いやーなんか荒れるような内容に触れるのは好みではないんですが
こんなので上告(結果不受理、確定済)ってなんやねんって面白すぎたので内容の詳細が気になって気になって
探し回っていたらネットで判決文と契約関連のデータを上げてくれている方がいらっしゃったので
これについて語りたいと思います。
ありがとうございます!!!!
なお、裁判は弁論や証拠の積み重ねから合理的に認められる法的結論を示すもので、
必ずしも神が見極めた真実ではなく、
誰が良いとか悪いとか言っているわけではございませんのであしからず。
※法律学の道から離れて何年もたつので変なこと書いてあってもゆるして(^ワ^)
※以下、引用中の「~」は略部分
・事案の概要(原文要約)
被告(元市長側)は、令和2年7⽉上旬、本件選挙~への⽴候補を決断し、
同年7⽉20⽇までに~原告(印刷会社側)に対し、本件選挙のポスター等の印刷を依頼~した。
被告は、同22⽇~原告の営業部次⻑であるCと電話で打合せを⾏った上、原告との間で、
本件選挙に係るビラ及びポスターの製作に関する請負契約~を締結した。
この時点で~ポスター及びビラの仕様(サイズ、カラー印刷か否か、紙質等)、枚数、納品形態、
納品場所等は決定しておらず、また、原告と被告との間で、報酬額に関するやりとりもなかった。
原告及び被告は、令和2年7⽉23⽇以降、ポスター及びビラのデザインや製作枚数、スケジュール等の
本件請負契約の具体的な内容に関する打合せを⾏い、以下の内容が確定した。
a ポスターを260枚製作する。
b 法定(選挙運動用)ビラを2種類製作する。他⽅、告⽰前ビラの製作は取りやめ、それまでのデザイン料等の費⽤は原告が被告に請求する。
c 法定ビラは、1回⽬及び2回⽬とも各8000枚を印刷し、各回7370枚を中国新聞及び読売新聞に折り込む。
d ポスター及び1回⽬の法定ビラは、⼩型チャーター便を⼿配して、同⽉30⽇中に被告の選挙事務所へ納品する。
e 2回⽬の法定ビラは、同⽉31⽇に宅配便で被告の選挙事務所へ発送する。
法定ビラは、同事務所において証紙貼りをした上で、被告側が同年8⽉3⽇に原告に持参し、
原告が検品及び仕分けをした上で中国新聞折込センターへ搬⼊する。
原告は、令和2年8⽉3⽇までに本件各業務を全て⾏った。
被告とCとの間で、令和2年7⽉30⽇から同⽉31⽇にかけて、以下の内容のメールのやりとりがされた。
〔1〕被告→C 「いまさらですが、今回の発注でお⽀払いの総額はどれくらいになるものなのでしょうか。選挙運動の費⽤に制限があるため、念のためお伺いする次第です。」
〔2〕C→被告 「ビラ・ポスターは弊社から安芸⾼⽥市へ請求書を指定の⽤紙で提出し、安芸⾼⽥市から⼊⾦されるものだと思います。したがって、Bさまへは負担が無いかと思いますが、説明会資料にそういった説明書きや提出書類はございませんでしたでしょうか?」
〔3〕被告→C 「はい,ポスターとビラの費⽤は公費負担です。ただ、選挙運動に関連して無尽蔵に⽀出できる訳ではなく、総額に制限が設けられているとの認識です(今回の場合は500万円程度)。残りどの程度の⽀出が可能なのかを把握しておきたくお伺いしました。正確なルールは改めて確認しておきます。」
〔4〕C→被告 「全体⽀出に関してのルールまでの知識は無いのですが、印刷物については、決められた計算式の元でのご請求になるのではないでしょうか? ルールのご確認を頂けましたら、お教えください。」
原告は、令和2年8⽉3⽇に本件各業務を全て終えた上、同⽇中に、被告に対し、その報酬額を102万800円(ポスターにつき39万8000円、法定ビラにつき 1回⽬、2回⽬とも各26万5000円、消費税9万2800円)とする⾒積書をメールに添付して送付した。
被告は、同⽇、Cに対し、「選管の説明によると、ビラは120,160円、ポスター は227,994円が公費負担の限度額となっています。頂いた⾒積書は数倍の⾦額が提⽰してあるのですが、相場と⽐較して妥当なものなのでしょうか? Cさんの書 き振りからして、⼀般的に⾃⼰負担が発⽣せず、それを前提に受注して下さっているとの認識でいました。」と記載したメールを送った。
はい。
ちなみに打ち合わせを始めた23日から土日を含め4連休、メールの30~31日は平日の木曜日と金曜日、
完了の3日は翌月曜日です。
この後被告が「公費負担限度額」たる約34万くらいしか払ってくれないので、原告側が示す約102万との差額分について、
請負契約に基づく報酬請求を行ったというものです。
これについて裁判所は以下のような判断をしています。
ちなみに地裁も高裁もほぼ同じ内容だったので、高裁から引用することとします。
ここからは自分のコメントも赤字でつけていきます。
・高裁の判断
★争点1(報酬額に関する合意の有無及び内容)について
控訴⼈(元市長側)は、被控訴⼈(印刷会社側)と控訴⼈の双⽅に、
ポスター及び法定ビラの費⽤が全て公費で賄われるという共通認識があったと主張し、
その根拠として、Cが控訴⼈に対してポスター及び法定ビラの費⽤は公費負担のため
控訴⼈には負担がないはずであるとする本件メール 〔2〕を送っていることを指摘する。
これは今日、やほーの日刊スポーツの…
元市長がこのメール〔2〕を示してほらねって言っている記事が上がっていました。
ということは控訴人の主張というか、”言いたいこと”の核たる部分なのか…
あるいは、一番自身の主張として説得力があると思っているものなのでしょう。
民事訴訟においては、原告が自身に請求権があることを主張する必要があります。
今回は、「総額約102万円の請負契約」に基づいた代金支払請求権があるとして、訴訟を提起したものです。
被告側としては、契約に基づく請求に対して争う場合、
一般論として、その請求は失当であるよとするためには、
「そんな契約はしていない」あるいは「もう支払った」「時効が成立している」などと主張しなければなりません。
民事訴訟においては前者のようにそもそも相手の主張する事実を否定することを否認と言い、
後者のように事実は飲むが請求は成立しないとすることを抗弁と言います。
今回は…ん?どっちになるんだろう…
ま多分前者ですね。「公費負担限度額の範囲内の請負であることについて合意があった」と主張するわけです。
しかし、証⼈Cによれば、Cはこれまで選挙⽤のポスターの製作をいわゆる直受け
(候補者側から代理店を通すことなく直接発注を受けること)で2件担当したことがあり、
その費⽤が全て公費で賄われたという記憶はあったものの、
選挙に係る公費負担制度についての知識は乏しかったというのであり、
本件メール〔2〕や本件メール〔4〕の⽂⾯からも、Cは、本件メール〔5〕において控訴⼈から
本件公費負担額が⽰されるまで、本件選挙において公費で賄われる上限の有無やその具体的な額等を
知らなかったことが認められる。
そうすると、控訴⼈が、その主張の根拠としている本件メール〔2〕の上記記載部分は、
せいぜい、被控訴⼈が、公費負担の上限額に関する不⼗分な知識の下、
安芸⾼⽥市から相当代⾦額を超える額の公費負担がされるのではないかとの
不確定的な認識を⽰したにとどまるものと⾒るのが相当であり、
この点については、被控訴⼈が、上記メールにおいて、
選挙管理委員会から公費補助制度に関して説明を受けていて被控訴⼈よりも事情を知るはずの控訴⼈に対し、
同制度の内容を尋ね、確認を求めていることからもうかがうことができる(原審証⼈尋問におけるCの証⾔内容も、
上記趣旨で上記メールの記載部分を作成した経緯を証⾔するものとして、⾸肯し得るものである。)。
ちなみに原審というのは前の裁判、地裁の事を指します。
以上に照らせば、被控訴⼈が、上記メールの記載によるやり取りにより、確定的に実際の公費負担の上限額~
をもって本件請負代⾦の報酬代⾦額とし、あるいはその上限額とする意思を⽰していたなどとは認め難いというべきである。
そして~他に、本件公費負担額が本件請負契約の請負代⾦額とされた旨の契約書・⾒積書その他
控訴⼈主張の裏付け資料として的確なものもない。
~被控訴⼈と控訴⼈との間で本件公費負担額をもって報酬額とする旨の合意があったと認めることはできない。
メールの内容を見ると控訴人が「公費負担限度額の範囲内で仕事を行ってくれるんだな」
と期待するのも無理もない気がしますが、
しかしそれを根拠に「合意があった」とまで言えるかと言うと、私もそうは思いません。
なぜなら、事前にそういった明確な合意がない中で、既に仕事は控訴人の依頼どおりに、
そしてかなり行っている段階でのメールなので、その段階であえて印刷会社側からしたら
「全然足りない」額で合意することは不条理だからです。
他⽅、被控訴⼈は、被控訴⼈と控訴⼈との間では「相当な報酬」を⽀払う旨の黙⽰の合意があったと主張する。
被控訴⼈と控訴⼈との間では、令和2年7⽉23⽇以降、ポスターやビラのデザイン、数量、納期等に関する
具体的な打合せが進められる⼀⽅で、同⽉30⽇以降にメールのやりとりがされるまで報酬額に関する特段の協議は
⾏われてこなかった(本件請負契約締結当時から代⾦額は定まっておらず、その後も定められてこなかった。)。
この辺りに紛争となる大きな原因があります。
契約書がないのです。
正確に言うと、あるか分からない。
まぁ普通に考えて、あったらどっちかの主張に出てくるから、ないんでしょうけど。
我々がなんか、例えばエアコン交換したい!と思うと
まず見積書を貰いますよね。
つまりそういった類のものもない、ということになります。
契約に関する書類で市から出てきたものは、「請負確認書」などであり、事前の合意を示すものではありません。
おいおい役所なのに事前の契約書もないんかぁ?と思ってしまうかもしれませんが、
役所だったら(担当者が異常者でなければ)絶対に作成します。
今回の件では、そもそも公人になる前の私人間の契約ですので、役所から出てくる書類は
「ポスターとビラ作ってもらう契約したから公費負担分ちょーだい」っていう、
条例に基づいてお金をもらうための手続に関する書類しかないのです。
ちなみに基本的には契約は意思表示の合致により成立し、契約書と言うものが必要というわけではありません。
で、ここ、個人的に気になってたところの一つでもあるんですが
話まとまってないのにどうやって公費請求したんだって点なんですが
「請負確認書」を見ると、
「印刷会社は○円って見積もってるけど最終的には協議して決める。
でも少なくとも△円については争いがないから△円分請求する」って形にしてるんです。
いやはやなるほどというか…言い方よくないですが結構せこいですよね笑
実務ではよくあるんでしょうか?選管もなんだこれって思ったんじゃないでしょうか。
はい、余談でした。
それにもかかわらず、 被控訴⼈において、同⽇時点で~概ね予定どおりにポスターやビラを
製作・発送するなどし、既に⼤きな仕掛り分を⽣ずるに⾄っていたものである。
営利企業であるところの被控訴⼈が無償で本件各業務を⾏ったなどとは到底認め難いところであって、
控訴⼈においても⽀払うべき報酬代⾦が⽣じると想定していたことは、「いまさらですが」などと
代⾦額について尋ねる控訴⼈作成の本件メール〔1〕の記載内容からも明らかである。
しかるところ~その他当事者間で確定額を請負代⾦額とする旨の具体的やり取りもない。
そのような中で、本件請負契約の約旨に則り、被控訴⼈によってポスターやビラが製作され、
控訴⼈においても⼀部とはいえこれを受領し~代⾦額を被控訴⼈に尋ねるに⾄っているのであるから、
当事者間で、遅くとも上記やり取りのあった令和2年7⽉30⽇頃までの時点において、
本件請負代⾦額を相当な報酬額とする~
すなわち、被控訴⼈及び控訴⼈は、被控訴⼈が⾏う本件各業務の内容
(製作されるポスター等の品質、数量、納期、これに要する業務量等)に⾒合う額
(製造原価のほか、被控訴⼈の営業利益も含む。)をもって、本件請負契約に係る報酬額とするという共通認識を
有していたと認めるのが相当であり、被控訴⼈と控訴⼈との間では、
上記の意味での「相当な報酬」を⽀払う旨の黙⽰の合意が成⽴していたというべきである。
なお~控訴⼈は、本件請負契約を締結した当時から、~公費負担額の範囲内に収まり、
⼜は、これを超えるとしても⾃⼰負担額が多額に上ることはないと考えていたことがうかがわれる。
しかし、そのような控訴⼈の認識が事前に被控訴⼈にしかと伝えられていた形跡はないのであるから、
これが請負代⾦額に係る意思表⽰の内容とされていたなどとは認め難く、他にこれを認めるに⾜りる的確な証拠もない。~
仕事があった。
それについて報酬が発生することも双方認識していた。
しかしその金額について事前の明確な合意がなく、
「○円だ!」「いいや、△円だ!」と争いになった場合、裁判官はどうすればいいのでしょうか?
いや、事前に決めておけよ…(呆れ)というのが本音だとは思いますが、
この場合、特にそれに反する事実…証拠もなければ、
ある程度の仕事をやらせたのであるから、それに見合う報酬を支払うことについて合意があったと
考えないと、認識違いを理由に一方当事者が丸損してしまい、公平を欠く結論になってしまうため、
このように黙示の合意があったと判断するわけです。
法律学では、この辺の話を「当事者の合理的意思解釈」などと言って、契約法の理論に組み込んでいます。
このような理論がないと、「意図的に”思い込み”を利用した踏み倒し」などが可能となってしまうからです。
(念のためですが、今回のケースがそれであったと言う訳ではないですよ!)
それでは、相当の報酬ってなんやねん、
原告側の言い分が通ると考えるのは逆に不公平ではないか?と思いますよね。
それが続く部分になります。
★争点2(「相当な報酬」の額)について
控訴⼈は、本件公費負担額は選挙⽤のポスターやビラの製作代⾦の相場価格であり、これが本件請負契約における
「相当な報酬」の額である旨主張する。
しかし、ポスターやビラの製作に係る報酬額は、そのサイズや品質(⽤紙や印刷の質、デザイン等)、
カラー印刷か否か、⽚⾯か両⾯かなどの製作物の内容のほか、どの業者にどの程度の納期で製作を依頼するか、
取引当事者の信⽤性や取引当事者間の取引の継続性の有無などの事情によっても左右されるものであるということができ、
本件請負契約における 「相当な報酬」の額は、これに基づいて製作されたポスター等の製造原価、
被控訴⼈の業務量等、本件請負契約に係る固有の事情を基に算出されるべきものである。
そもそも本件公費負担額は、「安芸⾼⽥市議会議員及び安芸⾼⽥市⻑の選挙における選挙運動費⽤の公費負担に関する条例」
に基づいて本件選挙の各候補者につき⼀律に定められたものであり、それは、あくまでも、各候補者のポスター及び
法定ビラの費⽤の全部⼜は⼀部を、安芸⾼⽥市における公職選挙の候補者の負担軽減、候補者間の選挙運動の機会均等
といった観点から公費によって賄うこととしたものにすぎないものと解されるのであって、
これに反し、上記条例が、本件公費負担額をおよそ選挙活動に係る上記ビラ等の製作費の額として相当であるとする
趣旨まで含むものと解すべき根拠資料はない。
ここ、個人的に最も重要なポイントだと思いますね。
正直言ってしまうとそんなの当たり前じゃんって内容なんですけど、
なんとな~く聞いていると「公費負担限度額」に収まってないとおかしくない?と感じてしまいませんか?
しかしその根拠とする条例はただその額を限度にお金あげると言っているだけで、その額に収めろだとか、
それが相場だとかは謳っていないんですよ。
というかこの条例すごくたんぱくで、お金あげるよって、その手続きとかが書いてあるだけなんですよね。
勿論まるで話にならないような額しかくれないなら機会均等と言う条例の趣旨を全うできないので、
少なくとも「これくらいあればできるんじゃね?」っていう額を設定したんでしょうけども、
それを超えてポスターやビラに金使いたかったら、それもまた個人の自由でしょうからね。
いや条例とか関係ないから仕事させた分のお金支払おうね、となるわけです。
したがって、いずれにしても、本件公費負担額が当然に本件請負契約における相当な報酬の額となり、
あるいは、その限度を画するものとなるものではない。
~もっとも、控訴⼈は、調査嘱託の結果に基づき、~広島県議会議員安芸⾼⽥市選挙区補⽋選挙及び~
安芸⾼⽥市議会議員選挙の各候補者の多くについて、そのポスターや法定ビラの製作費⽤が公費負担の
上限額を超えていないことを指摘する。
しかし、上記のとおり、ポスターやビラの製作に係 る報酬額は、個々の請負契約に係る上記諸事情の内容、
程度により左右されるものということができる~ところ、~いかなる取引業者と、いかなる⾒地~から、
どういった趣旨や由縁に基づいて請負契約を締結したのか及びその約旨は上記証拠等によっても明らかでないから、
こうした事情を措いて、~相当報酬額についても本件公費負担額とし、あるいはこれを上限とすべきであるなどとは
到底認め難いというべきである。
上記調査嘱託の結果は、これらの候補者が、 ポスター等の製作費⽤につき⾃⼰負担が⽣ずることを避けるため、
公費負担の上限額を超えない内容でその製作を業者に依頼した結果であるとも考えられ、
控訴⼈の上記主張の裏付けとなるものとはいえない。
他⽅、被控訴⼈は、本件⾒積書に記載された額~が、本件請負契約における「相当な報酬」の額であると主張する。
本件⾒積額は、被控訴⼈が、令和2年8⽉3⽇に本件各業務を全て終えた後に控訴⼈に提⽰したものであるところ、
この時点で被控訴⼈と控訴⼈との間にトラブルが⽣じていた様⼦はうかがわれず、被控訴⼈があえて単価、数量等を
⽔増しして相場よりも⾼い額の報酬を控訴⼈に請求しようとしたとは考え難い。
う~ん、ここはなんか結論を導くための補完的な部分と言うかなんというか。
思ったより大変だったから金額盛ったろ!とか思ってても不思議ではないと思いますが。
多分そんなことはしてないんだろうけど…くらいにしか感じませんね。ちょっと微妙。
また、⼀般に、選挙に係るポスターやビラは、限られた選挙運動期間の中で当該候補者の属性や政策等を
有権者に効果的に訴求するものであることが求められる上、~その製作にかかるコストは⼀般的な商業⽤の
ポスターやビラと⽐較して⾼くなることが多いと考えられるところ、
本件請負契約についていえば、~契約内容(本件各業務)の確定から納品予定⽇まで、 ⼟曜⽇を含めた4連休の⽇を含む
極めて短期間のうちに完成・納品を求められるものであった上、
控訴⼈と被控訴⼈との間で、従前、同様の取引が⾏われたことはなく、
新たな取引としてこれを⾏う必要があるものでもあった。
ここって、既存のデータとかがない分大変になるって意味?いまいち分からないですね。
また、本件各業務の業務内容の確定や業務の仕掛り前に、本件当事者間で、本件公費負担額の具体額を限度とした
仕事の内容・程度に⽌めおきたいなどの事前のやり取りがされていたような事情もうかがえない。
したがって、本件請負契約の請負代⾦額を定めるに当たり、その旨の表⽰があったものとして,
本件公費負担額を重視すべきものともいえない。
他⽅~⼀般財団法⼈建設物価調査会が令和4年2⽉に発⾏した「物価資料」を参照して、本件請負契約における製作物や
業務の内容等に近い条件で商業⽤の宣伝物や印刷物の価格を積算すると、
本件⾒積額とさほどかい離しない額になることが認められる。
これ!気になりますが調べても情報が出てきませんでした…。
なのでまぁ、そうらしいですよってことで見るしかないですね。
これらの事情に照らせば、本件⾒積額は、被控訴⼈が⾏った本件各業務に対する報酬の額として、
総じて相当性を有しているというべきである。
控訴⼈は、本件⾒積額のうち「企画」の費⽤~に関して、~選択作業は不要であり~
変更等の作業はわずかであるなどとして、上記の額は⾼額に過ぎる旨主張する。
しかし、選挙に係るポスターや法定ビラは、~限られた選挙運動期間の中で当該候補者の属性や政策等を
有権者に効果的に訴求するものであることが求められることから、このような⽬的を達するために
どのような情報(候補者の⽒名、顔写真、属性、政策、キャッチコピー等)を盛り込み、
これらをどのように配置するかといった⾯での企画⽴案が特に重要になり、
そこには様々な創意⼯夫の余地があるということができる。
そして、~納期が短かったことから、ポスター等のデザインについて、
選挙関連のポスター製作の経験があるデザイナーであるDに担当させることとし、
実際のデザインに当たっては、控訴⼈から提供された原案に対し、
⽒名、顔写真及び年齢を⼤きく表記する、
⽒名の読み仮名を⼊れる、
政策⽅針とプロフィールを分ける、
控訴⼈のテーマカラーが緑であることから葉っぱをモチーフとしたデザインをあしらう、
キャッチコピーを変更する、
視認性を⾼めるために縦書きと横書きを混在させたり⽂字の⾊や⼤きさ、⾏間の幅を変更したりする
などの種々の修正が加えられたことが認められ、
被控訴⼈の⾏った作業量がわずかであったとか、その内容が軽易なものであったなどということはできない。
また、控訴⼈は、本件⾒積額のうち「休⽇・時間外対応費⽤」~について、
これを控訴⼈に負担させる根拠はない旨主張するが、
~C及びD(Dって誰だ…?)は、納期が短い上、控訴⼈からの⼊稿や指⽰が遅れるなどしたために、
祝⽇⼜は⼟⽇であった令和2年7⽉23⽇から26⽇までの4⽇間、休⽇出勤をして、
控訴⼈からの連絡を受けるため待機したり、控訴⼈の指⽰に基づいて作業を⾏ったりしたほか、
上記の休⽇のうちに完了しなかった作業については平⽇に持ち越すこととなって、
同⽉27⽇及び28⽇には残業を余儀なくされたことが認められ、
納期に余裕がありあるいは適時に⼊稿や指⽰が⾏われていれば⽣じなかったC及びDの
休⽇労働や時間外労働に係る割増賃⾦等の費⽤について、これをいわゆる特急料⾦⾒合いの相応額として
本件請負契約に係る報酬額に計上することには相当性が認められるというべきである。
いや入稿と指示遅れてたんか~い👆💦
以上、引用終わりです。
記録を見る限り個人的には、まぁ妥当な結論だなぁという印象です。
被告(控訴人)からしたら、そんなこと思ってないのに黙示の合意だなんて理不尽だと思うのでしょう。
きっかけとしても、お金をけちったというよりかは、いわゆるぼったくりだと思い、義憤に駆られたんでしょう。
そう思ってしまったこと自体は、そこまでおかしいこととも思いません。
ある弁護士からはモンスタークレーマーなどと言われていましたが、それは少し厳しすぎる評価だと思います。
さらに言えば、事前の金額面での合意がないというのは、
原告(被控訴人)側も商売人としてどうなんって思う点もあります。
しかしながら、仕事をかなりやった段階でかわしたメールを根拠に合意があったとするのは大分無理があります。
頼んだ仕事内容を度外視して公費負担限度額の範囲内のはずだ、と信じるのははっきり言って不条理です。
仕事量で報酬が決まるというのは至極自然な話です。
自分が事前の金額面での合意なくその仕事させちゃったわけですからね。
そして(私には確認できませんでしたが)、裁判所曰く「相場とさほどかい離しない額」だそうなので、
これはもう仕方ないでしょう。
何とは言いませんが、なんだか急に風向きが変わり、やたらと叩かれていますね。
司法は…絶対に正しいと言うことはないにせよ…また、色々な意見があってもいいと思いますが、
司法の判断は賢い人たちが色々考えた結果であって、基本的に合理性・妥当性があるものです。
もし人から言われて折れるのが嫌なのであれば、
司法の結果から自分を見つめなおすのもいいと思いますね。
”あえてね”キャラとはいえ、流石にここまでもつれて、また負けるのは想定外だったでしょう。
この上ない教訓になると思いませんか?
どう喝のも見たいな~
どっかにあるかな…