高校3年生の保護者の方は、今ごろ奨学金予約採用の書類に格闘されているかと思います。

 

書類にもありますが、奨学金は大きく2種類あります。

 

1.給付型奨学金(返済不要)

2.貸与型奨学金(返済必要)

 

両方予約した方がいいのか?一つだけなのか?いくら借りたらいいのか?

 

JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)のホームページにある進学資金シミュレーターに応えていくと、だいたいギモンが解決します。

 

JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)のホームページ「進学資金シミュレーター」

https://www.jasso.go.jp/shogakukin/oyakudachi/document/shogakukin-simulator.html

 

奨学金はいろいろ条件がありますが、まずは所得制限を確認するのが早いです。

たとえば、サラリーマン父・専業主婦母・高校3年生本人・中学生の場合

給付型奨学金・・年収373万円まで

貸与型奨学金・・(第一種)年収657万円まで (第二種)年収1,009万円まで

 

これだけ見ても分かる通り、貸与型は多くの方が申し込めそうですが、給付型はやや家計が苦しい方向けです。

 

さきほどの進学資金シミュレーターにも平均値はのっていますが、「よそのお宅は?」と気になりますよね(^^;

 

ということで、日本学生支援機構の令和2年度学生生活調査(全国の学生約300万人の中から約9万人を抽出、回収率41.5%)のうち大学(昼間部)のデータを使って、よそのお宅はどんな感じなのかみていきたいと思います。

 

「令和2年度学生生活調査」(日本学生支援機構)

https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/2020.html

 

まずは「生徒家庭の年収別割合(4大昼)」です。

年収300万円未満から1500万円以上までまんべんなく分布していますが、平均年収は835万円となっています。

 

 

生徒家庭の年収別割合(4大昼)

「令和2年度学生生活調査」(日本学生支援機構)をもとに試算

 

 

次が、奨学金を受給している世帯の年収状況(4大昼)です。

中央値は600万円くらいでしょうか?

さきほどの「生徒家庭の年収別割合」の中央値は800万円くらいでしたので、年収が高くなるにつれ奨学金受給割合も減少します。

奨学金を借りる際の家計基準(所得制限)があるのと、経済力があるご家庭は奨学金を借りなくても学校生活費の支払いができるから、というところでしょうか。

 

 

奨学金を受給している世帯の年収状況(4大昼)

「令和2年度学生生活調査」(日本学生支援機構)をもとに試算

 

 

 

 

ご自身と同年収くらいのご家庭は、奨学金を借りているのか?借りていないのか?ということがなんとなくつかめたのではないでしょうか?

しかし年収だけでなく、貯蓄があればいい話ですよね?!

年収が低くても教育資金準備をしていたご家庭は奨学金を借りない場合もあるのです。

年収が高くても「その他の支払いが多くて学校生活費が捻出できない」「貯蓄がない」というご家庭は、所得制限で奨学金が借りられないので金融機関の教育ローンを借りる方が多いです。

金融機関の教育ローンはむしろ所得が少ない方にはお金を貸してくれないからです。

 

では次に居住形態別の学生生活費(学費+生活費)の月額を見てみます(下の表)

 

居住形態別の学生生活費(学費+生活費)月額

 

自宅通学は家賃はかからないので、その分学生生活費は少なくなっています。

しかし自宅通学でも結構かかってますよね。もっと少なくてもいいのでは?と思った方も多いと思います。

 

その答えが下の表です。自宅通学の生徒は私立大が65.2%となっているからです。

 

進学先別居住形態

 

私立大は国公立に比べて授業料が高いですからね。

 

居住形態別の授業料等学費を月割りにしたものが下の表です。

 

居住形態別の授業料等学費(月額)

 

自宅通学生の学費は寮生や下宿生に比べて高い理由は「私大生が多いから」という根拠ですね。

 

では、生活費はどうでしょう(下の表)

 

居住形態別の生活費(月額)

 

下宿生はどうしても食費・住居・光熱費の分、生活費負担が重くなってしまいます。

授業料は半期ごとに一括で納めますが、生活費は月々仕送りしているケースがほとんどです。

親御さん月々の収入の中から仕送りしていますので、参考になるデータですね。

 

では収入をみてみます。

 

居住形態別収入の状況(月額)

下宿生のケースで考えていきましょう。

下宿生の学生生活費は学費86,883+生活費92,367=179,250円

家庭からの給付額120,350は学費に充てるとすると

家庭からの給付120,350-学費86,883=33,467円

月々の生活費仕送り額は33,467円ということになります。

奨学金34,958円+アルバイト27,775+その他4,642円=67,375円

を加えて学校生活費が回っているイメージですね。

奨学金等やアルバイトがなかったら約月10万円の仕送りが必要です。

 

そう考えると、奨学金やアルバイトも重要な収入源です。

ではアルバイトの状況をみてみます(下のグラフ)

 

アルバイトの状況

「令和2年度学生生活調査」(日本学生支援機構)をもとに試算

 

アルバイトをしていない学生が約2割。

アルバイトをしている学生のうち、アルバイトをしないと学生生活が困難~不自由という学生が約3割。

困ってないけどアルバイトしている学生が約5割、といった感じでしょうか。

 

学生生活費は、国公立か私立かの違いもさることながら、自宅通学か下宿かによって大きく変わってきます。

ではどのくらいの通学時間までなら自宅から通っているのでしょうか(下の表)

 

居住形態別通学時間

自宅から通うのは90分くらいまでが限度、といったところでしょうか。

学寮や下宿にすると通学時間はほぼ20分以内となります。

 

予約採用の時点では、進学先は決まっていないのでとりあえずの希望でOKです。

国公立に進学するはずが私立になった。

自宅通学のはずが下宿になった。

ということはありえます。

その際は月額変更など各種変更の手続きができます。

ただ、少ない金額で足りなくなると困るので、初年度は余裕を持った金額で考えた方が安心ですね。

 

だからといって、多めに借り入れても後々の返済が苦しくなってしまうとこまります。

令和元年度奨学金の返還者に関する属性調査結果から

「(3)月にどれくらいの金額まで返還できるか(択一)」の結果をみてみます。

 

月にどれくらいの金額まで返還できるか

出典:令和元年度奨学金の返還者に関する属性調査結果(日本学生支援機構)「(3)月にどれくらいの金額まで返還できるか」

 

1万円前後が返済可能、という感じでしょうか。

これをふまえて、

第二種奨学金:返済額毎月1万円、返済期間20年、利率固定0.3%で計算すると、約232万円です。

4年間(48ヵ月)でわると、約月額4.8万円。第二種奨学金は1万円単位なので月額5万円借入となります。

※利率固定0.3%のシミュレーションなので、利率により借入月額はこのとおりになることはありません。

 

日本学生支援機構の調査をもとにいろいろ見てきましたが、奨学金を借入するのは学生本人です。

保護者の方は、学生本人とよく話し合って決めて下さいね。

 

奨学金の話は奥深いのでたびたびアップしていこうと思います。

 

この記事は2022年4月現在のデータを元に作成しております。

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