自分の子どもだろうが
他人の子供だろうが
好きじゃない。
産むまでは
出産が怖いから
出産が痛いらしいから
嫌なのかも…と思っていた。
関係なかった。
わたしは無痛分娩で産んだから。
でも無痛分娩がなかったら
絶対に産んでいないと思うので…
時代の流れもあって
誕生したのがわたしの子どもなんだろう。
わたしのような子どもに興味のない人が
無痛分娩の情報を発信すると…
無痛分娩で産むと愛情が…
痛みに耐えなきゃ母になれない…
というバカバカしい風潮に拍車を
かけてしまうかもしれない。
だけど…
愛情やら
母の資格というのものに
出産方法はまったく関係ないと思う。
資格って…?
とそもそも笑えるけれど。
女の身体もったなら、
産む機能は一応だれにでも
備わっている、というただそれだけのこと。
受胎するかどうかは時の運として、
男に胎児を入れておける袋なんて
腹をかっさばいてもないんだから。
価値があるとか、ないとかじゃない。
自然分娩でひーひーハーハー喚こうが
エクスタシーという神秘を感じようが
帝王切開であっても
無痛分娩であっても
産み方なんてほんとにどうでもいいことだと思う。
けっきょく、身体にかかる負担は一緒。
死産であっても…
出産には変わりない。
自分の身体でないものは、
外に排出する自然のシステム。
胎児だったら出産と呼ばれるというだけ。
生きていても死んでいても
外には出すことになる。
育てるか
育てないかという選択が横たわっているだけ。
出し方なんて
自分にとって一番いいものを選べればいい。
無痛分娩のメリットは
痛みを軽減できる…という意識から
恐怖と緊張を軽減できること。
前駆陣痛で
眠れなくなる人もいるらしいけれど、
ヘでもなかった。
本当に辛くなったら麻酔でいいんだ…
という心の逃場があるおかげで
怖くなかったのだ。
身体に余分な力が入らなかった。
そのおかげで一週間、
夜になるとやってくる
生理痛みたいな前駆陣痛で
子宮口はどんどん開き…
破水したとたん
6時間で生まれてきた。
出産中の会話のひとつひとつ、
その場の雰囲気もすべて
覚えていられる
ゆとりのある静かな出産だった。
麻酔を入れる直前の本陣痛は
ソフロロジーの呼吸法といきみ逃がしである
脱力やら姿勢を意識しても
身体が震え冷や汗が出るほどだったので、
これで骨盤がギシギシこじ開けられる痛みや
胎児が膣を通るときの裂ける痛みまで
合わさったらただの拷問でしかない。
万が一吸引分娩にでもなったら
おぞましいことだ。
わたしは麻酔がよく効いたので
陣痛がきてるな…という違和感だけが
残った感じだ。
吸引になっても施術中の痛みはゼロ。
傷は最小限だった。
無痛分娩でも産むのは自分。
いきみ逃がしやいきみは
イメトレなり練習してのぞんだ。
出産で使う筋肉は
うんち出すときと全く一緒。
腹筋の使い方、息のしかた。
妊娠中は一回は便秘になるはずだから
そのときに切れ痔にならないように
肛門を意識してトイレをすると
そのままいきみの練習となり
出産のイメトレになった。
無痛分娩のデメリットは
よくいわれることそのままだった。
医療介入は必須であるということ。
だけど、自然分娩だって
もしものときは
緊急帝王切開になるんだから
リスクは変わらないと思う。
ただ、陣痛促進剤などが必要になる。
けっきょく、陣痛というのは
便意と一緒。
便意がないときにいくら力んでも
何もでてこないのと同じで…
陣痛を和らげると
子宮の収縮もすこし緩くなるのだろう。
実際、麻酔を入れた瞬間に
どんどん押し寄せていた本陣痛は遠のいた。
陣痛促進剤で陣痛を継続させることにした。
その結果の6時間といえる。
麻酔を使わなければもっと早かったかも
しれないけれど…
痛みに躊躇して変な力をいれたり
パニックになったりすれば
けっきょく長引くだろう。
隣から聞こえてきた
妊婦の出産時の叫び声を聞いて
わたしは産後に完全にメンタルをやられた。
無痛分娩を選択できる病院に
通院できているにも関わらず…
陣痛に耐えなければ母には…という
一人の女にのしかかった重圧を
わたしは気味悪く感じた。
愛情は痛みから湧くものなのか…
育てるという行為は
「あのときの辛さに比べたらっ」と
歯を食いしばらないとやり過ごせない
苦しみなのか…
痛みというのは、とにかく
人をおかしくするものだと
思って間違えない。
理不尽すぎることに直面すると
「その出来事があったからこそ
今の自分がある!」と
自分を守る心の働きがある。
医療で和らげられる
陣痛をいまもって
特別視して神聖化するのは
そういう心理が働いている気がする。
自分が堪えざるを得なかったからといって
人に強制するな、と思う。
少なくとも
トラウマの正当化は愛情ではないだろう。
無痛分娩で楽に6時間で産めたけれど、
吸引分娩にはなった。
体重管理をしてわたしはプラス7キロ。
胎児は2600グラムと小さかったのにも
かかわらずだ。
イメトレのおかげで
経産婦なみに身体は使えたものの、
やっぱり子宮の収縮があまかったのかも…
とわたしなりに思うことはある。
しかし助産師には
骨盤の形と大きさの問題、と言われた。
もし2人目だったらもう産道ができてるので
スルッと出せてる、と言われた。
吸引分娩のために会陰切開されたので、
この恨みは一生消えない。
麻酔が切れたら痛いんだよ!
ほんとに出産っておぞましい。
いいことなんて全くない。
会陰は治るとか、治らないとかじゃない。
わたしは切り刻まれたくなかったんだ。
中が裂けるよりはマシ?
まぁ、たしかに。
マシなだけだけどね。
呼吸法がいきみ逃がしになりました。
痛みがなくなるわけじゃありません。