第18章 鬼哭第2話
謙信景光が顕現した頃、本丸案内する近侍の山姥切国広。
「…以上だ。それから、寝室の部屋割りだが…」
「まんばちゃんお疲れ様です」
「主…謙信景光の寝室の部屋割りだが…候補はどれかあるのだ?」
部屋割り表を審神者に見せる山姥切国広。
「そうですね…同じ刀派の部屋もありますが…夜間の厠に行きたがってる男士が今の所、五虎退と秋田藤四郎と前田藤四郎…彼らの部屋は厠に近い部屋…」
審神者と山姥切国広の会話を見ながら謙信景光は同じ刀派が居ないか周囲をキョロキョロした。
「ん?謙信ではないか?ひさしぶりだな」
「!そのこえは…あつき!あいたかったぞ!」
小豆長光が来たので、謙信景光は嬉しそうにはしゃいだ。
「長船派か…知り合いなら、丁度いいかも知れないな」
「大丈夫なの?」
「ぼくはこどもなんかじゃないぞ!」
「本当に?」
「…っ…こどもあつかいしちゃだめなんだぞ!」
「…では、あなたの部屋は、小豆長光と小竜景光と同室の長船派部屋に決定致しました…では、失礼します…」
審神者は去り際に小豆長光に会釈した。小豆長光はこっくり頷いた。
夜、謙信景光は寝る前に祈祷をした。
「どうか…かわやにいきたくならないように…してくださいなのだ…ぼくは…ほんとは…こわいのだ…だから…おねがいなのだ…では、おやすみなさいなのだ…zzzzz」
しかし、謙信景光は丑三つ時に起きてしまった。厠に行きたくなってしまったようだ。
「…あつき…つきあって…(泣)」
小豆長光を起こしたが、
「うーん…謙信…かわやはひとりで…いくのだよ…」
と寝返りをうってすぐ寝てしまった。
「…(泣)…小竜…おねがいなのだ…(泣)」
小竜景光を起こしたが、
「うるせぇな…一人で行けよ…(怒)」
小竜景光が布団を被って寝てしまった。
「そ…そんなぁ(泣)ひどいのだ!…うう…(泣)」
仕方なしに一人で行く事になった。夜の回廊は真っ暗だ。
「ぼくは…がまんづよいこ…なんだぞ…(泣)こ、こわくなんか…ないんだぞ…(泣)」
向こう側から歩く影にビクッと反応した。その影は、光る赤目をユラユラと動かしていた。
「だれ…?」
赤目を光らせた影は前屈みに構え、猪突猛進の如く、謙信景光めがけて飛び跳ねた。真っ白な髪に白々しい顔、人間の体躯だが、両手は鋭い獣の爪。白髪の頭には獣耳。身体には複数の太い尻尾…妖狐が現れた。だが、服装には覚えがある。
(えっ…あるじ…?に…そっくりの…ばけもの…)
妖狐は謙信景光の身体を床に押し付け、牙を向けた。
「やめるのだ!(泣)たすけて!(泣)たすけて!(泣)」
布団の中でジタバタと暴れ泣き出した謙信景光を小豆長光と小竜景光が宥めた。
朝になり、謙信景光は目を覚ました。
「…あつき…?あれ?ここは…?」
「おはよう…きみのふとんはそとにほしたよ」
「…っ…(泣)」
謙信景光は小豆長光の胸に顔を埋めて泣きじゃくった。先程の出来事は夢だったのだから…
謙信景光は審神者の心配するような質問の意味が分からないまま、大失態を繰り返していた。その事を打ち明けた。
「あるじ…(泣)ごめんなさいなのだ…(泣)」
続く