この記事はSSSRC Advent Calender 2021 21日目の記事として書かれています.

 

こんにちは!B4の森瀧です.

SSSRCでは新たに活動に参加した新入生に対し,新入生教育と称して教育プログラムを実施しています.

このプログラムの後半では,新入生を複数の班に分割し,CanSatと呼ばれる簡易的な模擬人工衛星を作るのですが,その集大成として気球から落下させる試験を行います.

今年も来たる12月19日に気球試験が行われました.

 

この記事ではその気球試験で起きたとある出来事についてお話したいと思うのですが,まずはこちらの映像をご覧ください.

 

何かが自由落下していますね...

新入生が作ったCanSatが減速機構の設計ミスにより自由落下してしまうことはたまにあるのですが,なんだか様子がおかしいようです.

落下地点に駆けつけてみましょう.

 

 

 

あ.....

 

え....!?

 

 

あ゙あ゙あ゙あ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!

 

放出機構ごと自由落下して大破していました.

CanSatは放出機構に格納して上昇させ,放出機構のフタを遠隔で開くことで落下させているので,このままでは気球試験を継続できません!!

CanSatが自由落下した際は,上回生はよく笑ってたりするのですが,流石にこれは笑えません.

このままでは,新入生が1年間かけてきたCanSatプロジェクトの集大成となるこの試験が中途半端に終わってしまいます.

日が暮れてしまうと試験はできないので,使える時間はせいぜい1〜2時間.気球試験を続けるには1〜2時間で新しい放出機構を用意する必要があります.

 

 

とまあ突然とんでもない緊急クエストが降ってきたわけです.

前の放出機構はかなりバラバラになってしまったので,機構をほぼ1から作らないといけないのですが,材料を確保しに行く時間もない...

間に合うかどうかは5分5分といったところでしょうか.

ここで試験を中断することにしてしまってもいいのですが,自分達のせいでもないのに試験を中断しないといけないのはこれまで頑張ってきた新入生がかわいそうです.

 

どうするかその場で少し考えました.

 

さぁ、聞かれているよ、オイ!

新しい放出機構、作るのかい?作らないのかい?どっちなんだい?

 

 

つーーーーくーーーーる!!!

パワー!!

(https://www.youtube.com/watch?v=rQj8UruKoN8)

 
 

 

 

作ることにしました.

 

時間がないので急いで衛星部屋に戻りながら,何を使ってどう作るかを議論しました.

衛星部屋にあるものの中から使えそうなものを考え,複数パターンの実現方法の検討を衛星部屋に到着するまでに完了しました.その中で最も有力な候補は,倉庫にあった(気がする)昔使われていた放出機構のようなものを,既存の回路とソフトウェアを修正して統合するというものです.

もしその方法がダメだったら,テグスでcansatをくくりつけてニクロム線で溶断する簡単な機構でもいいからなんとか作れないか,といった話をしていました.

 

そして倉庫にあった放出機構を確認してみると...

使えそうです!

扉をロックする機械的機構とサーボモーターもありました.

サーボモーターをどのように制御すればうまく動くのかを調べれば使えそうです.

ここからは,この機構を分解して動作の仕組みと制御方法の調査,破損した回路の修復,この機構を制御するためのプログラム作成に役割を分担して修復を行いました.

他の人がこの機構の仕組みや,サーボモーターの仕様を調べてくれている間,僕は破損した回路の修復と,プログラム作成を担当しました.

 

この日は衛星部屋のある建物は点検のため停電となっており,薄暗い部屋で淡々と作業を続けました.

30分〜1時間くらいで完成までのある程度の道筋が見えてきました.

 

そんなこんなで放出機構の大破事件から1時間経った頃,待機組からSlackで急かしが入ります.

誰が流し始めたのか,かの有名な踊る大捜査線のBGMも部屋に流れていて,焦り度はMAXです.

短時間で放出機構の復旧を成し遂げ,後輩たちに「先輩の本気」を見せてやる!!という強い意志のもと,作業を続けます.

 

ところで,サーボモーターに対するPWM信号の入力内容ですが,仕様書を見て計算するより,適当に値を決めて動き方を見ることで決めたほうがあっという間に決められます.

今回もパルス幅を指定可能範囲内で数カ所適当に入力するプログラムを作り,サーボモーターの動き方を見ることでパルス幅を決定しました.

このように実験的にサーボの制御値を決めるために,サーボテスターなる機会があるらしいです.今回みたいに急にサーボモーターを使わなければならないことがあるかもしれないので買っておこうと思いました.

※サーボテスターについてはこちらの記事にわかりやすく書かれていますので,気になる方は読んでみてください.

 

 

 

そして,ついに...!

 

完成しました!!!!

 

 

なんとか間に合いました.(所要時間2時間)

バッテリーや回路基板などを固定する構造をきれいに作成している余裕なんてなかったので,全てテープによる固定です.

配線剥き出しの回路やバッテリーがテープで固定されている様子を見ると,なんだか時限爆弾のようにも見えてきます.

見た目は不恰好ですが,機能は完璧で,きちんと放出機構として動作します.

 

久々にシビアな時間制限のあるタスクに取り組み,大きな達成感が得られました.

放出機構緊急修理にあたったメンバーで記念に一枚📷

 

突然のハプニングに驚きましたが,無事任務を達成して充実した時間となりました.

 

 

〜終わりに〜

本文中では言及していませんでしたが,放出機構の自由落下に伴い,その時放出機構に入っていたCanSat1台(B班)も共に破損してしまいました.結局この班のCanSatの修復は不可能で,試験が出来ずに終わってしまい非常に申し訳なかったです.

来月のブログでは新入生が各班のCanSatプロジェクトについて書いてくれる予定なので,是非この班の頑張った成果を見てあげてください!