Nさんの体験談~④症状再燃~ | はあもにい~セルフ・サポート研究所のブログ~

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『誰にも言えずにひとりで悩んでいませんか?』
家族・友人・知人の依存症(薬物・ギャンブル・アルコールなど)の問題でお困りの方を支援するセルフサポート研究所のブログです。

 6月のサッカーのワールドカップを見ていたら、小、中、高校を通してサッカーをしていた長男を思い出し、「長男はどうしているんだろう」と気になってどうしようもなくなってしまいました。もう、いてもたってもいられないという感じでした。カウンセラーに教わった今日依存症の、発作のような状態だったのかもしれません。「そんなに気になるなら電話してみたら」と主人に言われて、長男の携帯電話に初めて電話しました。「どうしたの?今サッカーを見ているんだから、用がないなら切るよ」と長男は言いました。その声は元気そうだったので、私の心配性を反省したものでした。

 

 次の日かその翌々日、「彼に用があるので、こちらに電話をくれるように伝えてください」とカウンセラーに言われました。それで掛けたら携帯が使用不能になっていました。その後は、何度電話しても駄目でした。

 

 7月に入ってから主人が心配してアパートを見に行きました。大家さんのところにも挨拶に行ったのですが、何ヶ月か家賃を滞納していて生活が逼迫していたことが分かっただけで、ドアも閉まっており、長男には会えませんでした。「連絡するように」という張り紙だけをして帰りました。しかし長男から連絡はありませんでした。主人がもう一度見に行ったら、その時は部屋の鍵は開いていたそうです。でも、長男はいませんでした。部屋の中はそれほど汚れていなかったそうです。古い建物で、風通しは悪く日陰で、雨風だけはどうにかしのげるという部屋だったと聞きました。

 

 そのうちに長男から連絡が入りました。「専門学校で待ち合わせよう、そこで食事をしないか」と主人が誘いました。何度か食事をしたらしいのですが様子は普通だったそうです。

 

 その頃から、長男は時々、家にシャワーを浴びに来たりするようになりました。自活以来続けていたアルバイトはゴールデンウィークあたりにはクビになっていたようです。薬物をやりながら仕事をしていたのでしょう。それでクビになり、生活が底をつきかけていたのだと思います。

 

 その頃、私にとっても出来事がありました。7月中旬のことだったと思います。佐渡ヶ島でレイヴ・パーティーがあり、長男はそこに行くと言ったのです。野外パーティーに行くのには私には激しい拒否反応がありました。大学での学園祭の後の彼の状態をどうしても思い出してしまうのです。パーティーに行けば薬物を使うのは間違いありません。でも、相談室で学んだことを思い起こし「あなたが佐渡に行くのはとても心配だ。行ってほしくないけれど、あなたがどうしても行くというならばあえて止めない」と伝えました。

 

 私が通っている相談室の家族会「はあもにい」のお母さま方と、M病院の先生の紹介でお医者様やカウンセラーの方々へメッセージを伝えに行った日、その日が長男の出発の日でした。メッセージ活動が終わり、病院を出てからお茶を飲みながら、「まだあの子は出発していない。今行けば止められるんじゃないか。でも、私はあえて止めないんだ」という話をして泣いてしまいました。お母さん方も一緒に泣いてくださいました。

 

 夕方、家に帰り、長男の仲間に電話して「佐渡についたら元気についたと家に電話をするように」と頼みました。あとは神様にお任せするつもりでした。

 

 そうしたら、なんとその夜、ふらっと帰ってきたのです。「行かなかったの?良かった!」と言って私は思わず長男に抱きついてしまいました。彼も抱きついてきました。その時の佐渡ヶ島のイベントは台風が直撃して皮が氾濫し、大変なことになったそうです。

 

 8月に入り、長男の様子がまたおかしくなり始めました。完全に再発してしまったようでした。「薬物がらみのことについては、私たちでは相談に乗れないから、そのことで悩んでいるのならカウンセリングを受けなさい」と伝えました。「デイケアに通いますか?」とカウンセラーに訊かれて長男はデイケアに通うことになりました。

 

 その後、主人と私、長男の3人でカウンセリングを受けました。アルバイトはなくなり、家賃・光熱費などを全部、長男が滞納しているときでした。

 

 その時に私は重大なスリップをしてしまいました。「とりあえず家賃の一部と当面の生活費よ」と長男に3万円渡してしまったのです。少しでも家賃を入れたら大家さんに信用して頂けるのだから、という意味でしたが、もちろん家賃にはなりませんでした。次に会った時に長男は「あまりにも精神的に逼迫していたからCDを買った」と言っていました。お金を渡したら薬代になるのはさんざん勉強してわかっていたのに、やってしまったのです。

 

 デイケアのプログラムで、仲間たちと千葉の海に行った時に、出先で長男が混乱してみなさんにご迷惑を掛けたようで、「彼が混乱している」という電話が相談室に入りました。その時私は「はあもにい」に出席していたので相談室にいました。「すごく痩せましたね。家に戻したらいかがですか?」とカウンセラーに提案されて、長男はアパートを引き払い家に戻ることになりました。家賃や光熱費などの滞納分、引っ越し代などの費用は私たちが全部持ち、結局尻ぬぐいしてしまいました。

 

 それからは、自宅からデイケアに通っていました。その頃から長男は私たちに対してふてくされたような態度をとるようになりました。「なんだかあなたの態度がとても不快だ」と言って主人と私とで説教しました。それを2,3回繰り返して、結局、相談室の自立支援ハウスに入寮すると本人が決めてきました。

 

 入寮して間もない頃、施設のスタッフから電話がありました。「彼がこの1週間くらい、夜眠れなかったみたいで、夜中に出て行ってしまったりして、混乱しています。M病院に入院して、それが治まったらまた入寮するように提案しました。今から本人はM病院に向かいます」という連絡でした。

 

 M病院に行って待っていると、長男が荷物を担いで入ってきました。受付が昼休みで閉まっていたので私たちも昼食を取っていると「入院はやめた。やっぱり家に帰ってNAに行く」と言い出したのです。家に帰って状態が悪くなられたら、たまらないので説得したのですが、本人は頑として聞きません。「更年期の睡眠障害が出ているから、お母さんが夜、眠れなくなるような生活だけはいやよ」と固く約束して一緒に家へ帰りました。

 

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