結構カオスだな、と(苦笑)
寓話性のある物語でもあり、且つシンプルに構成されていて伏線もうまくはられていたし、ほのぼのとしているけど、テンポもよく、コミカルでもあったし、あっという間のエンディングでした
切なく、ほろ苦く、最後は温かくなります
イスラエル映画って初めて観ました
2020年12月18日日本公開
映画「声優夫婦の甘くない生活」
監督/エフゲニー・ルーマン
脚本/エフゲニー・ルーマン、ジブ・ベルコビッチ
出演/ウラジミール・フリードマン、マリア・ベルキン、アレキサンダー・センドロビッチ、他
上映時間/88分
喫茶店ヴァロンでランチ
地元の野菜たっぷりの日替りメニュー
お家では韓国料理ばかりなので、久し振りに日本の日常の家庭料理が楽しめて美味しかった~♪