使い勝手のよくなった新NISAが始まり
「さらにiDeCoも必要?」
「iDeCoとNISAどっちがいいの?」
というご質問も増えてきました。
結論からいうと「ケースバイケース」です。
同様の質問でネット検索すると、いろんなサイトで回答がされています。
共通していることは下記の2点。
◎ iDeCoとNISAどっちもやるべき
◎ まずはiDeCo優先
その理由として下記の2点。
◎iDeCoは全額所得控除
所得税・住民税が節税される。
所得が減れば、保育料や高校無償化、大学の奨学金の判定ラインを下げることができる。
◎老後資金準備としてのコミット
基本的に60歳まで引き出すことができないので、始めたら必ず貯めることができる。
確かに言っていることは正しいです。
しかしどのサイトにもスッポリ抜けているのは「出口戦略」のこと。
iDeCoには3つの節税効果があります。
1.毎年の掛金は全額所得控除
2.運用中の運用益は非課税
3.受取時の税優遇(退職所得控除・公的年金控除)
この3番目の受取時の税優遇(退職所得控除・公的年金控除)がけっこう大切なのです。
私はFPの中でもかなり「リタイアメント相談」を受けている方です。
現役時代同様に人的資本で収入を増やすことが難しくなってきますので、いかに資産寿命を延ばしていくかがキモになります。
退職金の受け取り方、年金のもらい方、健康保険の入り方、保険の見直し、資産運用etc・・
老後の収支を考えるうえで、大きなコストと言えるのが「社会保険と税」です。
iDeCoの年金受取り(分割受け取り)
令和4年から公的年金の繰下げ受給が75歳に引き上げられたこともあって、繰下げで年金収入を増やそうと考えられているかたが、とても増えました。
しかし、年金が増える(収入が増える)と合わせて「社会保険と税」も増えますので、年金繰下げの増加率の分、手取り額が増えるわけではありません。
話が遠回りになってしまいましたが、iDeCoを年金受取り(分割受け取り)にすると、収入が増えますので「社会保険と税」も増えます。
え?節税されるんじゃなかったの?
と驚かれる方の多いこと。
それでもiDeCoの税優遇として「公的年金控除」で、いくらか所得が減るように優遇されてはいますが、ゼロになるようにはなっていません。
iDeCoを上手に運用して資産がたくさん増えたら、もらう時はあとから「社会保険と税」がかかってくるのです(いくらか税優遇はされますが)
iDeCoの一括受取り
年金受取り(分割受け取り)しないで、一括受取りする場合も、「退職所得控除」という税優遇があります。
受取額から「勤続年数(または加入期間)×40万円または70万円」を控除してくれるのです。
はみ出してしまった場合は「はみ出した金額を2分の1」にしてくれます。
会社からもらう退職金や、事業主の方は小規模企業共済をもらうタイミングで、iDeCoも合わせて一緒に受け取れば、勤続年数または加入期間の一番長い年数で「退職所得控除」を計算してくれます。
勤続年数(または加入期間)がそこそこあれば、この「退職所得控除」はそれなりに大きな金額になります。
ということは、勤続年数(または加入期間)が短い場合は、はみ出す金額の方が多くなってしまって「すごい節税効果」にはならないということです。
また、会社からの退職金をけっこう多額にもらう方(早期退職などで上乗せ分がついている方など)は、「退職所得控除」を余裕ではみ出すケースをよくお見受けします。
もらう時期をずらす場合
会社からもらう退職金、小規模企業共済、iDeCoのもらうタイミングをずらす場合、「退職所得控除が減る」という退職所得控除の重複期間の調整が入ります。
”60歳で会社からいったん退職金をもらい、65歳まで再雇用でiDeCoに加入し続け、65歳でiDeCoを一括で受け取る”
といった場合にこの「退職所得控除の重複期間の調整」が入ります。
iDeCoを一括受取りにしても、税金がかかるケースはざらにあるということです。
(もちろん所得が増えれば社会保険料も増えます)
iDeCoは出口戦略まで考えて
ここまで読んでお分かりになったと思いますが、iDeCoは「税の繰り延べ」なのです。
iDeCoは最後に、勤続期間・退職控除・公的年金控除などをハックして上手に受け取ることができて、本当に「節税された」と言えるのです。
NISAの話を全然していませんでした(^^;
「iDeCoを上手に使えそうにない人はNISAでいいのでは」
という結論です。
NISA枠も1800万円に拡大されましたので、老後資金準備としてまったく遜色ないと思います。
自分はiDeCoを始めてメリットあるのか?
などのご相談も承っております。
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