【追記】
本日のニュース
大阪の切断遺体 強盗殺人容疑で28歳男性を再逮捕へ 借金返済目的か
2/23(日) 2:00配信(毎日新聞)
>大阪府内で国土交通省職員の切断遺体が見つかった事件で、
死体遺棄容疑で逮捕された無職の大木滉斗(ひろと)容疑者(28)=大阪市中央区日本橋2=が、
職員を殺害して現金やキャッシュカードを奪った疑いがあることが判明した。
大阪府警は強盗殺人容疑で逮捕状を取り、23日にも再逮捕する方針。
捜査関係者が明らかにした。
容疑者は借金を抱えて生活に困窮していたとみられ、府警は動機を詳しく調べる。
せやで
判明したから再逮捕するんやで!
でも、あれ・・・?
逮捕から20日しかたってない・・・なんでだろ?
もう明らかすぎるからええわってなったのかな。
予想が外れちゃいましたね(´・_・`)
(↓元の記事)
昨日のニュース
大阪府東大阪市の山中で頭部や手足が切断された男性の遺体が見つかった事件で、
府警は3日、山中に遺体を遺棄したとして、
大阪市中央区日本橋、無職大木滉斗容疑者(28)を死体遺棄の疑い(①)で逮捕(②)した。
捜査関係者への取材で分かった。
逮捕前の任意聴取に容疑を認めたという。
府警は、大木容疑者(③)が男性の死亡の経緯を知っているとみて、殺人容疑も視野に捜査する。
(2/3読売新聞より)
(なんかコピって気づいたけど随分つたない文章だな…)
専門的なことを学んでいると
友だちとか親戚からその手の話を質問されたりしますよね。
でもなんか法律って全然されないんですよ…
結構おもろい話あるのに…
(私の人望の問題かもしれない)
冒頭の記事を見て「あっ」て思ったので
全く使い物にならない豆知識を紹介します!
こういう、○人事件があったけど犯人候補が見つからない…
ようやく見つけた!
というとき
なぜ警察は○人の罪ではなく○体遺棄の罪で逮捕するのでしょう。
気になったことはありませんか?
①なぜ○体遺棄なのか
日本の刑事手続(同じような制度の国はたくさんあるんでしょうが)では
身柄拘束の期間が厳格に定まっていて、
その期間内に起訴できるレベルまで証拠集められなかったらどーしよ
って思ってるからなんです。
(ちなみにこんなこと正直に言う訳ないので
あくまで想像…というか普通に考えたらそう、という話です)
刑事訴訟法上、身柄拘束の期間は
警察が逮捕をした場合、3日以内に検察へ引き渡す
検察は最大10日の勾留を行い、さらに必要であれば10日延長できるという決まりになっています。
そしてその日が来たら、起訴するか釈放するか決めなければなりません。
実務上、重大な事件であればフツウこの23日をフルに使います。
つまり、おそらくこの事件、2/3が逮捕日であれば2/26に「○人の罪で再逮捕」
という報道がされると思われます。
そう、○人は○体遺棄とは別の罪だから、
身柄拘束おかわり!とできるということです。
しかし、そんなトリックを使えるのなら
身柄拘束期間を厳しく定めている意味がないと思いませんか?
実際、一般的には、一つの罪については一回の逮捕、
一回の勾留(+延長)しかできないと解されています。
勿論、新しい証拠が見つかったとかそういう場合はまた別ですが。
状況が変わっていないのにおかわりはできない、というのが
厳格に期間を定めている法の解釈として当然であり、
実務もそれに則っているんです。
一罪一逮捕一勾留の原則などと言ったりします。
ですので、警察・検察はこういうわけです。
「この人○体遺棄やったっぽいわ!逮捕!」
「なんか取り調べてたら○人にもかかわってるっぽいわー
うわそこ気づかんかったー(棒読み)はい、そっちでも逮捕。」
新しく分かったことならそもそも一逮捕一勾留にできなかったんだから
しょうがないよね、というわけです。
誤解なきよう申し上げますと
これは実態の話であって批判ではありません。
凶悪犯罪を検挙するために多分必要な実務なのです(・・・多分)。
そういえば
さきほど「再逮捕」と申しましたが
刑事訴訟法の学問における再逮捕というと、
通常は先ほど申し上げた「新証拠が見つかったとき」のやつになります。
つまり、一罪一逮捕の例外と言うことですね。
しかしメディアが言う「再逮捕」は、警察・検察の理屈に乗れば
「ただ別の罪が見つかったからそっちで逮捕しただけ」ということであり、
意味が異なります。
メディア流の言葉の使い方ということですね。
②逮捕とは何か
逮捕とは、
「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由がある」
(理由の要件 刑事訴訟法199)、かつ
「逃亡または罪証隠滅の虞(おそれ)がある」
(必要性の要件 刑事訴訟法規則143の3)場合は
被疑者を身柄拘束してもよい
被疑者の行動に関する人権を官憲が(現行犯なら私人も)奪ってよい、という手続のことを指します。
まーつまり…
実際は、重大事件だったら逮捕まで行っちゃえば
ほぼ起訴、有罪なのかもしれませんが
制度上は全然
ただ怪しまれてる、犯人かもしれない人、ということになります。
そして逃げたり証拠隠滅したりしそうでなければできない手続でもあるのです。
これについては何となくネットの影響なのか、
人々のリテラシーが高いように感じます。
報道があっても「まだ逮捕されただけだよね」
みたいなコメントをよく見かけます。
(この記事の件は容疑認めてるって書いてあるからもうあれだけど…)
③容疑者という言葉
これはいわゆる”メディア用語”です。
刑事訴訟法においては、「被疑者」と言います。
以上
役に立たない豆知識でした(´・ω・`)v
参考になりましたか?(コミュニティノート)
ああ、ついでに
大学時代の教授がこんなことも言っていましたね。
メディア用語へのつっこみで
”収監”という言葉が使われているが
今は「監獄法」がなくなり、
「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」
になっている関係で
”収容”という言葉が正しいんだと。
…まぁどっちでもええわ。
画像ないとさびしいから貼っておこう。
カビゴンが可哀想なんだが?(でも可愛い)
