2010年9月の読書メーター
読んだ本の数:19冊
読んだページ数:8337ページ
■黒魔術の手帖 (河出文庫 し 1-5 澁澤龍彦コレクション)
☆6 ミステリを読んでいるとやっぱりこういう分野に興味がわく。カバラ、タロット、黒ミサ、サバトなどの異端的でエロティックで妖しい雰囲気を纏っている言葉がどんどん出てきて好奇心を刺激された。人間はこういう闇の部分に惹かれるものだと自身で確認した。あと熱中しすぎず冷静な澁澤さんの分析にいい距離感を感じた。
読了日:09月02日 著者:澁澤 龍彦
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■暗黒館の殺人(一) (講談社文庫)
☆6 とりあえずの導入部。視点も安定せず語り部の正体も不明瞭で、そこにどんな意味が潜んでいるのかが気になるところだが、まずは物語を追うしかない。『フリークス』を読んだ後だし畸形の子供がアクセントを加えているのを感じる。本当にまだまだこれからなのでとにかく次を読みたい。
読了日:09月05日 著者:綾辻 行人
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■暗黒館の殺人(二) (講談社文庫)
☆7 うーん、ここからどう盛り上げて、どんな狙いが潜んでいるのかわからない。いろいろとひねくれていて、それらのひねりがいかに収斂していくのか、綾辻さんに期待だ。幻想とホラー色が強いのは好きだからわくわくしながら読めたし、あとは本格ミステリ色が発揮されるのを待つだけかな。次の巻は重要になりそうだし楽しみだ。
読了日:09月07日 著者:綾辻 行人
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■暗黒館の殺人(三) (講談社文庫)
☆7 なんとなくは見えていた浦登家の秘密にはあらためて驚いた。実際にそれを読んでみるとさすがに戦慄させられる。これで残る大きな謎は視点などの叙述的なところくらいかな。もちろん「犯人は?」というのもあるけど、そこらへんの謎への魅力は正直薄くなっていると思う。本格ミステリの謎の醍醐味は犯人やトリックについてのはずだと思うので少し残念な展開に感じた。最終巻でどれだけのどんでん返しがあるかに期待だ。
読了日:09月09日 著者:綾辻 行人
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■暗黒館の殺人(四) (講談社文庫)
☆7 さすがにしっかりどんでん返してくれた。この物語に入り込んで読んでいるほど、感慨深さを感じる。はっきり言って本格ミステリとしては首をひねりたくなるが、プロットがよかったので世界に引き込まれていった。不気味さの残る終幕といい、ホラーと幻想の混じりいるミステリで、むしろその雰囲気を楽しんだ。この作品は確実に「館シリーズ」の中心に位置していて、集大成とも原点ともいえるものだと思う。残る館もあと3つだ。
読了日:09月10日 著者:綾辻 行人
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■びっくり館の殺人 (講談社文庫)
☆7 拍子抜けはしたけど面白かった。子供向けということで描写がはっきりしていたし、社会的なメッセージもわかりやすくて読みやすい。『暗黒館の殺人』の後だからか、一瞬で読み終わってしまった。あっさりしすぎではあるが、それはたぶんミステリに慣れ親しんできたから言えることで、子供などにはこれくらいの方がミステリの世界に入って行きやすいのだと思う。メイントリックもあの古典的名作のものだし(ギリギリ思い出せた)、『虚無への供物』も登場するし(僕がミステリにはまった作品)、ここからミステリ好きな子が増えると嬉しい。
読了日:09月12日 著者:綾辻 行人
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■かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)
☆8 これがはずれだったらこの著者の作品はやめようと思っていたけどやめられなくなった。小学生ならではのささやかなエピソードに、猫のマドレーヌ夫人の視点が入るので、独特の滋味のある作品となっていた。かのこちゃんが素直でかわいい。そして周りの大人も温かいから癒される。犬の玄三郎と猫のマドレーヌ夫人という不思議な夫婦の絆や、その夫婦とかのこちゃん一家との心の通った交流が、絶妙な距離感で、ほんわかさせられる。安心して読めるいい物語だった。
読了日:09月12日 著者:万城目 学
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■愚者と愚者 (上) 野蛮な飢えた神々の叛乱
☆7 読みだしたときは、カイトはもうある程度の地位まで来てしまったしそこまで動きがないから魅力は減ったかな、と思ったけど、そんなことはまったくなかった。司令官という立場やいろんな人々との関わり合いでの苦悩に揺れながらも、カイトらしさを失わずに生きていく姿には胸を打たれる。秩序が無くなり人間の欲望が露見する状況で生まれる差別、やはり秩序がないとより愚かになってしまうのかもしれない。そんな悲惨な世界でも打海さんのユーモアにはクスッとさせられる。それがなければ読み切れないかもしれない。
読了日:09月14日 著者:打海 文三
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■愚者と愚者 (下) ジェンダー・ファッカー・シスターズ (角川文庫)
☆6 基本的にカイト編の方が好きだけど、椿子からの視点によって世界の厚みが出てくる。やっぱり根底にあるテーマは性差別と人種差別だった。人は自分と違うものを怖れ、拒絶する。荒廃して、助け合わなくてはいけない世界のはずなのに、差別的で愚かな行動をとる人々が増加しているように思えるのはすごい皮肉のように感じる。
読了日:09月15日 著者:打海 文三
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■白い僧院の殺人 (創元推理文庫 119-3)
☆8 見事にだまされた。こんなに簡単なことなのに、少し視点をずらされるだけで真相がうまく隠されていたと思う。物語の展開とか推理行程などもしっかり計算された上での書き方、さすがカーと思った。犯人にたどり着くためのロジックは緻密で素晴らしいけど、なかなかに複雑だった。それにしてもちょっと読みにくい。これはやっぱり訳のせいなんでしょうか。
読了日:09月23日 著者:カーター・ディクスン
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■小さいおうち
☆6 女中からみた物語――それも回顧録形式という構成は、なかなかに新鮮でよかった。戦時中でもそこまでそれを感じさせない。「小さいおうち」の中がタキの世界であって、戦争などの外のことはある程度距離を持って描かれていたと思う。女中という存在は現在にはない。読んでみてもわかるがかなり特殊な立ち位置だと思う。そこらへんの微妙なバランスを温かく朗らかに描き切っていた。
読了日:09月23日 著者:中島 京子
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■切り裂きジャック・百年の孤独 (文春文庫)
☆7 「切り裂きジャック」は有名で、オマージュされたり取り上げられることも多い。だからある程度事件の概要は知っている人は少なくない。僕自身知っている。でもある意味で伝説的となっているから事件をそのまま受け取っていたけど、これを一つの事件としてしっかり捉えることは忘れていたので新鮮だった。こんな事件が実際にあったものだなんて、改めて「事実は小説より奇なり」とはよく言ったものだ。歴史ミステリとしてもよくできた作品だった。
読了日:09月24日 著者:島田 荘司
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■赫眼 (光文社文庫)
☆7 いやぁな怖さがある短編集だった。怪異が現れる視覚的でシンプルな怖さもあるが、特徴的なのは不気味な擬音を使ったもので、ゾワゾワと首筋を撫でられる感じがあった。さらに特筆すべきは作家 三津田信三の登場によるメタ的要素も加わった恐怖だと思う。これにより一気に怪異が背後に迫ってくるのはたまらない。ホラーとしては良かったけど、ミステリの方が好きかな。
読了日:09月25日 著者:三津田 信三
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■あの日にかえりたい
☆6 過去と現在が入り混じった物語たちだった。いい感じのもの悲しさがあるなかで、登場人物の微妙な心境が伝わってきて、奥深い感動があった。けっこうどれも悲劇的で救いはないんだけど、ほんの少しの温かみや光はあるから厭にはならない。『真夜中の動物園』と『へび玉』なんかが好きだった。
読了日:09月26日 著者:乾 ルカ
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■リアル・シンデレラ
☆7 著者の作品はあまり読んでいないが、いい作品を読ませてくれたと思う。シンデレラというのを意識しないでも十分読めるし、意識すればもっと奥深く読めると思う。泉のことを周りの証言から少しずつ知っていって、知れば知るほど不思議な人だと思う反面、よく考えてみると最初と印象は変わらず、むしろかなり単純な人なのかとも思う。泉は成長するが、どうしても泉の成人した姿は思い浮かべず、ずっと子供のイメージだった。三つめの願いが泉らしさのすべてであり、幸せになるには最も簡単な方法かもしれない。直木賞になってもよかったかも。
読了日:09月27日 著者:姫野 カオルコ
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■文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)
☆9 やっぱり長いけど気にならない面白さ。僕にとってエンタメ小説の中で、わくわく感や気になる感が一番あるのはこのシリーズ。本作はシリーズの中でも好きかも。ジェンダーの問題が扱われていたけど、常識というなの呪いを取っ払って、やっと性差などの差別をなくせるのかもしれない。だけどそれは文化に根付いてしまっているので大きな単位では不可能に思える。真犯人 蜘蛛の手口は乱歩のいうプロバビリティの犯罪を堅牢にしたもののようだ。この仕掛けられた網を辿っていくのが面白かった。このシリーズは他作品とリンクしているし、何度も
読了日:09月28日 著者:京極 夏彦
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■ホーキング、未来を語る (SB文庫)
☆7 面白かった―、と同時に難しかった―。ところどころ解らない個所があるとはいえ、とても興味深い世界がなかなか明瞭に解説されていた。基礎知識はあった方がいいけど、専門知識はなくとも最先端宇宙論を体感できる。時間や空間が絶対性をもたないことやビックバン・ブラックホールの仕組みなどの宇宙に関することだけでなく、タイムマシンの可能性についてや宇宙の外側についてなどのフィクションのような理論や、人間の存在価値や神の存在場所といった哲学的なところまで触れているから読み応え抜群。それにしても「ひも」がわからない。
読了日:09月28日 著者:スティーヴン・ホーキング
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■ソウルケイジ (光文社文庫)
☆6 このシリーズはやっぱり登場人物が映像的でそれだけで楽しめる。でも今作は結構見たことあるトリックによるものだったので簡単にわかってしまった。被害者やその周辺の人々を掘り下げて描いたりもしていたけど、その手の本家である宮部みゆき(勝手に本家と呼んでます)の描写に比べてしまうと、あまりにも浅い。読んでいてそこまで響いてこない。でもまあ警察小説としては読みやすい方だと思うし面白かったのでまた続きは読みたい。
読了日:09月29日 著者:誉田 哲也
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■金閣寺 (新潮文庫)
☆8 予想以上に狂気はなかったような気がした。だからこそ、なぜ金閣寺を放火するにいたったのか、というのを読み解くのは難しいと感じた。世界には自分しかいないと思っているような主人公が少しずつずれていくのがわかる。想像を下回る現実の美というのはだれしも多少は感じたことがあると思う。それでも世間の価値観に合わせるために、現実ならではの美があるという認識を自らに創りだし、想像に近づけていくのが平穏な人間だと思う。世界は認識一つで変わると思う。行為で変わるのは現実。再読する必要はあるが、とりあえず楽しめた。
読了日:09月30日 著者:三島 由紀夫
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/7845214
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