この記事はSSSRC Advent calender 2021 18日目の記事として書かれています.

 

 

お日様,ひな菊,とろけたバター...

 

 

みなさんこんにちは,熱系2回の島﨑です.

気づけば12月も半分が過ぎ,クリスマスまであと1週間となりました.

 

寒い!!!

最近,特に寒い気がします.顔に当たる風がばちばちと痛いです.

夏には忌み嫌っていた日向もいまでは砂漠の中のオアシスのように感じます.

お日様ってあったかいですね.

 

さてお日様晴れに関連して,

今回は,地球周回人工衛星の"食"の導出をしていきたいと思います.指差し

 

めちゃ特定の需要しかないかもですが,暇だぜという方はお付き合いください.

 

(この記事は以前書かれたβ角年変化の導出の記事を踏まえた内容となっておりますので,まだ読まれてない方はまずそちらから読んでいただければと思います.

また,前回のβ角とはちがって食時間の計算はたくさんの資料が転がっていますので,こちらの記事は未熟者の備忘録としての役割しか果たさないことをご了承ください)

 

それでは!

 

食?

 

日食や月食でおなじみかと思いますが,地球周回人工衛星でいう食というのは衛星が地球の影に入ってしまい太陽光を直接浴びれない状態を意味しています.

 

JAXAの宇宙機設計標準 熱制御系設計標準でも,軌道熱入力を求めるのに必要なパラメータに日陰率(または日陰時間)の年変化とありますがまさに食のことであり,熱制御に欠かせないモノであることがわかります.

 

さっそく導出

 

まず低軌道かつ離心率0の円で常に太陽がx-y面上にある軌道を考えます.

β角は軌道面と太陽方向のベクトルがなす角のことなので,下の図では軌道がx軸からβだけ傾いていることになります.

 

 

いま,β=0°と仮定したとき,先ほどの図を上から(Z軸正方向から)見ると下図のようになります.この図において,衛星ベクトル r をy-z面に投影したベクトルの長さ |r'| が地球半径 re より短いと,衛星が地球の影に入っていることが分かります.

 

このとき左図における衛星ベクトルrのx軸投影 (re+h)cosθは,βが0でないことを考慮すると,右図のようにさらにx軸,z軸に投影できます.

 


 


これらを踏まえると下のように衛星ベクトル は惑星半径 re,軌道高度 h,軌道面のx軸からの角度θβ角で表すことができます.

 

 

このベクトルの大きさは

 

 

で表され,これのy-z面投影ベクトル r' とその長さ |r'| は

 

 

となります.

これが惑星半径よりも小さくなると影に入るので,|r'| = re になるθを考えると

 

 

ここで下の図のように軌道上にいるうちに影にいる割合は 2(π-θ) なので,上のθを代入すると日陰率がだせます!!

 

ちなみにここで用いるβ角を年変化させると,日陰率の年変化もだせます.

日陰率ではないですが,逆に太陽光があたってる割合(日照率)の年変化を表示すると下のようなグラフになります.

 

はい,おつかれさまでした,長かったですね.不安

お付き合いいただいた方はありがとうございました.

まだまだ勉強不足なので間違っているところがあったらすみません,許してください.

 

では,みなさまよい一週間を!
まだまだ続くアドカレをお楽しみください!

 

参考資料

1. Steven L. Rickman, "Introduction to On-Orbit Thermal Environments"

2. JAXA, 宇宙機設計標準 熱制御系設計標準

3. 先輩の美しい輪講資料