ここのところ暑さが増す毎日で、最高気温は34度、夕方、雲が出てきて突然の雨となったが、気温への影響はさほどなかった。
知事選挙をめぐる政治資金の流れに関して、長崎県議会でも百条委員会設置の動きがあるという。問題となっている知事への疑惑は、①政治資金の迂回献金と、②選挙資金2000万円を自分の後援会に貸し付けたとしているが実際は自己資金を入金しただけだったのではないか、という二重計上の問題である。
長崎県知事には以前にも疑惑が指摘されていた。
この人の出身大学の広報誌の記事を受けて、今年の始め、「政治家の取り扱い方」と題して小論を書いていたので、以下に引用しておきたい。政治家を話題にするときは慎重にしないとね、という趣旨である。
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千葉大医学部と聞いて思い出すことといえば、まず「チフス菌事件」(1966年)、それに「女医殺し」(1982年)である。「チフス菌」の方は新聞の一面に大きく事件が報道されたことを覚えている。「女医殺し」の方は、ラジオで第一報を聞いた時から夫の犯行に違いないと思っていた。大学にとっては不名誉な事件なのだが、「チフス菌」の当事者は日本医大卒業後、千葉大で無給の医局員をしていた人物だし、「女医殺し」の方は独協医大卒業後、千葉大の研修医だった人物なので、千葉大出身者というわけではなかった。
それでは千葉大医学部でいい話題はあるのか、というと、最近『ちばだいプレス』(63号、2023年)に医学部出身で長崎県知事になった大石賢吾という人物の話が掲載されていた。大石は1982年7月、長崎県五島列島の生まれ、カリフォルニア大学で生化学と分子生物学を学んだのち長崎大学熱帯医学研究所に勤務。その後、千葉大医学部に編入学した。卒業後は地域医療に関心を持ち、厚生労働省地域医療計画課に勤務した。そして2021年10月の衆議院選挙の際には、自民党の長崎1区および2区の候補者公募に応募したが、いずれも落選だった。だが翌2022年2月20日に行なわれた長崎県知事選挙に立候補して、当選したのだという。
こうしてみると、この人は医者というよりは役人上がりの政治家といった方がよい。そして県知事選挙への立候補に際してはひと悶着あったようだ。
現職の中村法道は三期目を終えて引退しようと考えていた。ただ自分の後継者にこだわりがあり、あの谷川弥一から推薦を受けた大石賢吾については政治経験がないとして拒否した。そのため大石は自民党長崎県連と日本維新の会の推薦を受けて立候補、中村は引退の意向を撤回して立憲民主党長崎県連と国民民主党長崎県連の推薦を受けて立候補することになった。ただし自民党長崎県連内には中村を押す動きもあり、分裂がらみの選挙になった。結果は、大石23万9415票、中村23万8874票で、541票の僅差で大石が当選した。こうして「千葉大医学部出身の長崎県知事」が誕生したのだった。
だがこの選挙にかかわって、大石側に事後買収の疑いがあるとして告発されている。告発したのは郷原信郎(弁護士)と上脇博之(神戸学院大教授)で、選挙時に大石側の事務所が「電話料金」などの名目で東京の選挙コンサルタント会社(ジャッグジャパン)に402万円を支払ったのは選挙運動の実質的な報酬に当たるというもの。まず2022年6月、出納責任者と同社代表取締役を長崎地検に告発し、10月に受理された。その後、江東区長選挙をめぐる柿沢未途の公選法違反事件と構造が同一だとして、2024年1月11日までに大石自身についても刑事告発した(以上、『長崎新聞』2024年1月5日、10時15分配信および、『JIJI.COM』2024年1月11日、17時54分配信)。
この一件も自民党がらみで、谷川弥一、柿沢未途といった最近なじみの人物が登場している。告発する側もやはりなじみである。そして渦中にいる人物については事前の調査をするなりして、慎重に取り扱わなければならない。政治家の場合は特にそうである。