本日は雨、雨、雨。涼しいので一息つくことはできたが・・・

 

東京女子医大で卒業生の教員への採用、昇任に際して、同窓会への寄付や同窓会主催の研修会への出席が判断材料に含まれていた、という記事が出ていた(「読売新聞オンライン」2024年06月17日 05:00配信)。大雑把にいえば、教授になりたきゃ寄付をしろ、ということなのか。そうだとすると、以前あった東京医科歯科大学の教授選考での贈収賄事件を思い起こさせるところがあり、やはり「医と算術」について改めて考えさせられた。

だが東京女子医大の場合、これまでにも何かと問題が指摘されていて、今回の一件もそうした問題と何か関連があるのではないかという気がして、調べてみた。

 

以下は「文春オンライン」連載の「東京女子医大の闇」シリーズからの引用なのだが、現時点で疑惑が4点指摘されている(岩澤倫彦稿)。

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“第1の疑惑”は、岩本理事長が会長を兼務する同窓会組織の「至誠会」から出向させた職員の「給与の水増し・架空請求の疑い」。総額は約2.5億円に上る。

 

“第2の疑惑”は、宝塚歌劇団の元月組トップスター・彩輝なお氏の親族が経営するケネス&セルジオ社との「公私混同」契約である。「至誠会」から出向させていた職員を、ケネス社の業務委託に切り替える際、理事会に社名や金額を示さずに承認を得ていた。岩本理事長は熱心な宝塚ファンであり、とりわけ彩輝氏を無名時代から応援している。また、自分の甥を専属運転手としてケネス社と月額66万円で契約し、総額1億円超を女子医大に支払わせていた。(*告発状での指摘は、8855万円)

 

“第3の疑惑”は、附属病院の移転や校舎建替えについて、嘱託社員の一級建築士C氏に、給与と多額の謝礼を「二重払い」していた点だ。月額約60万円の給与に加え、「建築アドバイザー報酬」として総額3億円を女子医大に支払わせた。

 

「第4の疑惑」が浮上した。附属病院の移転で荒川区に土地を売却した際、不動産会社に約1600万円の仲介手数料が支払われたが、その不動産会社は本来の仲介業務をしておらず、女子医大と不動産会社ぐるみの“偽装仲介”の可能性があるのだ。

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この第1の疑惑にかかわって、2024年3月29日に警視庁が「一般社団法人法の特別背任容疑」で関連個所を一斉捜査している(「読売新聞オンライン」2024年03月29日 15:00配信)。ということで、今回の問題については、根深いものがあるようだ。

 

なお、念のため付記しておくと、同窓会関連の人事の件は大学の理事長である岩本氏が同窓会の会長に在任中の出来事である。岩本氏は2023年4月に同窓会の臨時社員総会で一連の事態について説明不足という理由で解任が決議されている、また6月の社員総会で旧理事はほとんど一新されたという(一般社団法人至誠会会長・齋藤麗子「当会の元会長に関する本日の新聞報道等について」2024年3月29日付)。

そして2023年10月に、同窓会への寄付を人事にかかわらせることについては撤廃されていた。