ウディ・アレンの映画はスノッブな上流ニューヨーカーの世界を描くことが多いのですがスノッブなはずの登場人物たちがなぜは俗っぽくなるところが多くてその落差が面白いです。
特に「ハンナとその姉妹」はマンハッタンのアッパークラスの人々を描いているのですが登場人物一人ひとりが悩みを描いていて、でもそれがアンサンブルでハーモニーを奏で最後にハッピーエンドで着地という、ウディアレンならではの「うまい」展開で唸らされます。

ウディアレンがアンナカレーニアにインスパイアされて製作されたらしいのですが内容は真逆、心温かく笑わせてくれてセンチメンタルな気分にもさせてくれます。
三姉妹が中心で俳優として成功している長女、なにをしても成功しない次女、そして流されるままに恋人の初老の画家(なんとスウェーデンの名優マックスフォンシドーが演じています!)と同棲している三女の姿を淡々と描くのか?と思いきや、、、
長女の旦那が三女に横恋慕。しかも待ち伏せ(今でいうストーカー)して偶然会ったようにふるまい、古本屋でE.E.カミングスの詩集を買ってあげて(ほとんど押し付けていたが)、120ページを呼んでくれ、君への想いだ、、、(Nobody, not even the rain, has such small hands)とか。オヤジの口説き方、手慣れているようで必死。見ていてその必死さが伝わってきて笑ってしまいます。そのかいあって三女を落とすのですがぬけぬけと長女と一緒にいると落ち着くとか独白していてまぁ図々しい。マイケルケインが生き生きと演じています。最初のキャスティングはなんとジャックニコルソンだったらしいです。彼が演じたバージョンも見てみたい!!
こんなちょっとヤバい人たちの群像劇なのですがどの登場人物にもウディ・アレンの愛着がひしひしと伝わってきて不思議といやな気持にはなりません。
特に次女、何をやってもダメダメでウディ・アレンとのデートでガフェカーライルで薬やっちゃうくらいのジャンキー。でも最後の最後にちゃんと才能を見出して救ってあげる、ウディは本当に優しいです。だからこの映画を見るといるも優しい気持ちになれるんじゃないかと思います。
何回見ても飽きない映画です。

