静かな午後、コーヒーと読書をする空間を求め、少し古びたレトロな喫茶店を訪れた。扉を押し開けると、コーヒーの香りタバコの煙が入り混じった匂いが鼻をくすぐる。店内は狭く、古びた革張りのソファーが存在感を放っている。明るすぎず、暗すぎない優しいライトと窓から差し込む光が店内を照らしている。席に座ると、ソファーは少しだけ強めに反発してくる。タバコに火をつけ、煙で茶色くなったメニューを見てみると、最初に目に止まったのは400円のハムチーズトースト。コーヒーと一緒に注文した。
5分ほど立ってテーブルに運ばれてきたのは、シンプルながら心をほっとさせる一皿。四角いトーストの上には、こんがりと焼けたチーズとハムが香ばしく広がり、その横にはシャキシャキのキャベツが添えられている。一口目はそのまま、二口目からはタバスコをかけて食べる。そしてコーヒーを流し込む。それは、現代の忙しさを忘れさせてくれる、一時の安らぎだ。何の変哲もないトーストだが、そのシンプルさが心にしみる。懐かしい味は、時に贅沢な料理よりも深い満足感を与えてくれる。キリマンのアイスコーヒーは、酸味の効いた澄んだその味が、焼けたトーストの余韻を優しく流してくれる。
外の世界と切り離され、ただ自分と向き合う時間がある。
使い込まれたテーブルやソファー、メニュー表がこの店の長い歴史を物語っているようだ。急ぎ足で進む現代社会の中で、このような場所は、ひとときの避難所となり、誰もがふと立ち寄り、時間を忘れ、心を休めることができる。
最後の一口を食べ終わり、会計を済ませ、余韻に浸りながら店を出る。すれ違いで若い女性が2人この店に入って行く。また、素朴で特別なひとときが始まる。



