今日も好天で気温は27度まで上昇。室内はそこまではいかず、25度程度。

 

午後、ラヴェルの「クープランの墓」(管弦楽版)を聴いた。マルティノン指揮パリ管弦楽団のCDで、1974年の録音。テンポが速めで、少し粗いところもあって意外な感じがした。マルティノンにはロンドン・フィルとの録音もあって、近年CDになった。1947年のSP録音である。あまり期待していなかったが、曲がすすむにつれて「かわいい演奏」という気がしてきた。そして音が息づいている。これを聴くと、マルティノンのフランスものはできればDECCAに録音してほしかったとも思うのだが、DECCAにはアンセルメがいたから無理だったのだろう。

 

マルティノンで記憶に残ることを一つ。彼は1976年3月1日に亡くなったのだが、日本で最後に放送されたライヴ録音は1975年8月にパリで演奏されたジュネス・オーケストラとのシューマンの交響曲第4番だった。放送日は1976年3月23日。この頃の世間の関心事はロッキード事件の真相解明で、この日、特攻隊を真似して右翼の青年がその鍵を握る人物・児玉誉士夫邸にセスナ機で突っ込んだのだった。口封じを考えてのことだったのかもしれないが、建物の場所が違っていたので療養していた児玉は無事、特攻青年は自爆した。その一件と同じ日の放送だったということで、覚えているのである。放送音源はテープではなく、LPレコードだとアナウンスされていたが、マルティノンが亡くなったことについては何の言及もなかった。

 

このジュネスとのシューマンは現在、ICONシリーズの「ERATO AND HMV RECORDINGS 1968-1975」に、同日に演奏されたブラームスの大学祝典序曲、ベルリオーズの「ファウストの劫罰」からの三曲とともに収められている。そのシューマンを改めて聴いてみたが、やはりテンポは速め、弱音への配慮がもう少しあるといいかな、といった感じだが、終結部は勢いがあって「終わり良ければすべて良し」といったところだった。