テレビや新聞、雑誌からちょっとした立ち話の中でも「働き方改革」という言葉を耳にしない日はないくらいです。
「働き方改革」の目的は「日本経済を立て直すこと」です。
米国や中国、インドなどが力強く成長していく中、日本の経済成長率は鈍化しており、このままでは日本が国際社会の中で生き残ることができなくなってしまいます。
原因のひとつに、少子高齢化で労働人口が減少していることがあげられます。
労働人口が減少すると、経済成長の鈍化どころか、人手不足で医療介護、インフラ整備などの生活水準を維持できなくなる可能性があります。
そこで、もっと女性に働いてもらったり、定年を引き上げて長く働いてもらおうと、政府も企業もいろんな施策を打ち出しているのです。
女性にとっては、育休や時短勤務、介護休暇、テレワーク・・などなど家事育児と仕事を両立できる便利な制度が整ってきています。
育児世代でも働く女性の割合は75%と最高を記録しています。
出産を機に一旦退職した女性も、売り手市場で就職先も選びたい放題
育休を使って復職した女性も、制度をフル活用して今後も安泰
・・のような気もしますが、そうでもないのです。
日本の経済成長鈍化のもう一つ大きな原因が「低い生産性」です。
日本は先進国の中でも一人当たりの生産性がダントツに低いのです。
(OECD加盟36カ国中21位 2018公益財団法人日本生産性本部)
日本では「長時間労働=頑張っている・企業の業績が向上する」という文化があり、ある程度まではそれで結果オーライだったのです。
しかし、新興国の台頭や先ほどの少子高齢化もろもろから、経済成長が鈍化し始めてやっと「効率よく成果を生み出す」ことが注目されるようになってきました。
そこにきて「働き方改革」で、制度やITツール、IOTを使って「労働時間を減らして効率よく成果を出していくことがよい」という文化に変わっていきそうですね。
しかし問題が。
出産を機に一旦退職した女性も、売り手市場で就職先も選びたい放題
育休を使って復職した女性も、制度をフル活用して今後も安泰
と思われていた方も、効率化に対応するスキルがないと、
いくら人不足とはいえ
「スキル不足でもできる仕事しかない」
ということが起きてしまう可能性があります。
「スキル不足でもできる仕事」についてはここではお話しませんが、
要は
今までと同じ仕事はない、
自分の望む仕事に就けない、
仕事が選べない
ということです。
また、たくさん残業をして給料を上積みしていた人も、労働時間を減らして成果をあげることを求められるので、給料が減ってしまう可能性があります。
以前に事務職の知人からこんな話を聞きました。
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パソコンがすごくできる若い子が入ってきて、私が何時間もかけてやってた仕事を、パソコンで何だかちょこちょこってしたら今までの半分の時間で終わっちゃった。
「他の仕事も早くできるように調べてみますね」ってその子が言うから「そんな事調べている時間もったいないから今まで通りの方法でどんどんやって」って言っといた。
今までこのやり方で一切文句言われなかったよ。
早く終わると残業代減るし、私が仕事できないと思われるじゃんねー。
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今は、上司も気づいていないかもしれませんが、そのうち気づく日が来ます。
気づかないままいたら、この会社は時代と共になくなっている可能性があります。
「働き方改革」で国や企業は変わろうと思っていても、当の労働者は「変わると困る」という方がどれほど多いことかと思います。
それ以前に「働き方改革」でどうなるかシミュレーションを描けない人は、気が付いた時は打つ手なしとなっていることも考えられます。
「働き方改革」は国や企業が変わるだけではなく、自分も変わるんだよ?!