浜松市の独立系ファイナンシャルプランナーです。

ネットで気軽に確定申告ができることもあり、持株会配当金の源泉税にかかる「節税」を自力で検討する方も増えてきました。
源泉徴収の方法や、確定申告の選択など分かりにくいこともあって、ご質問の多い案件です。

 

持株会に加入されている方の多くは上場企業従業員で、上場会社株式の配当金は基本的に証券会社の「特定口座」で受け取ります。

証券会社の特定口座はその中で所得税・住民税を天引きする「源泉徴収あり」と、天引きしない「源泉徴収なし」に分かれます。

 

「源泉徴収あり」は天引きで課税関係が終了するので確定申告は不要です。
 

「源泉徴収なし」は基本的に確定申告が必要です。
しかし、要件を満たせば確定申告不要になります。

年末調整で完結する年収2,000万円以下のサラリーマン
または
公的年金収入のみ公的年金収入400万円以下年金受給者
の方で、それ以外の所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。

給与または年金以外の収入が規定内で配当金しかない場合、
特定口座の源泉徴収「あり」でも「なし」でも配当金が20万円以下であれば確定申告しなくていい
わけです。

であれば、源泉徴収されない分「源泉徴収なし」口座の方がお得ということになります。
しかし注意点があります。

・医療費控除などの還付を受けるために確定申告する際は、配当金20万円も含めて確定申告する必要がある。
・住民税の申告は必要


※「源泉徴収あり」ならば源泉徴収で完結しているので、医療費控除などの還付申告で配当金を含めて確定申告する必要はなく、住民税だけの申告も必要ありません。

非上場株式と大口株主にかかる配当金は上場株式の配当と異なり、所得税20.42%源泉徴収され、基本的に確定申告(総合課税)をしなくてはいけないことになっています。
ただし、少額配当に該当する場合、所得税(確定申告)については申告不要を選択することができます(措法8の5①一)。

少額配当とは
1銘柄について1回に支払を受けるべき金額が、次により計算した金額以下であるもの。
10万円×配当計算期間の月数(最高12か月)÷ 12
※「配当計算期間」とは、その配当等の直前の支払に係る基準日の翌日から、その配当等の支払に係る基準日までの期間。
(例)年1回、10万円配当の場合 10万円×12÷12=10万円なので少額配当に該当

上場株式の配当金について確定申告をする場合は、申告分離課税または総合課税のいずれかを選択します。
総合課税を選択すると、配当控除を受けることができますが。
申告分離課税を選択すると上場株式の譲渡損と損益通算・繰越控除を受けることができます。

配当控除とは
法人税課税後である利益分配(配当金)に所得税が課されると二重課税になってしまうのを調整するためのもので、所得税額から直接控除できる税額控除です。
総合課税の確定申告で受けることができます。
※株式投資信託の収益分配金や外貨建等証券投資信託についても、株式の配当金と同じく配当控除を適用できますが、控除率が異なります。

配当控除は、配当を総合課税で申告した場合に受けられる控除ですが、所得の多い方が配当控除を利用すると、かえって損をしてしまう場合があります。

配当所得を加算した課税所得金額が695万円までなら、配当控除を受けた方が有利になります。

令和4年の確定申告までは、所得税と住民税を異なる課税方式を選ぶことができます。
所得税は「総合課税で確定申告」
住民税は「申告不要」
という選択をすることで、さらにお得ラインが変わります。

住民税の「申告不要」を選択することで、配当所得を加算した課税所得金額900万円までなら、配当控除を受けると有利になります。
住民税の申告不要を選択する場合は、「住民税申告不要等申出書」を提出する必要があります。

ただし、令和5年分の確定申告からは課税方式一致となり、「住民税だけ確定申告不要」といった選択ができなくなります。

令和5年分からは「住民税だけ確定申告不要」が選択できなくなりますので、配当所得を加算した課税所得が695~900万円の方は配当控除のメリットがなくなります。
695万円未満の方は確定申告をすれば配当控除のメリットを受けることができますが、住民税の課税所得も増えるためデメリットが生じる可能性があります。

住民税の課税所得が増えることで影響があるもの
・国民健康保険料
・後期高齢者医療保険料
・介護保険料
・医療機関での窓口負担割合の判定
・保育料
・児童手当の判定
・高校無償化の判定 など

令和5年分の確定申告からは、配当控除を受けることのメリット・デメリットは、シミュレーションをして検討する必要があります。

 

「持株会の配当金は確定申告した方がいいの?」はオフィシャルブログにて図解で解説しておりますので、そちらもご参考にして下さい。

 

 

 

 

 

 

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