今日は一日晴れたが、最低気温は5度、最高気温は11度といった具合で、暖かさは感じられなかった。

 

黒澤明監督による映画「野良犬」を見た。戦後間もなくの東京の風景が興味深い。

ストーリーは、ヴェテランの佐藤刑事(志村喬)と新人の村上刑事(三船敏郎)が村上がすられたピストルの持ち主を追う、というもの。

 

ピストルは闇ルートで遊佐(木村功)の手に渡り、傷害、殺人、強盗に使われるに至る。村上はその責任を痛感して辞表を出すが、慰留されて捜査をつづける。この二人の刑事のやりとりがなかなか興味深い。特に佐藤刑事の言葉には響くところがある。以下は、その抜き書きとコメント。

 

「不運は人間を叩きあげるか押しつぶすかのどちらかだ。心の持ち方で君の不運は君のチャンスだよ。」

  →わざわい転じて福となす、ということだろう。戦地から復員する兵士が、列車の  

  中で荷物を盗まれる。それは「不運」なのだが、村上のようにそれをバネに世の 

  悪を摘発する刑事になるのか、遊佐のように盗まれた腹いせにピストルを入手し

  て強盗殺人を正当化するのか。

  いかなる理由を付けても強盗殺人を正当化することはできない、ということが刑  

  事の立場である。

 

「こんな具合にね、(犯人の)男の名前を隠すやつは色女に決まってるんだ。」

  →色男は聞いたことがあったが、色女とは・・・含みがありそうだ。①美女、② 

  愛人、➂遊女といった意味があるようだが、文脈からいえば②を指すのだろう。

 

「疲れているとこらえ性がなくなって、ものを聞くのが難しい。」「上手(うわて)に組んだらこちらの負け。相撲と同じだ。」

  →供述、証言を聞き出すためには、相手が疲れている時や、高圧的な態度では無 

  理だということ。

 

「ああいう感じやすい女の子くらい頑固なものはないさ。気持ちをこじらせたらまるで石だ。」「おとなしいんですが、おとなしい子ほど強情なものがありましてね。」

  →一見おとなしそうに見えても、内心はそうとは限らない。

  

「一匹の狼のために傷ついたたくさんの羊を忘れてはいかんのだ。」

  →これが佐藤刑事の基本的な考えである。犯罪者に同情する余地はない。

 

「あいつは人を殺した。人を殺した人間はいわば狂犬だ。狂犬がどんな動きをするか知っているか。川柳にこんなのがある。『狂犬の目にまっすぐな道ばかり』。」

  →追い詰められた犯人の次なる行動は予見ができる、ということだろう。