第15章 廃屋(中篇その2)
注意 ホラー要素あります(汗)
皆とはぐれてしまった燭台切光忠は心細くなり、泣きそうになった。
「嘘っ?!僕、閉じ込められちゃった?そんな!ねぇ!皆!気づいてよ!ねぇ!…ダメか…」
燭台切光忠は先程、謎の光に導かれて別の道を通った事を後悔した。
「まんばくんの持って来た見取図だと、あの道は厨への道だったような気がする…でも、ここは…」
燭台切光忠は周りを見た。複数の御札が隙間なく貼られていた。
「これは…護符?」
いくつかの護符には見覚えがある。加持祈禱に使われてる護符だった。悪霊退散の護符だらけだった。
「…立地条件が悪い所だったのかな…」
燭台切光忠は審神者から受け取った方位磁針を見た。
「…しまった!まんばくんに渡すの忘れてた!」
時すでに遅し。彼らの偵察値を利用した勘に頼るしかないだろうと諦めた。
「どうしようかな…護符だらけで、気持ち悪くなってきた…」
燭台切光忠は護符だらけの廊下を歩いた。
一方その頃、燭台切光忠が居なくなった事に気付いた山姥切国広、和泉守兼定、堀川国広、前田藤四郎、石切丸、髭切、膝丸、にっかり青江は辺りを見回した。
「どうしよう…燭台切さん、居なくなりました…」
「別の道を歩いたのか?」
「だとしたら、この廃屋、何か秘密があるのだろう」
髭切は燭台切光忠が居なくなった方角を見て薄ら笑いを浮かべた。
「兄者?」
「何でもないよ。それより、何処行こうか?」
「足元気を付けてくださいね。石切丸様」
「助かるよ。前田さん」
「この部屋、気になるんだよな…」
「兼さん、僕も行くよ」
和泉守兼定と堀川国広はとある部屋の障子を開けた。
「この部屋の奥、気になるんだよな…」
和泉守兼定は次々と襖を開けた。
「床の間で行き止まりだね」
「ああ、大広間に変わる部屋みてぇだな…おっ、箪笥があるな…どれ、中身を拝見♪」
「兼さん!ダメだよ!勝手に漁っちゃ!」
堀川国広が止めようとした。
「…ん?子供服…?にしては、見覚えが…」
その時、フッと真っ暗になり、耳を劈くような金属音がした。とても耳障りな金属音だった。
「この音…!主さんが言ってた…!」
「ああ、頭痛くなるぜ…」
金属音が鳴り響く。その音の音源を探す堀川国広。
(おかしい…突然真っ暗になるなんて…それにこの金属音…刀鍛冶の槌音ではないけど…何だろう、凄く嫌な予感がする…!)
堀川国広はその場を離れようと和泉守兼定に言った。
「兼さん!とにかく、ここを離れようよ!」
「えっ?如何したんだよ?国広?」
「ここ、何だかヤバい気がするよ!」
「ああ、分かった」
急いでその場を離れた。その時、パァっと明るくなり、金属音は消えた。
「…何だったんだ?今のは…」
「…今の音、仏教で使うアレの音じゃなかったかな?確か、両手で鳴らすアレだよ?」
にっかり青江が身振り手振りで説明したが、その道具は見当たらないようだ。
「…あの部屋、粟田口部屋だったみてぇだ」
「如何して分かったの?兼さん」
「先刻、箪笥があったんだが、中身は、粟田口の短刀の服だった」
「えっ?…ここ、本丸だったんですか?」
「そうみたいだね」
「ところで…方位磁針、燭台切光忠が持ってなかったか?」
「えっ?」
「…やっぱりか…仕方ない…石切丸と髭切、膝丸は夜盲だからな…偵察値が高い前田と行動してくれ。頼む」
「はい、任せて下さい」
別行動をする事になった。
「…不穏な気が漂ってるね…」
「先刻のあの音の残響がします…」
「そうだね…すごく嫌な音だったね…」
髭切はあちこち廃屋内を見て薄ら笑いをした。
「先刻から兄者の様子がおかしい…」
「髭切さん…如何しました?」
「ん?何でもないよ。あ、彼処、突き当たりは浴室みたいだよね」
「確かに…」
突き当たりの戸を開けて中を確認した膝丸。
「…洗面器が散らばってるね…」
「…厨の近くだったみたいだが、燭台切光忠殿が居なくなったのは、この辺だったな?」
厨近くの伝言板らしきものがある。
「…これは…文字が掠れて見えないけど…名前が書いてある…」
「えっ?…鈴の音?」
石切丸は鈴の音に導かれて歩き出した。それが、後に燭台切光忠と合流する事になるとは知らずに…
続く