1月20日、大寒だというのに非常に温かい。
ちょうど良い。
 市営地下鉄に乗った。
立っていると少々腰が痛いが、席を譲る勇気がないのでいつも立つ。
 地下鉄から地上へ。
あきらかに春のような気候。
 その分、服装のせいでもあるが、背骨を汗が伝う。
前髪に隠れたおでこにも恥ずかしいほどの汗が張り付いてる。
 
意外と温かい。
生駒山上に着いた。
山の上ということもあり、冬の格好をしていたのだが、いやはや、無駄に嵩高い上着。
毎年、ここで感じる温度が違う。
久しぶりに買った缶ビール二本がありがたい。
一本は煙を立てる線香のすぐ脇に、もう一本は当然あたしの喉に。

山の上で見る空はとてつもなくぐわっと広く、少々恐怖を感じる。

ビールを飲みながら話かけても、これも当然、話声は聞こえない。
9年。
その歳月の流れは緩やかで、とてもうるさい。
だが、耳を塞いでもなにも変わらない。
だが、そのうるささの中でさえ、目を覚ますことはない。

冬らしい冷たい水をかけてもそれは同じ。

ここに居るわけでもないのに、なぜここに来るのか。
前向きに人生を過ごしていても、過去にあった事実は変わらない。
恐怖と悲しみの深淵に今も腰をおろしているのを確認してしまう。

愛の人はこの世に嫌気がさし、自ら見えなくした。

いい思い出も、悪い思い出も、なんとかまだあたしにこびりついている。

いい方だけとはいいませんから、どうぞ、いつまでも居てほしい。

あたしの記憶が無くなれば、あの人は消えてなくなる。