『衣食足りて』(河出書房新社)が面白い | 山本祥一朗の酒情報

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今や亡くなって久しいが、山口瞳の著作は今読んでも面白い。

安かろう旨かろう食べ歩き、私は「飲まずにいられない」、ビールの利尿作用、ウイスキーの飲み方、などにはじまる本は『衣食足りて』(河出書房新社)のものだ。山口瞳は初めはサントリーの広告制作に携わっていたが、後に『江分利満氏の優雅な生活』で直木賞を得てから作家となった。この本は同氏が没後に、あちこちに書いたものを編集してある。

「飲まずにいられない」では、飲みに行くとき、普段より不機嫌になるのはなぜか?とか、ウイスキーの飲み方は何通りあるか?などは細かに分析して書いてある。サントリーに勤めていた頃に編集していた『洋酒天国』は、経済的に恵まれない文化人を援助する目的もあったことなどを、ざっくばらんに書いている(写真にあるのはマティーニが旨いとされるサンボアの暖簾にサインしてある山口瞳のサインと、サントリー時代に同僚と柳原良平)。