今日は朝から曇り空だったが、最高気温は29度で蒸し暑かった。

 

3月30日付で触れたイル・ド・フランス国立管弦楽団の公演を昨日聴くことができた。

指揮者ユージン・ツィガーンは今年45歳、アメリカ人の父と日本人の母のもと東京生まれだそうだ。溌剌としていて、指揮ぶりも明快だった。

 

演奏の前に10分ほどツィガーンの話があった。特にベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」について、冒頭の二つの和音は旧体制の支配者を処刑する場面での音であり、そこからいよいよ英雄ナポレオンの登場になること、そして終楽章の旋律は若きベートーヴェンがパトロンの前でピアノの即興演奏をした際の旋律に基づいている、といった指摘があった。さらに本日の演奏では生前のベートーヴェンが長いレガートの名手として知られていたことにも配慮しつつ、テンポや強弱にも変化を付ける、といった趣旨の前置きがあった。おそらく聴き慣れない妙な演奏と誤解されるのをおそれてのプレトークだったのかもしれないが、この作品を取り上げる意図がわかって期待が高まったことは間違いない。

 

そのベートーヴェンはプレトークでの話のとおり、テンポも強弱も変幻自在に変化させて、抉りの効いた演奏になった。そして「ベートーヴェンのレガート」も効果的で、全体としてみれば新鮮な響きを聴くことができた。

 

今回彼らがもってきたプログラムはこの「英雄」をメインとするものと、ブラームスの交響曲第1番をメインとするものの二つだった。フランスのオーケストラだからフランスものを、といった発想から抜け出ていたことをまず賞賛したい。そのうえで、このよく知られた二曲を独自のスタイルで演奏しようとする意欲を讃えたい。そしてもちろん、再度の来日公演を期待したいと思う。