No.2 石塚心
彼は、最強の経歴の持ち主。Jrユース時代から名門・横浜Fマリノスに所属し、U16、U17、U18と年代別の日本代表・代表候補に選出され、その名は広く知られていた(俺は知らない)。立教大学に進んだ今も彼のスピードは健在で、正確な左足のクロスで俺にアシストしてくれる。彼はその経歴とは裏腹に、意外な一面もある。彼は意外にも繊細でメンタルが弱く、大一番でコーナーキックのキッカーを任されるのをとてつもなく嫌がる。そして、キンキンの水を飲むとその翌日には必ずお腹を下す貧弱な男だ。
そんな彼とは、一緒に車で帰宅し、爆発した不満を共に叫び合ったこともある。とてもスッキリしたね。彼は、苦しい時期も順調な時期も経験してきたからこそ、今の彼が綴るこのブログには深みとリアルさがあるはず。3年次の石塚心は何を語るのか。皆様、必見です。
水野将人(FW/武南高校)
「チャンスをものにする」
自分も大学サッカー生活3年目を迎え、今回なに書こうかなって今までの大学サッカー生活を振り返ったが、良い思い出はあまりなかった。立教に入学してから現在までAチームにはいるものの常に試合に出ているわけではないし、ただAにいるだけという立場にある時期もあった。プロになるために入ったのに、そのステージへの距離は遠くなるばかり。そんな状況からもプロを目指すなんて言っていて良いのか、サッカーつまんねーなと思う日もこの2年間はとても多かった。
そして3年目。プロになるためには結果が求められる年となった。そんな中、関東開幕してすぐに怪我をして離脱。新シーズン始まって以降、痛みを抱えてプレーをしていたが、本来の動きができないことを感じ、とびさんにも話した中でまずはしっかり治すと決めた。その後は関東でプレーするみんなをピッチの外から応援した。立教のために走る選手達を見て、このままで良いのかと内心とてつもない焦りがあった。1ヶ月ほどで復帰し、やっと試合に出れると思ったが、大学サッカーもそんなに甘くない。自分が怪我をしている間は、別の選手がいる。そんなことは当たり前だし、自分でもわかっていた。それでも早く試合に出ないとまずいと焦り、プレーに余裕がなくなり、ミスを繰り返す。そんな悪循環を繰り返していた中、関東8節順天堂大学戦やっとスタートで出ることのできるチャンスを得た。
結果は前半40分ほどで交代。正直この試合は自分の中で将来に向けた分岐点になると思っていた。そんな中交代して、メンタル的ショックはとてつもなく、サッカーやめようかなとまで本気で考えた。ベンチへと歩く途中で立教応援側から聞こえるクスッとした笑い声を聞いた時はやっぱ誰も期待してないんだなと思った。ベンチに帰ってからはスタッフの方々や、ベンチメンバーに声をかけてもらったけど、なんと言われたかほぼ覚えていない。覚えているのはとびさんからの「ごめん。」の1言。それが1番辛かった。チャンスをもらったのになにもできなかった自分に苛立ち、座ってからは久々にめちゃくちゃ泣いた。そして頭真っ白のまま家に帰ると、本当になにもかもやめたくなった。その夜23時頃1人家に訪ねてきたやつがいた。外に出ると慎(3年/JFAアカデミー)がいた。メンタルを気にして慰めにきて話を聞きにきてくれたらしい。そこでその試合のこともそうだし、これからのことも結構話した。だいぶあれは助けられたよ、慎ありがとう。その後両親や、同期、慎のお父さんなど、自分を応援してくれている人たちとたくさん話し、100%切り替えられたわけではないが、もう1度頑張ろうと思った。次来るチャンスは必ずものにできるようにまた1からサッカーを楽しもうと思った。そして始まったアミノバイタルカップ。1回戦はベンチに入るも出場なし。2回戦はベンチ入りの予定だったが、スーパールーキーわたる(1年/西武台高校)の件で色々あって当日のキックオフ1時間前に急遽スタートに変更となった。こんな形で試合に出ることは、今までのサッカー人生でなかったし、いきなりすぎて、緊張より笑いが勝っていた。色々な人からやれよ!と笑いながら言われ、もうとにかく失うものはないし、楽しもうって思った。試合前もピッチに選手を送り出す際、自分の時だけ、とびさんはめちゃくちゃ笑っていた。「まぁ頑張れ」って言われた。良い意味でめちゃくちゃ力を抜けました。ありがとうございます。結果は負けてしまったが、個人の出来としては手応えを感じた。楽しむ気持ちだけでプレーがよくなったとは言えないが、メンタル的に良い中で気持ちよくプレーはできただろう。その後の関東はスタートで出ることが増え、あの試合でチャンスをものにできたのかなと今は思う。イレギュラーな形で与えられたチャンスではあったが、自分のできることを100%出し、とにかく楽しんだ。そんな状況でもプレーできるかどうかは自分次第であるし、それまでに準備をしていないやつは間違いなくなにもできずに終わる。これから先どんな形で他の選手にチャンスを物にされるかわからないし、どんな選手にとっても毎練習、毎試合がチャンスの場。そんな場所で常に誰よりもサッカーを楽しみ、立教のために自分のできる全てを出す。そしてこれからもある数少ないプロになるためのチャンスを物にしたい。
〈プライベート写真〉
同期(左から2番目)
NEXT No.3磯部裕貴(DF/浦和西高校)