ある本を読んで、
今の治療に疑問を持ったり、悩んだりしたときに、自分が治療を受けている病院の「主治医」とは別の病院の先生に、「副主治医」になってもらう方法があることを知った。
その本によれば、 「副主治医」とは、患者に「主治医」から言われたことを噛み砕いて説明してあげたり、患者が「主治医」のいる病院の治療や治療方針で迷ったときに、もう一人の医師として相談に乗ってくれる存在だという。
自分は腹膜播種だ。
自分ではもう手に終えない。
そうだ。
僕のがんをみつけてくれた、
あの先生に副主治医になってもらおう。
そして今日5年ぶりに、僕はその先生のいるクリニックに電話をかけた。
名を名乗り、受付の女性に、
「5年前そちらで内視鏡の検査を受け、
がんを見つけてもらったこと」
「そして、そちらの先生に紹介された病院で今も治療を続けていること」
「この前、腹膜播種と診断されたこと」
「その病院の主治医から余命宣告に近い話しを聞かされ、今後の治療で悩んでいること」「出来ればそちらの先生に、もう一人の主治医(副主治医)になってもらいたいこと」などを伝えた。
受付の女性は、僕の名前を検索し、過去の患者であることを確認した上で、
「先生は忙しいが、前週に連絡さえ貰えれば、 月曜と水曜の診察終了前であれば、少し待つことにはなるかもしれないが、先生と会う時間はとってもらえると思う」と言ってくれた。
僕は必ず伺うと伝え、電話を切った。
しばらくすると、同じクリニックから着信があった。
なんと電話の相手はクリニックの先生だった。
自分は5年間の無沙汰を働いていたのに、先生は僕のことを憶えてくれていたのだ。
「あなたのことはずっと気にかけていたんですよ」と。
どういう意味で気がかりだったのか?は訪問時に聞くとして、とにかくわざわざ先生から直接電話を頂いたことに、自分はただただ感謝した。
そして自分の無礼を心底詫びた。
先生は、電話で僕のことだけでなく、家内の乳がんのことまで気にかけてくれた。
そう、僕はこの先生に、「家内と同じ病院にして下さい」と、紹介状を書いて貰ったのである。
僕は何度も何度も5年間の無沙汰の謝罪と、電話をくれたことへの感謝の意をあらわし、最後に副主治医になってほしい昏を告げた。
先生は、「まずは会ってお話しを聞きましょう。抗がん剤の治療も大変だろうから、体調のいいときに来て下さい」と電話を置かれた。
先生が僕の副主治医になってくれるかはまだわからないが、何故だか僕はとても心強い相談医を得たような気がして、無性にうれしかった。