一の坂川/山口県山口市後河原 | 沸点36℃

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他愛のない日常と歴史散策、主観

10月4日散策/一の坂川


周防・長門の守護となった24代大内弘世が京に憧れを抱き、京の都に模した街づくりをするため、京都盆地に酷似した山口に本拠を移したと云われている


(5月9日撮影/香山公園)

中央に本拠を置き、街を縦横に区画、街路名を大路・小路と京風にしていて、一の坂川は本拠の近くを流れ、京の鴨川に見たてられた



「初夏の一の坂川はゲンジボタルが舞う」

これは24代弘世が京から姫君を妻に迎えたとき、京の都を懐かしみ寂しがるのでそれを慰めようと、宇治のゲンジボタルを取り寄せ一の坂川に放したのが土着したものと伝えられている

春は桜が咲き誇り、夏の青々とした新緑、秋の紅葉、冬の雪景色と四季折々の表情を見せてくれる一の坂川は現在も市民に親しまれている



大内文化はとても優しい

弘世の文化施策は、京文化の山口への移植にあったと思われるが、その根底には京への限りない憧憬がある



京の公家出身の姫のためか、弘世は山間に佇むような山口の小盆地を京に見立てるだけではなく、驚くべきことに町の辻々にはわざわざ京童を住まわせたという

京ことばの普及がねらいだったと云われている


(6月7日撮影/一の坂川ゲンジボタル)

山口のシンボルとして親しまれる天然記念物、ゲンジボタル

「ホタルを守る会」は市民によって結成されていて、飼育と保護、保全に尽力され、秋になると小学生児童によるホタルの放流が行われる

まるでそれは天の川のような幻想的な世界である



ホタルの保護、飼育をされている蔵があるのだが、その蔵の周囲にはいくつもこうした井戸がある



井戸の深さは10m90㎝水面高7m40cm
こうした井戸でゲンジボタルの人工養殖に使用されている



この蔵は、瓦屋根の下に隙間がある「にさんの蔵」(梁間2間×桁行3間)で、山口地方では大正から昭和初期にかけてこの形式の土蔵がよく見られたそうだ

国の有形文化財に指定されている



意外な場所で夏の風物詩として親しまれているゲンジボタルが保護飼育されているとは、さすがに驚いた



山口市では明日(10月8日)放流される予定だ



この土蔵は、旧野村家住宅の庭の中にあり、自由に見学が出来る



明治19年に酒屋(杉酒場)として建てられたもので、主屋は木造平入り2階建て桟瓦葺きである



この野村邸も国の有形文化財に指定されていて、家屋の中はまるでちょっとした郷土資料館である




来年の夏もまた、ゲンジボタルが乱舞する一の坂川を橋の上から眺めるのを楽しみにしている


ぺこペコリ