4年性引退ブログ 宮倉 樹里杏「プロサッカー選手という世界」 | 立教大学体育会サッカー部日記

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2013.3~

☆4年生引退ブログ☆

 

 

 

 No.23 宮倉 樹里杏

 

 

「プロサッカー選手という世界

 

 

 




《プロフィール》

 

 

学部学科:法学部国際ビジネス法学科

出身校:川越東高校

ポジション:FW

背番号:9

 

 

 

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 『プロサッカー選手という世界』


僕は今年の夏に1週間ほどJリーグのチームの練習に参加させていただいた。参加する前は正直かなりビビっていたし、いつもDAZNで見ているプロ選手たちの中に入って全く何もできないのではないだろうかと心配していた。しかし、プロのレベルがどのくらい高くて、大学サッカーとどれほどの差があり、また、自分のプレーがどこまで通用するのかは相当興味があった。絶対に何かを得て戻ってくると心に決めていた。


実際トレーニングに参加してみると全く自分がいいプレーをできたわけではないし、何かアピールできたわけでもないが自分の中ではそれほど大学サッカーのレベルと差がないのではないかと正直感じた。自分の得意とする対人能力の部分ではかなり通用するのだと知ることもできた。もちろんプロの選手たちはみんな基礎技術はすごく高くて、みんながそれぞれのストロングポイントを持ってる。


しかし、プロサッカー選手としてプレーしている選手たちの何が特別すごくてこの世界に入れているのか練習参加が終わるまで自分は分からなかった。僕が言えることではないが大学サッカー界にもプロの世界で通用する能力を持っている人は多いと思うし、なぜその中からプロに選ばれる選手がそこまで多くないのか疑問であった。


だが、僕が練習参加をさせていただいた時にひとつだけ鮮明に覚えてるワンプレーがある。それはゴール前の2対2の対人のトレーニングの時だ。このトレーニングにはボールの配球役がいて主に中盤の選手がやっていた。彼らのパスを攻撃陣の2人のどちらかが受けて始まるトレーニングだった。僕は攻撃の選手をやっていて、配球役の選手から鋭い丁寧なパスを受けて始まった。その時僕は配球役の選手に「ナイスボール」と言ったが、彼は小声で「あ〜、少し浮いちゃってるなあ」とつぶやいたワンシーンだ。


このワンシーンこそがプロサッカー選手とそうでない選手の違いだと後々プロサッカー選手という存在について考えるようになった時に気付いた。


僕にとってあのパスはかなり丁寧に思えたし、トラップしやすいボールであった。しかし、パスの出し手の選手にとってあのパスは少し浮いているようであり、より完璧なパスを目指そうとこだわっていたのだ。元々能力の高い選手たちがこんなにもこだわって練習していたらプロの方がどんどん上手くなって、より差が開いてしまうと感じた。


この選手それぞれの基準の高さ、何気ないワンプレーへの“こだわり“が明らかにプロサッカー選手とそうでない選手の違いなのだ。この”こだわり“を持った選手の方が絶対に上手くなるし、そんな選手がプロサッカー選手という世界に参入するのだと思う。


もちろん自分もみんなもごだわってプレーしているだろうけど、プロはもっと高い次元でこだわっている。あのパスは大学のトレーニングであったら、確実にナイスボールと言われるパスであったし、出し手の選手もそれなりに満足してしまうくらいのパスだったと思う。


確かに立教大学サッカー部の監督を務めているガミさんも僕の自主練習を手伝ってくれる時にワンプレーワンプレーに相当こだわっている。特にクロスを上げてもらうときは一球一球に「あ〜、もうちょい上だなあ」とか「ちょっと低いかあ」など毎度毎度つぶやいている。より完璧に近いクロスを毎回毎回目指しているのだ。ガミさんも元々プロサッカー選手として活躍していた過去があるからこのような感覚が根付いているのだろう。


練習参加をさせていただくまで、僕はパスアンドコントロールのトレーニングなんか次にパスを出す選手のところの位置にパスを出せていればいいものだと思っていたし、パスの質やスピードなんてほぼ意識したことがなかった。


しかし、あの練習参加をさせていただいて以来一個一個のプレーをかなりこだわるようになったし、特にパスアンドコントロールのトレーニングでは一喜一憂するくらい一回一回のトラップ、パスにこだわっている。たまあにパススピードを意識しすぎてシュートになることはあるが。正直この1、2ヶ月でトラップとパスの精度、質は以前の自分に比べて相当上がったと感じている。浮いたボールの処理や修正能力もかなりできるようになってきた。


後々気付くようになったが、このプレー一個一個の”こだわり“以外にもプロ選手とそうでない選手との違いはかなりあった。アップの時に最後のマーカーまで必ず行く事、スプリントトレーニングで最後まで絶対抜かないで走り切る事、トレーニングの2時間前にクラブハウスに来てストレッチや体幹をして100%で練習に取り組める体を作ること。僕は大学のトレーニングでこれまでアップで最後のマーカーまでほぼ行ってなかったし、スプリントトレーニングでも最後はスピードを緩めていた。グランドの到着も30分前で10分くらいのアップで練習に参加していた。


今思えば俺なんかがプロサッカー選手になれるわけがない。だけどこの練習参加のおかげでかなり良い変化が生まれた。クラブハウスには2時間前に着くようになって、携帯をいじりながらでもストレッチはするようになったし、アップでも必ずダッシュは走り切るようになった。トレーニング一つ一つの細かいところを常に意識するようになった。


もっと早くこのようなことが気付ければ今にはより上手くなっていたに違いないし、可能性は広がっていたはずだ。ただ、そんなことは言い訳で過去のことなんて変えられないから今できることに最善を尽くすしかない。残りの期間で出来ることは全てやる。今日より明日と毎日上手くなろうと努力する。


あの練習参加は自分のサッカーに対する価値観を変える本当に素晴らしい経験だったし、サッカー人生を変えたと言っても過言ではない。


僕の目標はプロサッカー選手になって活躍し、有名になること。ただただプロサッカー選手になることが目標ではない。しかし、まずプロサッカー選手にならないと何も始まらない。


今年、関東リーグで思うように活躍出来ていない。去年に比べると全く結果は残せていない。正直自分の中でもプロになんか成れないだろうと心の中でここ最近感じてしまっている部分があった。


だけど、確実にこのままでは成れない。


だって結果残してなんぼの世界だから。でも残りの試合数は少ないかもしれないけどまだ残っている。4試合も残っている。スカウトの方々は毎試合見に来ている。自分のことを目的に見に来ていなかったとしても1発決めてインパクト残せればそれでいい。今僕は絶対にプロサッカー選手になれるかなれないかの紙一重の世界にいる。それは自分でもよくわかっている。本当にあと一息だ。


プロになって有名になる話題性はもう揃っている。高校は進学校でありサッカーでは無名校。親のおかげもあってある程度背が高くて、ある程度顔良いと思っている。本当にあとプロサッカー選手になるだけだ。


応援してくれる人も周りに本当に多くいる。中学時代所属していたFC古河ジュニアユースのスタッフたちも毎回Twitterで僕の情報をチェックしてくれてるし、高校の同期や監督、大学の友達も点を決めると必ず連絡をしてくれる。彼らにプロサッカー選手という存在として応援されたい。


サッカーをやっている人なら絶対に感じたい瞬間がある。それはスタジアム入場するあの瞬間。アンセムと共に入場するあの瞬間。僕は経験したことないけどテレビでやスタジアムで見ているだけでも鳥肌が立つ。日本代表戦やチャンピオンズリーグ、Jリーグもそうだ。見たことがある人なら皆必ずわかると思う。あのアンセムと共に入場する痺れる瞬間を。絶対にあの瞬間を入場する側の選手として経験したい。


残り4試合絶対に全勝する。絶対にゴールを決める。その1点で勝つ。後輩のためにも残留だけは絶対に成し遂げなければならない。まずはチームのために立教のために全力で戦う。その結果として自分の評価に繋がればいい。



同期へ。


まず一つだけ正しておきたい事がある。今年の4年には問題児が多いけれど、問題児界のチャンピオンは俺。世界のトップ。この座だけは譲れない。熊瀬(GK/FC町田ゼルビアY)が去年チャンピオンと自分で豪語していたが彼はただのビジネス問題児。チキン。


毎日毎日、部活があって調子が上がらずサッカーが嫌になっていた時でもグランドにはめちゃくちゃ行きたかった。練習前の部室、グランドのベンチ。みんなの話が面白すぎて本当に楽しかった。あのしょうもない話を練習前にする時間もあと少しと考えると本当に悲しい。


グランドに入ればみんな目の色変えてバチバチ戦う。仲良いとか全く関係ない。サッカーを全力で真面目に取り組む素晴らしい集団。たまあにイライラして僕に削られた選手は申し訳ない。


ピッチ外でも一緒に遊んでくれてありがとう。毎日一緒にいても飽きない集団だった。そして、さまざまな伝説も残してきた。これからもまた馬鹿みたいなことして死ぬほど騒ごう。


4年間ありがとう。



両親へ。


まずはお母さん、普通であったらお母さんのご飯で僕の体はできているとか言いたいがうちの場合は違う。俺の体は吉野家、すき家、松屋、CoCo壱、丸亀製麺でほとんど出来ている。中学生の引っ越しの時、わざわざお母さんはこだわってアイランドキッチンを置いたのに料理は全くしない。まあ別にそれでも良い。夜遅くまで仕事をして、俺のためにいつも頑張ってくれてる。サッカーの応援をいつだってしてくれた。でも試合だけはうるさいから見に来て欲しくなかった。本当にいつもいつもありがとう。


次にお父さん、小学生中学生の時はサッカーの送り迎えをいつもしてくれた。たまあにサッカーの練習相手もしてくれた。ただお父さんにも試合だけは見にきて欲しくなった。見に来られるとなぜか必ず調子が悪くなるし、試合後にはいつも「全く走れてないじゃん」とか「お前雑魚じゃん」、「あんなの俺でも決められる」など言ってくる。サッカー経験者でもないのにそうゆう事を言ってくることに対して本気で腹立つ時がよくあるが、点を取った時だけあんまり何も言ってこない。残り4試合しかないけれども点取って黙らせたい。とりあえずいつもありがとう。


2人にはいつか必ず恩返しをしたい。それがどんな形であれ必ずする。22年間育ててくれて本当にありがとう。


 

 

 

《お気に入りのプレー写真》

 

 

 



 

 

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三好 拓人(MF/立教池袋高校)