頬が焼けるように熱い。チクチクと内側から刺すように、じわりじわりと浸食するように。

わけがわからなくなる。どうすればいいのか。

こわいのだ。たぶんおれは。こわいのだと、おもう。

「なんで、叩いた?」

「そ、れは」

「痛いなあ。ほっぺた」

彼女は瞳に涙を浮かべ、それでも俺を強く睨む。俺は笑って、彼女を見下ろす。

「どうして、叩いた?」

触れる熱が指の隙間から零れてしまいそうで、震えそうな手の平に力を込めた。ぐ、と強く強く。

「だ、って」

彼女が言葉を吐き出すたびに、掌に彼女の声を感じるのだ。それは堪らなく愛おしくて、俺はまた力を込める。

「こわいのよ」

「俺だってこわい」

「なに言ってるの、こわいのは、私のほう」

全身に鳥肌が立つ。震えているのは彼女の喉なのか、俺の掌なのか。彼女に叩かれた頬より、彼女の首に寄り添う掌のほうが、今ではもう熱くて。だから分からなかった。

「どうして?」

「だって」

彼女は俺がこわくて、俺は彼女がこわい。俺達は、怖がっている。

「いつかあなたは私をころすわ」

彼女は俺がこわいという。俺にころされるのが、こわいと。だから叩いたのだと。

俺は彼女がこわいとおもう。彼女に拒絶されるのがこわい。しぬより、ころすより、こわい。叩かれた頬が痛くて熱くて、こわい。

 こわいんだ。だから。

「だって、それが愛だろう?」

この愛を否定されるくらいなら、たしかに俺は君をころすよ。



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狂愛もの久々……か?

いやそうでもないですねすいません(笑)

嫌だ、嫌だ、と誰かが遠くで叫んでいるようだ。

助けて、と、誰かが耳元で囁いているようだ。

この不愉快な耳鳴りが、止まない。


ペキ、と小さな音を立てて薬指の爪の先が欠けた。同じ手の親指でそっと撫でれば、ガサガサになった爪の先が親指の腹をザラリと掠める。なんとなく、心地良い。

「いやだ」

皮膚、髪、木、水、布も全て。そこに残る感触。この手に、肌に、指先に。触れるすべての感触が、消えてなくなればいい。

「いやだよ」

全部、なくなってしまえばいい。

「いやだ」

昨日が嫌いだった。毎日毎日、昨日を悔いた。

「もう、」

そして今日を嘆き、毎日毎日、今日をも疎んだ。

「いやなんだよ」

明日なんて、いらない。


誰かの泣く声がした。

遠くで叫ぶ。耳元で囁く。その声。

「いやだ、」

その不愉快な耳鳴りは、誰かの泣く声だった。


「たすけて」

――私の泣く、声だった。



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最近リアルに耳鳴りがひどい。ずっと頭が痛い。不摂生の結果かな…