今日は曇り空で、湿度が高めといわれていたが、過ごしやすかった。

 

昨夜のニュースで、横浜市教育委員会が教員のわいせつ裁判で職員を動員して傍聴席を埋め、一般の人の傍聴を妨害している、という趣旨の報道があった。動機については、被害者側から「不特定多数の人にプライヴァシーを知られたくない」という要望があったため、としているが、それは裁判所が配慮すべきところであって、教育委員会が対応することではない。

 

そう考えると、職員を傍聴のために裁判所に出張させる、ということは、教育委員会の仕事ではないことになる。合計何人の職員が何時間出張していたのか明らかにして、その分の賃金は返納してもらうのが筋というものだろう。ただし上役の職務命令ということなので、その上役が全額弁償するのが道義である。

 

この一件は、横浜市教育委員会が記者発表してニュースになったわけだが、そこに至る背景について本日の「東京新聞」が一面で明らかにしている。スーツ姿の男女が開廷一時間前から裁判所前に並び、傍聴席を埋めていることを疑問に思った記者が、閉廷後、傍聴人の一人を尾行して、教育委員会の事務所に入っていったことを確認した。「傍聴人は市教委職員で、被告も市に関係していると確信。すぐに市教委に、地裁への職員の出張記録や具体的な指示が分かる文書の開示を求めた。通常は2週間以内に開示するかの通知があるはずだが、今月15日に『期間内の開示決定が困難』と延長の連絡がきた」という。

 

ここまでの経過をまとめると、次のようになる(※の項目は、横浜市教育委員会事務局の「公判への職員の傍聴の呼びかけと今後の対応について」という記者発表用資料による)。

 

4月下旬あるいは5月初め・・・東京新聞記者が情報公開請求

5月7日 ・・・外部から公判における本市教育委員会事務局職員とみられる傍聴に

      ついて問合せ(※)

5月7日~20日・・・ 事実関係の確認、今後の対応を協議(※)

5月15日・・・東京新聞記者に期間内開示困難の知らせが届く

5月20日・・・ 今後実施しないことを関係部署に通知(※)

5月21日・・・横浜市教育委員会の記者発表

 

この流れからして、情報公開請求が昨日の記者発表につながったと考えて間違いない。先に情報公開してしまうと、「東京新聞」のスクープになって、後から後からマスコミ各社がやって来て混乱すると思ったのではないか。それなら、先にいってしまおうというわけである。

 

しかしそれで問題が収まるわけではない。教育委員会の組織ぐるみの職員動員は職務ではないし、そもそもそうした行ない自体が裁判の公開原則に抵触する反社会的行為だからである。