2010年8月の読書メーター
読んだ本の数:27冊
読んだページ数:9139ページ
■雨鱒の川 (集英社文庫)
☆6 絵を描くしか取り柄のない少年と耳の聞こえない少女の初恋物語。少し特殊な二人で友情のような恋を和やかに育んでいくのが良かった。何もする意志のない主人公にはイライラしてしまって、むしろライバルの英蔵の方が好きだった。最後のシーンの英蔵には感動した。全体的には綺麗な自然と方言の組み合わせがいい読み心地を生んでいた。
読了日:08月01日 著者:川上 健一
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■文学界 2010年 06月号 [雑誌]
☆7 二つの芥川賞候補のために読んだ。穂田川洋山の『自由高さH』は特になにが面白いというわけでもないのに、巧みな文章で読ませるものがあった。ネザマフィの『拍動』がなかなか面白かった。外国人と日本人との文化の違いを改めて感じ、言葉が通じるかどうかはやっぱり大切なことだと思った。そして日本人が思っている以上に日本人のことは理解されていない。違う観点から描かれた日本人を知ることもできる良質な小説だった。あと川上さんの『ヘヴン』についての分析は興味深く読めた。また『ヘヴン』を読みたくなる。
読了日:08月02日 著者:
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■光と影 (文春文庫)
☆7 病院でのできごと中心の短編が4つあった。予想以上に全部面白かった。病人になってしまった人の繊細で不安定な気持ちをよくあらわしていて入り込めた。表題作で直木賞受賞作の『光と影』は些細なきっかけによる分岐点がどんな結果を生み出すのかを残酷に描いている。何がどこにつながっているかは本当にわからない。
読了日:08月03日 著者:渡辺 淳一
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■レベッカ〈上〉 (新潮文庫)
☆6 最初は語り手である「わたし」の言動にイライラさせられたけど、身分を超える恋愛というのにはいろいろと問題があるということにも気づいた。「わたし」の心理描写が等身大でわかりやすく描かれていると思う。だからこそ前妻である「レベッカ」の影の怖さが伝わってくる。もう死んでしまっているのにこの存在感を醸し出す彼女が気になる。これからどう展開されていくのか楽しみだ。
読了日:08月04日 著者:ダフネ・デュ・モーリア
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■日本の優秀企業研究―企業経営の原点 6つの条件 (日経ビジネス人文庫)
☆6 具体例が盛り込んであるのでとても解りやすくなっていた。まだまだ日本には優秀企業が少ないと感じたが、経営者がしっかりと見つめなおせばより良くなっていくと思う。
読了日:08月04日 著者:新原 浩朗
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■レベッカ〈下〉 (新潮文庫)
☆6 やっぱり勝者はレベッカだった。「わたし」やマキシムだけでなくみんなレベッカの思い通りになっていたと思う。後半怒涛の展開で一気に終わるが、その引き締まった緊張感が素晴らしい。レベッカが死者だからこそ、読んでる側の気持ちを上手く撫でてくる。これで第一章に戻るのが正しい読み方なんだろう。
読了日:08月05日 著者:ダフネ・デュ・モーリア
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■新装版 とらんぷ譚4 真珠母の匣 (講談社文庫)
☆7 とらんぷ譚が一応終わった。今作も、幻想的だと思ったら現実的になったりと、独特の世界を作っていた。主要人物三人が還暦くらいの女性なのに、鮮やかで煌びやかな描写がなんだか見えてきて、美しい恋物語となっていた。とらんぷ譚の後に載っていた2編も妖しく流麗でいい読み心地を与えてくれる。
読了日:08月07日 著者:中井 英夫
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■遠まわりする雛 (角川文庫)
☆7 補完のための短編集だった。なんだかんだいいながらも千反田に合わせて変わっていく奉太郎の心情が面白い。今作のミステリはおまけみたいなものだったけど、相変わらずの遊び心もあって楽しめた。でも『正体見たり』のブラックなとこには沈鬱させられた。千反田の言い方がちょっちキツい。あと里志の行動にはちょっと納得出来なかったかなー。どちらかというと奉太郎たちの今後が私気になります。次作の文庫化はもう待てない…
読了日:08月09日 著者:米澤 穂信
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■蝦蟇倉市事件2 (ミステリ・フロンティア)
☆7 面白かった。ただ1の方を読んでないからかもしれないけど蝦蟇倉市である必要は感じなかった。でもオチや犯人には共通点があったかな。米澤さんのは『さよなら妖精』の後日談ということもありとても楽しめた。あと北山猛邦さんの作品も好き。あのミッシングリンクの繋ぎ方がいい。
読了日:08月09日 著者:秋月 涼介,北山 猛邦,米澤 穂信,村崎 友,越谷 オサム,桜坂 洋
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■感染広告
☆4 ホラーなのかと思ったけど、広告にまつわる仕事のことがよく分かるストーリー性のある一冊だった。面白くないわけではないけど、意外性やドンデン返しとかはなかったので引き込まれなかった。全体的に薄い印象を持った。
読了日:08月09日 著者:三浦 明博
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■黄蝶舞う
☆6 浅倉さんの儚い雰囲気はとても好きだし、源家の悲劇にはよくマッチしていると思うんだけど、いかんせん歴史を短編形式で描くのは難しかったと思う。なかなか世界に入りにくかった。作中の人の執念が生み出す幻想世界は哀しくも美しいもので目を見張るものがあった。歴史小説のいいとこは見れたと思うのでまた期待したい。
読了日:08月10日 著者:浅倉 卓弥
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■星降り山荘の殺人 (講談社文庫)
☆8 本格ミステリはやっぱりいいね。このトリックはけっこう見事なバランス感覚だと思う。こういうのはギリギリ綱渡るくらいじゃないとカタルシスは生まれないだろう。この犯人設定は一回挑戦したいやつだろうな。本格の縛りと常識に慣れた人こそ騙されるかもしれない。挿入図やシンプルな事件や緻密なロジックがより古典的ミステリの香りを漂わせていたのである意味熱中して読めたのもきいてたかも。物語と動機も本格の邪魔をしない程度で悪くない。文学性より本格を第一にするミステリを読むのはなんか落ち着く。
読了日:08月11日 著者:倉知 淳
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■カッコウの卵は誰のもの
☆6 最近の東野さんのはやりは「近代科学への警鐘」かな?タイトルから解る以上の驚きはないけど、一気に読ませるものはあった。でもこの仕掛けはもっと膨らますことができる気がするからもったいない。才能のあるなしでたいていの結果は決まってしまう。それの好き嫌いは関係ない。好きと得意のどっちをとるかは難しいと思う。スポーツだけでなく仕事でもそれは言える。自分の才能が分かってしまう世の中は便利で効率がいいけど…どうなんだろう。
読了日:08月11日 著者:東野 圭吾
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■少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)
☆7 今作は、人間の愚かで醜いところだけではなく、綱渡りのように不安定だけどしっかり繋がっている少女同士の友情が描かれていたので爽やかな読み心地もあった。でももちろん、自己中な人の不愉快さや無責任なおもいこみの非情さもあらわれていた。殻に閉じこもっている人ほど正しさを勘違いしている気がする。展開は、蓋然性を見事に無視した偶然の連発だけど、フィクションならではということでまあよしとしよう。非日常を体験してみたいという意味では「死」を観たいっていうのも分かる。作為的なものでは意味ないけど。
読了日:08月12日 著者:湊 かなえ
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■枕草子REMIX
☆7 清少納言さん好きだ。ぜひ友達になりたかった。酒井順子さんが『枕草子』をおもしろおかしくプレゼンしている。随筆だとは分かっていたけど、こんなに楽しい内容で、今でも通じるものだとは思わなかった。さすがに原文で読む気にはまだならないけど、酒井さんの訳ならば読んでみたい。「調子に乗ったブスは嫌い」と言い切る清さんにはスッキリする。それもむやみやたらに言うのではなく、キッチリと一本筋が通っているし、自分のことは棚に上げずに自分もよく見つめられている理性的な彼女――作者の言う「自覚の人」――は傑物だと思う。
読了日:08月12日 著者:酒井 順子
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■輝ける闇 (新潮文庫)
☆7 そうか、これは本当にあった歴史なんだったな…。ヴェトナム戦争の酸鼻さがすごい。解説にもあったように、この作品は作者が題材に書かされたものだ。読者のことなんて考えずにひたすら命を注いだかのようだ。現状や背景の説明はあまりないが、生々しい触感や質感、脳髄に響いてくる音が皮膚をくすぐってくる。実際に戦場にいた作者だからこそ表せる読み応えだと思う。近代戦争の中ではこのヴェトナム戦争が一番凄絶を極めるかもしれない。ゲリラによる白兵戦、生気溢れる森での戦い、これは人心に応える。
読了日:08月13日 著者:開高 健
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■yom yom (ヨムヨム) 2010年 07月号 [雑誌]
☆7 とにかくエッセイも短編小説もクオリティが高いし、連載ものも読み切りとして楽しめる短編だから、かなりお得感のある雑誌。こういう文芸雑誌なら文学に慣れ親しんだ人じゃなくても楽しめると思う。新井素子、奥田英朗、阿川佐和子あたりが特に良かったなあ。次号も石田衣良や金原ひとみがいるので楽しみだ。
読了日:08月13日 著者:
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■世界の中心で愛を叫んだけもの (ハヤカワ文庫 SF エ 4-1)
☆6 奥深さのあるSF短編集だった。でも一度読んだだけではなかなか理解しづらいものもあり、予想外に難しい読書だった。説明不足で不親切な文章、まさにSFの悪いところが出ているきらいはあるが、もちろん物語として楽しめる要素も十分にある。『星ぼしへの脱出』や『聞いていますか?』なんかはシンプルに面白い。表題作は何度か読まないとわからないけど、やっぱり名作だと思う。
読了日:08月14日 著者:ハーラン・エリスン
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■人狼城の恐怖〈第1部〉ドイツ編 (講談社文庫)
☆7 「世界最長の本格推理小説」をついに読み始めた。長いねー。でもさすが二階堂さん、物語として面白いから読みやすい。とりあえず謎を提出してきた第一部だけど、もう最後にはなにがなんだかわからない。登場人物はドンドン死んでいくし、奇っ怪な事態も次々と起こる。「こんなの本当に解明できるのか?」と思ってしまうほどの連続殺人事件。まあそれだけ不可思議な分、解決は楽しみだ。
読了日:08月15日 著者:二階堂 黎人
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■人狼城の恐怖〈第2部〉フランス編 (講談社文庫)
☆7 フランス側もものすごい惨劇になっている。城の中の展開としてはドイツ側と似通っていたのでスラスラ読めた。でもこちらは「人狼」のせいでかなり混迷を極めたと思う。ドイツよりも大分オカルティックな雰囲気となっていた。ここからどう解決に向かうんだろう。このオカルトは拡散して充実していくのか、一気に収斂してリアルに落とされるのか、とにかく蘭子の活躍に期待。
読了日:08月17日 著者:二階堂 黎人
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■人狼城の恐怖〈第3部〉探偵編 (講談社文庫)
☆8 ついに蘭子と黎人が舞台に上がった。あらためてこの事件の全貌をみても、前代未聞で不可思議なことが起こっていることが分かる。三部ではまだまだ試行錯誤の段階で、少しずつ仮説を立てて謎の輪郭を捉え始めたくらいなので、蘭子はいつもの高飛車モードで思わせぶりな態度をとっている。この状態の蘭子は苦手だけど、解決時に、戦いの女神かのような支配力を持って犯人の前に君臨する蘭子は大好きだから四部に期待。でもやっぱり黎人が好きだから引き続き頑張ってほしい。
読了日:08月19日 著者:二階堂 黎人
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■人狼城の恐怖〈第4部〉完結編 (講談社文庫)
☆9 蘭子の推理によって、可能の地平に事件が一気に落ちてきた。いつのまにかすべての密室を解いていたのにはびっくりした。しかも本格としてちゃんとフェアに伏線があるのは流石の一言。そして『人狼城』ならではのメイントリックはまさに驚天動地の逸品。なんとなく頭にもやもや浮かんでいたので、蘭子が真相を語ったときには霧が晴れた思いだった。こんなことを思いつく著者には脱帽した。さらに犯人の秘密や動機にも衝撃を受けた。最後は蘭子シリーズらしいアクション満載の展開が繰り広げられる。気づけば不可思議などなくなっていたが、最
読了日:08月20日 著者:二階堂 黎人
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■フリークス (光文社文庫)
☆6 期待した感じの面白さで安心した。いい意味で予想の範疇だったから楽しみやすかった。サイコミステリの雰囲気が出ている上によくまとまった短編集だった。『シンデレラの罠』はそんな好きじゃなかったけど、それをモチーフにしたらしい『四0九号室の患者』は楽しめた。
読了日:08月22日 著者:綾辻 行人
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■CREA (クレア) 2010年 09月号 [雑誌]
☆8 女性誌だったけどつい買っちゃった。だって東野圭吾、伊坂幸太郎、森見登美彦の名前があるんだもん。中づり広告で気になってて生協に行ったら女性誌だから瞬間戸惑ったけど読みやすそうだから購入。読んでみたらとても面白くて大満足。読みたい本も増えたし、なにより道尾・米澤・辻村の居酒屋座談会が興味深いものだった。若手の有望株中心の特集だったので馴染みもあってよかった。今まで読んだ読書特集雑誌の中でもかなり楽しめた方だかな。
読了日:08月23日 著者:
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■活字倶楽部 2010年 09月号 [雑誌]
☆6 やっぱり本を中心とした雑誌は面白いなー。活字倶楽部は初めて読んだけど結構特殊な雑誌だったと思う。でも読者の本への愛がよく伝わってきて仲間を見た気分になる。そういえば小説だってこんな楽しみ方もできるんだ、と改めて気づいた。腐女子のパワーに圧倒されながらも、羨ましいとも思ったりして。
読了日:08月26日 著者:
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■アリスへの決別 (ハヤカワ文庫JA)
☆8 山本さんらしさの出ている短編集だった。風刺的SFもサイコホラーも正統派SFもそれぞれ面白かった。時事ネタを活かす感じは好きだし、読んでるときはその未来にも信憑性は感じた。山本さんっていいストーリーテラーだな。「バチャキ」のとことかけっこう極端だけど読んでほしい。表紙的には奨めにくいけどね。
読了日:08月27日 著者:山本弘
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■阪急電車 (幻冬舎文庫)
☆8 文庫になったので再読。やっぱり有川さんらしさが詰まっていると思う。連作短編だけど一つ一つの話が面白くて絶妙に惹きつけられる。こういう話はありそうでもなかなかない。だけど無理なく展開しているように感じるのは巧いからだろう。あと有川さんらしい提言もズバズバと軽妙に決まっていた。そこらへんとベタ甘カップルには気恥ずかしいような表現が使われてるけど、それが全然イヤじゃない。むしろ好き(笑)心がほっこりして元気になる作品。
読了日:08月31日 著者:有川 浩
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