夜のご飯を楽しみに行った。繁華街から少し外れた、殺風景な場所にある面倒な風貌の真っ赤な建物。がらんとした町並みを夜風が素通りする。

一人、また一人と旅に疲れた人が集まってくる。
外観のはったりは、中のハリボテをより物悲しく見せる。

客が自分好みの料理を注文する。
メニューの派手さは、建物の中身同様ない。それがかえって、手の届く安心感を与える。

一人がピザを注文した。
どれにしようかと迷い楽しんでいる人を見ながら、あたしは真面目に酒を呑んでいた。
ジョッキを飲み干すと入れ替わりにピザが運ばれてきた。
生地の上にフライドポテトが乗っている。 だがピザ特有の赤い色、トマトの色はない。
無愛想なピザをちらっとだけ見た。

乾ききった物体に少しばかり愛着を感じる。
その媚びなさにリアリティーを思わされた。

だが食べる気はおきない。距離をおいて眺める物だと直感した。

その無骨ぶりが以外にも受け入れられていた。
あたしはそのもてはやしぶりに少々こそばさを感じた。

気をよくしたのか、もう一度同じものをオーダーしたようだ。

しばらくしてやって来たピザは先ほどとは違い、ほんのり赤い色をしている。

オーダーした人がメニューを見て愕然とした。

「さっきのピザ、ただ単にタラコ乗せ忘れてるだけやん」

タラコピザと表記してあった。