石丸伸二氏が都知事選に立候補して話題になっています。

 

数年前から地方でネットでは話題になっており、政治家同士またはメディアとの喧嘩動画が好きな私はよく見ていました。

 

深い内情を知りえないため、ニュースで見聞した限りではありますが…

発端は市議会議員が議会中にいびきをかいて居眠りをしてしまい、市長がそれをその場で、またSNSで咎めたところ、いびき議員が所属していた会派(市議会の中のグループ、政党のようなもの)から呼び出しを食らい、お説教を受けたとか。そして市長はそれについて「恫喝された」と告発する(これに対して名誉棄損かなんかで市議に訴えられ、確定はしていませんが敗訴しています)などして、対立へと向かったというものです。

 

個人的には、単純に見てて面白いから好きでした。

その上、目立つためか行動が大げさと感じていましたが、基本的には市長の立場が正しいだろうと思っていました。

 

しかし個人的には残念なことがあります。

 

あ…ちなみに私は投票については選挙直前の公報を見てすべて判断するので

これのみをもって彼に投票しないとかそういう風には思っていませんのであしからず。

 

それがタイトルの専決処分です。

しばらく前に一度安芸高田市の専決処分の不承認がその界隈で話題になり、今回また不承認があったとのことです。

 

一つ目についていうと、昨年12月の「道の駅における無印良品」の開店を目指し、4月だかに出店のための調査設計費について「専決処分」を行い、6月議会において調査設計に引き続く改修費を補正予算として要求したところ、議会から反発を受け、改修費を除いた修正案を提示され、それが可決されてしまったというものです。

この点については、少し行政に詳しくないと分かりにくいかもしれません。

 

市(町村)政における市長と市議会というのは、よく二元代表制などと呼ばれます。

市長は執行部(予算を執行する部局、いわば市職員の組織)の長であり、かつ決定機関の一部で、市議会は決定機関のもう一つのピース、と言う感じです。

市がお金を使う根拠となる予算は、市長が案を調製(作成)し、市議会の承認を得ることにより成立します(ともに地方自治法を根拠としています)。

選挙で選ばれる方々が予算の執行を決める、いわば財政民主主義的なこのシステムは、絶対に軽視してはいけないものと解釈すべきでしょう。

 

「専決処分」というのは、市長の判断で予算措置してしまう、という地方自治法で例外的に認められた制度であり、そのうち元市長が示したその「場合」の類型は、同法179条1項における「特に緊急を要するため時間的余裕がない」というものでした。

 

「特に緊急を要するため時間的余裕がない」とは、先に触れた「原則議会にかけましょー」という制度の建付けからすれば明らかですが、「議会開く時間すらない」という意味になります。

自治体によって異なるかもしれませんが、実務に携わる者の感覚としては、(臨時)議会なんて長く見ても1週間もあれば開けます(職員は大変ですけど!)ので、そんな時間すら遅れたらまずい、と言う場合に許される、と考えるのが自然な法解釈と言えます。

そうするとまぁ、市民の命に関わる災害が起きた、即時的に対応しないとだけどもう予備費が尽きている、とか、最近だとコロナだの物価高騰対策の給付金を一刻も早く配りたいね(後者は議会にかけるべきですがありうるケースとして)とか、そういう場合にのみ許されるものになるでしょう。

 

さて、そう考えると無印良品出店に向けての調査設計費というのはちょっとまぁ無理があると言うか。

いや、私の知らない事情が…全く思いつかないですが…「それなら仕方がない」と思える事情があるのかもしれません。

しかしながら普通に考えると、そんなことに専決処分が認められるとは到底思えません。

臨時会を開くべき、というか、当初予算に乗せるのが最も適切な手続きだったでしょう。

 

また、元市長は「自分が説明したのでもうその時点で要件該当性としては成り立っている」というような趣旨の発言もされていました。

しかしこの論点については以下のような行政実例があります。

※行政実例とは…とりあえず行政の指針としてこうした方がいいべ的な、今でいう技術的助言みたいなやつなので、従う法的義務があるわけではありません。

問 第179条の「議会を招集する暇がない」と認めるかどうかは長の自由裁量か。

答 長の裁量によって決定すべきであるが、長の認定には客観性がなければならない。

 

まぁこんなのはっきり言って当たり前なんですが。

例外を長の考え次第で決めてしまえるなら、原則議会を通すルールにした意味がなくなってしまうので。

というか長の考え次第と捉えなくとも、意図的に執行を遅らせ、「はい現時点では緊急性高いです、専決で行きます」が許されることになってしまいます。

 

そしてその専決による調査設計に引き続く改修費を普通に補正にかけようとするという…。

何と言えばいいのでしょう?地方の予算に関わる仕事をしている身としては、本当にありえないとしか思えないんですよね。

一体何をやっているの?執行部は市長に助言しないの?絶対するはずなんだけど。否決されるに決まっているじゃない、と。

元市長も賢い方なんだから、分かっていたはずなのに。

 

専決処分が引き起こした混乱については、明らかに避けられたものです。あえて火をつけたようなものです。

何か狙いがあったのだろうかと勘ぐってしまうほどにお粗末なやり方だと思います。

 

2つ目の認定こども園も、基本構想策定費…

ぱっと見た感じ専決処分でよしとする事情があるとは全く思えません。

 

繰り返しになりますが、これは本当にありえないんですよね。

言いたいのは、こういうことするのが悪いというのではなくて、条理的に。

市政の意思決定過程はどうなっていたのでしょうか?

想像つかないようななんかめっちゃ深い事情が…なんかねある可能性がゼロではないのかもしれないけど

こんなん、もう…アレですよ。行政としてめっちゃレベル低いです。はい。

 

1つ目の案件を知ってから、どうしてそんなことにともやもやしていたんですが、

都知事選立候補、というか市長をお辞めになる意思表明で少し納得してしまいました。

あ、市政どうでもよくなってウェーイってやっちゃったんかなと。

 

 

地方自治法はまぁニッチなジャンルと言うか

ぶっちゃけ専決処分不承認だから何?というものでもありますし誰も注目しないんでしょうけど

 

同法に絡む問題?としてもう一つ、議会の承認権の中身に触れる問題についても結末が知りたいですね(調べればもう分かるかな?)。

 

(多分こんな感じ)元市長が議会だよりの中身を問題視して予算を削って調製する→議会側がそれを復活させた予算案を作成して議案にする→議会には執行部が提出した議案の趣旨に反するような(増額)修正を加えた承認権は有しない、として県に意見照会

みたいなこともやってたんです。

確かに議会側には結構制約があるのは事実ですが、議会だよりくらいだとかなり金額が些少なので、これくらいでそういった結論になるのかしら、というのが気になります。

もしかしたらもう結果聞けないのかなぁ。

 

2つ目の専決処分不承認のニュース見て「エ!」ってなって衝動的に書いてしまいました。

プロローグ2はまた今度・・・。