第15章 廃屋(中篇その4)
注意 ホラー要素あります(汗)
護符だらけの廊下を延々と歩いた燭台切光忠。
「…かっこ悪いよな…この僕が、迷子になるなんて…ぐす…誰か…助けて…ぐす…」
半泣きになり、出口を探したその時、
「燭台切さん…?」
と石切丸の声がした。
「えっ?石切丸さん?如何したんだい?他の皆は?」
「鈴の音に導かれて…気が付いたら此処に…」
石切丸が経緯を話した。
「僕は謎の光に…」
「謎の光?それって、厨へ向かう途中だったのかな?」
「うん、そうなんだけど…此処、気持ち悪い…吐きそう…」
「大丈夫かい?…それにしても、護符だらけだね」
石切丸も顔色を青ざめた。
(こんなにたくさんの護符…きっと何か秘密があるね…おや、あの扉は…?)
洋扉らしきものが出てきた。石切丸はその扉の中を覗いた。その向こうに居たのは…
「三日月…?」
三日月宗近だったが、違和感がある。
「其の姿…」
「…本丸閉鎖という法的措置によって、俺達は刀解された。俺は残存の記憶を残そうとしたのだ」
白髪と白の狩衣の姿の三日月宗近が話す。
「今の主…彼奴が来るまでは、幸せだった…」
「だった…過去形だね」
「俺達は彼女をたいそう気に入った。彼女も俺達を気に入って、幸せそうに笑った…ところが、ある日突然、それはやって来た…」
ゴクリと固唾を飲む燭台切光忠と石切丸。
「彼奴が来た…刀鍛冶に使う槌を持ってな…へし切長谷部を筆頭に俺達は門前払いしようとしたが、彼奴は聞き入れてくれなかった…とうとう審神者部屋まで来てしもうた…その日は運が悪かった…小狐丸が近侍を務めてな…短刀達は彼奴と小狐丸のやり取りを聞いてしまった…彼奴は必死に門前払いしようとする小狐丸を払い除けて…後は…此処に聞くと良い」
同じく白装束の小狐丸が来て、
「私は見てしまったのです…ぬしさまがぬしさまを殺めてるところを…ぬしさま…否、彼奴は、彼女…本当のぬしさまを殴り殺してしまいました…その音を消す為の仏教で使う儀式用の道具の音を繰り返し流したのです…」
と涙ながらに話した。その言葉で石切丸はハッとした。にっかり青江が身振り手振りで説明した謎の金属音の正体が仏教の儀式用の道具の音だったという真相を今になって聞いたのだ。
「私は怖かったんです!彼奴は、自分こそが審神者に相応しいと…女は審神者になれないって…!」
「!」
石切丸と燭台切光忠は顔を見合わせた。
「ちょっと待って?それ、どういう意味なの?」
「彼奴は一度審神者職の追放処分を受けてな…復帰を時の政府に懇願したのだ。時の政府はそれに反対した。理由は分かっておる。喫煙だ。当本丸は消防法に基づき、敷地内禁煙なのだからな」
「…そうですよね…」
石切丸は自分の本丸も禁煙である事を知った。
「…あなた達を見てると、彼の娘を思い出しますね…とても不思議な気がします」
白装束の小狐丸がニコニコと笑った。
「彼の娘?」
思い当たる節が無い。
「おお!彼の娘か。何となく、そんな感じがしたぞ。はっはっはっ…して、彼の娘は今、審神者であろう?」
「えぇっ?!何で知ってるの?」
三日月宗近に言われた燭台切光忠は驚いた。
「やはりな…お主等の波長が俺達の波長と合ってた気がしたのだ」
「彼女を知ってるんですか?」
「彼の娘は彼奴と会ったことがある。それは、彼の娘が高校合格の報告する為に、この本丸に来た時だった…だが、その日は彼奴が審神者として復帰したばかりだった…」
「それで…その後は…」
「…この扉の向こうに真実がある。付いて参れ」
三日月宗近に導かれて扉の向こうをくぐった。その向こうに在るのは…
続く