この記事はSSSRC Advent Calender 2022 22日目として書かれています。
こんにちは!M1の森瀧です.
最後にアメブロを書くのはいつぶりだろうと遡ってみたら,どうやら今年度に入ってからは一度も書いていなかったようです.
実は僕は今年度から東京へ生活拠点を移しておりまして,普段のSSSRCの活動は全てリモートで参加しております.
在阪ではないメンバーがSSSRCの活動を行なっていた前例は僕の知る限りありませんでしたが,コロナ禍によりリモート会議などのリモートツールが一般化してきたこともあり,思っていたよりも支障なく活動できております.
さて,本題に移りましょう.
SSSRCでは毎年学部1年生の教育として新入生教育を行なっており,学部1年生がCanSat(模擬人工衛星)を5ヶ月弱かけて開発しています.
そして毎年12月には,高度30~50mの気球からCanSatを落下させてそのミッションを行う,気球試験を実施しています.
今年度はSSSRCの新入生3班に加え,高大連携を行なっている大阪府立西野田工科高校と尼崎市立尼崎双星高校も参加されました.
僕は昨年のアドベントカレンダーでも気球試験のことについて書いたのですが,昨年はCanSatを気球から投下するための放出機構が自由落下してしまい,上級生数名で大急ぎで直すという,ハラハラなイベントが発生しました.
今回の記事はこの続編のような話ですので,お時間があれば先にこちらを読んでもらえると良いかなと思います.
そして今年も12月18日に気球試験を実施しました.
僕はこの日のために週末だけ大阪に戻ってきておりました.
やはり新入生教育委員として指導をしているなら,その成果発表の場である気球試験も見たいものです.
(指導する側としても新入生教育の中で気球試験が一番楽しいのです)
(指導する側としても新入生教育の中で気球試験が一番楽しいのです)
少し話がそれますが,今回大阪-東京間の移動には夜行バスを使用しました.
夜行バスは休暇シーズン以外であれば,平日の便を直前(利用日の1週間前を過ぎたくらい)に予約すればかなり安くなるのでおすすめです.大阪-東京間であれば片道2500円くらいまで下がります.
さて,昨年修理した放出機構を今年も使うことになったのですが,昨年大破してしまったものとは構造がまるっきり異なるため,今年こそは大丈夫なはずと思いながら気球試験を迎えました.
そして気球試験当日―――
あ...
準備をしている最中に断線しました.
去年のトラブルが脳裏によぎります.
一瞬焦りましたが,コネクタの手前で切れてしまっただけだったので,XHコネクタの圧着ピンを付け替えるだけで修理可能です.
数分程度で修理が完了しました!
緊急クエスト回避!!
胸を撫で下ろしながら気球試験会場のグラウンドへ向かいました.
風に煽られる気球
しかし,気球試験を開始しCanSatを投下しようとしていると,放出機構がうまく操作できません.
気球が風に煽られて暴れまくっているからか,コントローラーとの通信が途切れ途切れになっているようです.
しかし,2年前に僕がこの放出機構とコントローラを製作したときには,通信が確実に成立するようにと,通信モジュールの中でも最も通信距離性能を出せるモジュールとアンテナを選定し,鉄筋コンクリートでできた建物を間に挟んだ状態でも電波が回り込んで通信が成立することを試験して確認したので,この状況は非常に不可解でした.
原因は特定できないものの,少しでも通信しやすくなるようにと,放出機構に取り付けたアンテナの位置を少しずらし,アンテナがもう少し露出するようにしました.
いざ再チャレンジ.
しかし,さっきまで途切れ途切れでも通信できていたものが,今度は全く通信ができなくなってしまいました.
気球を下ろしてみると,アンテナ外れて落ちてしまったようで,みんなで地上に落ちていないか捜索を行いました.
数分後,「あったよー」との声が.
見つかったか,良かった.良かった.
と思ったのも束の間...
あ....え...?
ええええええええええええ!?
やってしまいました.
アンテナを露出させてしまったせいで,アンテナが気球と放出機構を接続するロープに引っかかり,折れてしまったようです.
モジュールの基板から折れてしまっており,モジュールが壊れてしまいました.
こうなるともう通信は不可能,新しいモジュールを購入して交換しなければ,通信はできません.
仕様を変更しようとしたときに,ちゃんと要求分析に立ち返って考えた上で変更しないとこうなります.
と言っても,気球試験当日で直ぐに対処しなければならないので仕方ありませんが.
新入生の指導の中でも,仕様レベルの下流の変更が生じる場合は要求分析などの上流設計から見直しましょうと指導していますが,これがいかに大事かわかりますね.
ということで今年も放出機構修理の緊急クエストが発生しました!
物理的に通信モジュールが破壊された以上,通信をしない方向での解決をしなければなりません.
早急に頭の中で要求分析と仕様検討を簡単に行い,
- すぐに実装可能であること
- 通信モジュールを使わずに放出可能であること
を満たす,タイマー式にすることにしました.
地上で電源を入れて一定時間経過後に放出されるので,その間に気球を上空に上げる方法です.
放出機構の制御プログラムは僕が製作したものだったので,今回は僕1人で修理を行いました.
放出機構プログラムを修正中の筆者
今回は物理的な破損が少なかった分,昨年よりも簡単な修正で済んだので,無事短時間で放出機構が動く状態にすることができました.
タイマー式だと望んだタイミングで放出できないので難しい部分はありましたが,気球を上げる担当の上級生たちの頑張りもあり,なんとか今年の気球試験も無事に(?)終えることができました.
放出機構の制限時間の中で巧みに気球を操る職人たち
放出機構はタイマー式のままだと使いづらい部分があるので,来年こそは強風にも頑健性のある放出機構を優秀な後輩たちが作ってくれるだろうと期待しています.
今年も気球試験の報告が放出機構修理の話だけになってしまいましたが,ミッションを行なったCanSatの詳細は,新入生たちが1月のアメブロで書いてくれることと思いますので,楽しみにお待ちください!