今回紹介の競馬本も、王道の名馬物。

ただ、タイトルからしてちょっと捻った名馬が期待される。

 

「サラブレドさかさま英雄伝」

著者:康奉雄

発行元:廣済堂出版

発行日:1996年4月20日

 

7つのテーマで、著者自身が選んだ競走馬ベスト5。

ただ5頭を選ぶのではなく、しっかりと第1位~第5位と順位付けされている。

著者の独断なので、自分の考えとは違うところもあるが、そこは文句は付けられないが…。

 

第1章・超人気薄から大レースを勝ったビックリ馬

1位は有馬記念のダイユウサクだが、5位以内に89年のエリザベス女王杯、シンガリ20番人気で勝ったサンドピアリスが入っていない。

 

第3章・競馬史にその名を残すレコードホルダー

走破タイムのレコードではなく、重賞最多勝などの最高記録。

変わったところでは、ライブリマウントの最多競馬場連続優勝記録。

異なった競馬場での重賞6連勝で、のちにホクトベガが7連勝したが1戦目と6戦目で川崎がダブっている。

 

7つのテーマ×5頭=35編の内容はほとんどが名馬物だが、たまに著者自身の馬券エッセイのような物が混じる。

どちらも悪くないのだが、一貫性が無いので読み進めていて違和感を感じる。

 

タイトルにある「さかさま」もよく分からない。

「人気薄で大レースで穴をあけた馬」、「まったく勝てなくなったダービー馬」などのテーマがあるが、人気薄だろうとG1馬だし、その後勝てなくなったとしてもダービー優勝馬だ。

「さかさま」ではなく、正当な「英雄」じゃないか。

 

内容も文章も悪くはないが、「さかさま」と言うより「チグハグ」な感じがする。