山本祥一朗の酒情報 -75ページ目

山本祥一朗の酒情報

山本祥一朗の酒情報

これはかつてスイスからドイツのルクセンブルグ、ベルギー、オランダ、そしてデンマークへと北上した折の参加メンバーの写真と記録であり、時事通信社のムックには参加者の感想も載せている。

スイスでは小ワイナリーの原点ともいうべき片田舎の農家を訪ね、ドイツでは南のバーデンバーデンを訪ねた。バーデンとは温泉の意味で現地の人たちと全裸の公衆浴場も体験した。また、モーゼルザールルーヴァ中央醸造所は4年ぶりだったが、理事長は再会を喜んでくれた。

ベルギーのブリュッセルでは古典ビールのランビックの製造現場を訪ねたが、新鮮なホップはランビック特有の酸味を損なうことから3年以上経たホップを使っている。

オランダではジュネヴァの工場、そして最後はデンマークに飛んでカールスバーグの工場へ立ち寄った。デンマークのチボリ公園前のレストランで日本酒を飲んだ話は拙著『酒つながり』(社会評論社)に書いている。

人々の味覚がバラエティを見るようになって、2種以上の酒を割って飲む風習がごく普通になったようだ。そのルーツを世界にたどってみると、ウォッカもその一つだと思う。

ウォッカといえばロシアやフィンランドということになるが、ロシアはクリスタル、フィンランドはフィンランディアという工場を訪ねたことがあった。

フィンランディアはヘルシンキの郊外のラヤマキという純度の高い水に恵まれたところにあり、食前酒として出されたのは、よく凍らせたウォッカと並んでリンゴンベリー(こけもも)やクランベリーなどの飲料が出た。好きなように割って飲んで下さい、という。前菜としてトナカイの燻製が出たが、なるほど、ウォッカ割りによく合う。

ヘルシンキには「トーキョーカン」という日本製品専門に売っている店があり、日本酒や醤油からインスタントラーメン、かっぱえびせんまであった。値段は日本の2倍である
(写真はその店の看板と、右はモスクワのウォッカ工場)。

三船敏郎といえば酒乱の噂もあったものの、本当はどうだったか。『サムライ――評伝・三船敏郎』(松田美智子著・文藝春秋)によれば、確かに酒乱の時もあったが、それはほんの一面で、当人のシンは真面目で神経質で几帳面な人間だったことが書かれている。

写真は三船が『蜘蛛巣城』の撮影の時に、私と撮ったものだが、その前日か前々日に撮影で本物の矢を背後から何本も撃たれたことを語っていた。黒澤明は三船が運動神経が並外れていることを知っていたからだというが、それにしても三船としては命がけの心境だったとか。その撮影のあった夜、酒に酔った三船がオープンカーに乗って黒澤家のまわりを「バカヤロー」と怒鳴って走り回ったとか。

しかし、翌日には撮影の一時間前からスタジオに入ったという。つまり、かなり酔った時のそんな行動がかなりオーバーに伝わったものらしい。

私の叔父が東宝の演技課にいたことから、よく撮影所へは遊びに行っていたが、この時は三船が真面目な顔でスナップ写真に付き合ってくれたのに、私は煙草をふかしている。